パワハラを行う人間を排除し、居場所を作らせないことが社会や組織のためになる

パワハラを行う人間を排除し、居場所を作らせないことが社会や組織のためになる

常軌を逸したパワハラを日常的に行う人間が権力を持ったら、ふんぞり返ってまわりを見くだすようになっていく。まわりよりも自分が優位であることを意識し、強調し、相手を見くだすような言動を取って権力に酔いしれる。こうした人間は徹底排除するのが合理的な判断といえる。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。著書は『ボトム・オブ・ジャパン』など多数。政治・経済分野を取りあげたブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営、2019、2020、2022年、マネーボイス賞1位。 連絡先 : bllackz@gmail.com

偉そうなことをふんぞり返って無自覚で吐く

長谷川岳《はせがわ・がく》という自民党の参議院議員が凄まじいパワハラを繰り返していたということで問題になっている。

演歌歌手の吉幾三氏がたまたま飛行機のファーストクラスで長谷川議員が客室乗務員に激しいパワハラをしているのを目撃して「飛行機の中で横着な態度の人がいる。国会議員だ。言葉の使い方とかが乱暴だ」と糾弾したことから、長谷川岳という男のパワハラ問題が発覚した。

「自民党の政治家がヤクザみたいにふんぞり返ってCAさんたちに偉そうにしてたんだよ。こんな奴のために税金を納めているのかと思ったら、腹が立ってしかたなくてさ」

吉幾三氏はこのように述べている。この吉幾三氏にCAが匿名の手紙を送っているのだが、そこにはこのようなことが書かれてあった。

「異常なほどの剣幕でクレームをおっしゃり、とても政治家とは思えません」

長谷川岳のこの異常なパワハラが明るみに出ると、この男は他にも北海道庁や札幌市役所の職員らへも強烈なパワハラを行っていることが次々と暴露されるようになった。週刊文春は、『被害者告発「死人が出る」長谷川岳の地獄パワハラ』と題名をつけてこれを報じている。

まわりは、この長谷川岳に対して腫れ物でも触るかのような扱いをしていて、北海道の幹部職員4人も、長谷川議員への説明のためだけに、この男の事務所などに年間70回も出張して、550万円も使っていた。

長谷川岳はこれを批判されて弁明で「自分の表現方法で今まで来ましたので、まったく無自覚でやってきた」と述べていた。ふんぞり返ってヤクザ口調で偉そうなことを無自覚で吐いていたというのであれば、それはそれで性格と現状認識に問題がある。

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相手を見くだすような言動を取って権力に酔いしれる

佐世保実業高校などを運営する学校法人佐世保実業学園の40代の女性理事長のパワハラも問題になっている。

この女性理事長は、教職員に日常的に暴言を浴びせ、書類を投げたり、屋上から飛び降りろと脅したり、二時間以上も説教したり、意見をいった人間を減給したり、無視したり、決済を拒否したり、許容範囲を超えた仕事量を与えたり、人格否定の暴言を吐いたり、まさにパワハラの典型と見られる行為を恒常的に繰り返していたのだった。

結局、この女性理事長のパワハラによって、5年間で教職員78人が退職する異常事態になっていた。うつ病になったり、パニック障害になったりした教職員もいるという。残っている教職員は、みんな怯えながら仕事をしていた。

ところが、当の女性理事長は「パワハラの事実は存在しません」と否定している。

一緒に仕事をしている教職員が次々と辞めていく現状を見ても、パワハラの事実は存在しないと言い切れるところが、すでに認識異常であるともいえるが、こういう異常な人間は間違いなく世の中に存在する。

彼らが国会議員やら理事長になったら、その権力にふんぞり返ってまわりを見くだすようになっていく。まわりよりも自分が優位であることを意識し、強調し、相手を見くだすような言動を取って権力に酔いしれる。

自分の意見を押し通し、部下の意見を聞く耳を持たない。責任を部下に押し付け、自分が悪いことを認めようとしない。自分自身の利益ばかりを考え、周囲のことに配慮しない。周囲の迷惑を顧みずに、自分の思い通りにしようとする。自分の非を認めようとせず、常に他人のせいにする。

さらに、人格攻撃や暴言で相手を傷つける。相手のプライバシーを侵害するような言動をする。精神的に追いつめて、相手を支配しようとする。こうした人間は、どこから見ても異常だ。ある意味、犯罪者気質があるともいえる。サイコパスである。

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彼らはしばしば、自己中心的で支配的な言動を行う

常軌を逸したパワハラを日常的に行う人間は、その地位が自分の価値や社会的地位を象徴すると信じている。彼らにとって、権力は自己肯定感や承認欲求を満たす手段なのだ。それを失うことは自己の価値を失うことに等しいと考える。

そのため、彼らは権力を維持するためにあらゆる手段を用いることに躊躇しない。たとえそれが他者を傷つけ、犠牲にすることであっても、彼らにとってはそれが許容範囲内である。正当化される行動となる。

権力の死守には、権威主義的な思考や行動が不可欠だ。そのため、彼らはしばしば、自己中心的で支配的な言動を行う。

長谷川岳も「ヤクザみたいにふんぞり返ってCAさんたちに偉そうにしてしている」とか「異常なほどの剣幕でクレームをつける」といわれているが、こういうのが支配的な言動の典型だ。他者の意見や感情を軽視し、罵倒し、あざけることすらもする。

自分の立場を脅かす存在や意見を容認せず、徹底的に排除しようとする。彼らは、他者を恐れさせ、従わせることで権力を保持しようとする。人が去ることについては、まったく何とも思わない。

学校法人佐世保実業学園の女性理事長がそうであるように、次々と人が辞めても自らの未熟さを恥じることは絶対にない。彼らは常に「他責」なのだ。問題が発生した際も、すべて他者に責任転嫁する。

そうした現状を冷静に指摘する人間がいたら、反省するのではなく、蹴り出す方向に向かう。彼らは自己の地位が脅かされることを恐れ、そのために自己防衛のための手段を強化しようとするからだ。

彼らの責任転嫁は徹底している。他者からの批判や挑戦に極端な反応を示し、そのような行動を抑制するための構造や制度を築く。これによって、権力を持つ者は自己の地位を維持することに成功し、その地位を死守することができる。

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組織から排除するのが、もっとも合理的な判断

パワハラを行う性格異常者の存在は多くの人を不幸に導く。最終的には組織を修復不能なまでに崩壊させる害悪になってしまうので、組織は一刻も早くこうした有害な人間を排除する必要がある。さもなくば、組織全体が崩壊する。

厳重注意とか改善要望で、有害な人間を変えられるわけではない。彼らは、性格を変えられないから有害なのであって、注意されて収まるようなヤワなものではない。

自らが権力を失いそうになったら、一時的には反省したフリをして大人しくする。しかし、ほとぼりが冷めると、また異常が発露する。復讐感情もあるので、異常が復活したら、パワハラはより苛烈になるはずだ。

そのため、こうした有害な人間は、組織から排除するのがもっとも合理的な判断となる。

パワハラは、法的に見ても問題となる行為なのだ。権力を持った有害な人間を組織から排除するには、組織内で団結し、パワハラを受けた日時、場所、内容、相手の発言などを記録して証拠を積み上げておく必要がある。

メモ、録音、録画など、可能な方法で証拠を残し、それを労働基準監督署や、都道府県の労働相談窓口、弁護士会、法テラスなどに話を持ち込む。パワハラの解決を専門に扱う弁護士も存在する。

あるいは、パワハラの音声データをSNSなどに暴露するとか、マスコミに持ち込むような方法も最近は取られている。社会的圧力を利用して、パワーハラスメントの行為者を追及する。

いずれにしても、パワハラをする人間に対しては、毅然とした態度で対処することが重要だ。被害者の支援を充実し、パワハラを行う者への制裁を強化するなど、さまざまなレベルでの取り組みをして、パワハラを行う人間に居場所を作らせないことが社会のためになる。彼らは、けっして反省しない。

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