2020年代は、偉そうに成功のうんちくを垂れている成功者が復讐の標的となる

2020年代は、偉そうに成功のうんちくを垂れている成功者が復讐の標的となる

2020年代は平和で幸せな社会になるとか思っていないだろうか。とんでもない誤解だ。2000年代から2010年代まではミドルクラスがアンダークラスに落ちる時代だった。そして2020年代はアンダークラスが固定化される時代になる。そして、這い上がれなくなったアンダークラスは社会に復讐心を抱くようになり、偉そうに成功のうんちくを垂れている成功者や、カネを見せびらかしている成功者が復讐の標的になる。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

アンダークラス(貧困層)が膨れ上がっていく国に

1990年代から2010年代までは、ミドルクラス(中産階級)が崩壊して、大多数が下に下に押し下げられていく時代であったとも言える。

日本はバブルが崩壊して企業が終身雇用を維持できなくなり、従業員の切り捨てが始まったからだ。さらに新たに雇う場合は使い捨てができる非正規雇用者を選択するようになった。

・今いる従業員は「切り捨て」
・これから雇う従業員は「使い捨て」

この「切り捨て」と「使い捨て」の2つが、この30年で同時並行で起きるようになったので、ミドルクラスはそれまでの安定的な立場と収入をどんどん失っていったのだ。

さらにこの頃から日本は急激に子供が減り高齢者が増えるという「少子高齢化」が進むようになった。少子高齢化は日本社会を蝕む最悪のガンであり、この少子高齢化こそが日本の経済を停滞させる。

日本人は高齢化を支えるために現役世代が酷税で高齢者を支える国になった。この酷税が社会保障費を膨らませて内需を萎縮させる要因になった。

内需が萎縮すれば企業はますますコスト削減のためにリストラと非正規雇用者を常態化させるので、ミドルクラスはやはり蹴落とされる状態になる。そして、日本はミドルクラスが減少し、急激にアンダークラス(貧困層)が膨れ上がっていく国になったのだった。

では、2020年以後はどうなるのか。

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構造改革とは、社員のクビを切り捨てやすくする改革だった

2020年以後に起きることは明白だ。アンダークラスがどんどん膨れ上がって、彼らは這い上がれなくなる時代になる。一部の成功者が富を総取りし、残りが蹴落とされて這い上がれなくなる。

這い上がれなくなるというのはどういうことか。それは「アンダークラスの固定化」が決定的になるということなのだ。このままでいくと、2020年以後の日本は間違いなく「アンダークラスの固定化」が鮮明になり、社会は柔軟性を失う。

これからの政治はこの問題を解決できるだろうか。

状況は絶望的かもしれない。少子高齢化問題も貧困問題も格差問題もバブル崩壊以後ずっと言われていたことなのに、政治家は誰ひとりとしてこれを本腰になって解決しようとしなかった。

解決するどころか、2020年からは「構造改革だ」と言って国が率先して国民をアンダークラスに突き落としていた現実がある。

この構造改革というのは、社員のクビを切り捨てやすくするという意味で「改革」だったのである。

2000年代から日本政府が狂気のように推し進めた「構造改革=弱者切り捨て政策」により、企業は、正社員を雇わず、いつでもクビを切れる派遣労働者を集中的に拡充させていった。

「経営者・正社員・派遣社員・パート」という賃金格差による身分制度が明確になって、若年層の多くが非正規雇用者に押し込められていった。そして、日本は一気に格差問題、貧困問題が噴出するようになっていったのだ。

この時の政治家たちが今もなお政治を動かしている。

そう考えると、「アンダークラスの固定化」は解決するのではなく、むしろ悪化する可能性の方が高い。これは遠い未来の話ではなく、現在進行形の話でもある。数千万人の日本人が「アンダークラスの固定化」に巻き込まれていく。

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金持ちエリートと貧乏労働者に二分されていく

非正規雇用者やパート社員は、企業にとっては「使い捨て人員」である。

賃金を上げる必要もなければ、終身雇用をする必要もなければ、福利厚生を与える必要もない。

労働改善のようなうるさいことを言ってくるようになるとクビを切って別の「歯車」に入れ替えればいいので、この使い捨て人員は企業にとっては願ったり叶ったりの存在である。

その結果、企業は積極的に正社員を切り捨てて非正規雇用者に入れ替える動きを進め、「経営者」と「労働者」が明確に分離していくようになっていった。

経営者というのは、要するにエリート・サラリーマンだが、こうしたエリートは会社の中でほんの少人数だけだ。このエリートが億単位の年収を得るようになり、その他労働者は数百万の賃金に抑えられるようになる。

分かりやすく言うと、この30年で日本は「金持ちのエリート」と、食うや食わずの「使い捨て従業員」に二分されたのだ。

問題はここからだ。「使い捨て」はいつでも企業の都合に翻弄される運命なので、何をどうやっても垣根を越えることができないのである。垣根を越えられない以上は、そこから抜け出すことができない。

社会が高度化すれば、教育も高度な教育を受ける必要があるし、学歴や職歴にもそれなりのキャリアが求められる。こうしたキャリアを手に入れるためには、高額な教育費と環境が必要だが、それは親の資産額で決まる。ちなみに、東大に通う生徒の親の年収は51.8%が950万以上である。

親がアンダークラスだと、最初から高度な教育など受けられるはずもなく生まれながらにしてアンダークラスであることが決定づけられる。下に行くことはできても、上に行くことが極端なまでに難しくなってしまう。

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アンダークラスが「暴力的な復讐」をする未来が待っている

「アンダークラスの固定化」は残酷な現象である。いったんアンダークラスに落ちてしまうと、その格差が子供たちに「遺伝」してしまう。

いつクビにされるか分からないアンダークラスの家庭では、とても子供に高等教育を受けさせることができない。塾も行かせられず、大学進学も厳しく、せいぜい高校を卒業させてやるくらいが関の山だ。

大学に行かせるにしてもカネがないので、子供たちは大して役に立たないFランクの大学を奨学金という名の莫大な借金を抱えて卒業する。

言うまでもないが、日本は歴然とした学歴社会である。このような社会の中では、学歴のない人間が上層階層のポストを得るのは、はっきり言って不可能に近い。

そのために少しでも何とか状況を打開したいとアンダークラスの子供たちは思って大学に行くのだが、大学にも序列があるのでFランクの大学では卒業しても大して評価が得られない。

だから、アンダークラスの子供たちは学歴がなくて低賃金の仕事に従事するか、もしくは大学を卒業しても評価されずに低賃金の仕事に従事するかの、絶望的な選択肢しかなくなる。

「アンダークラスの固定化」は、かくして社会に定着していく。

こうした「アンダークラスの固定化」が長く続くと、生まれながらに底辺を這い回ることを知った子供たちには「向学心」も「向上心」も生まれることはない。努力したところで成功する確率が限りなく低いのであれば、努力するだけ無駄なのだ。

彼らは刹那的な生き方をするようになり、こうした社会を恨むようになり、成功者に激しい敵意と憎悪を持つようになる。

2020年代はアンダークラスの固定化が生まれ、その先には、持たざる者が持てる者に対して「暴力的な復讐」をする未来が待っている。偉そうに成功のうんちくを垂れている成功者や、カネを見せびらかしている成功者が復讐の標的になる。

そんな社会に向かっていることを察知している人はどれだけいるだろうか?

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