ツイッターで殺害予告を書いたら、震えて眠るのは相手ではなく自分になる

ツイッターで殺害予告を書いたら、震えて眠るのは相手ではなく自分になる

2019年2月28日、奈良県でふたりの高校生が逮捕されている。この高校生たちは2018年12月14日に、インターネットカフェで「無差別殺人を起こします。日付は今日から明後日にかけて」とツイッターに書き込んでいた。

これによって、西大和学園中学・高校は休校に追いやられていたのだが、警察はインターネットのアクセス履歴からこのふたりの高校を割り出して逮捕に至っている。

2018年3月27日、ある自民党議員に「国会議員をやめて頂けないでしょうか」「貴方の娘さんに被害が被るかもしれませんよ」と殺害予告をしていた男が脅迫罪で略式起訴されている。この男は41歳の地位も名誉もある医師だった。

この男はツイッターにこの殺害予告を書き込んだのだが、被害に遭った自民党議員は警察に被害届を出し、警察側がツイッター社に情報提供を求め、ツイッター社はそれに応えて犯人の身元が特定されていた。

この犯人特定のために重要になってくるのは「IPアドレス」である。

ツイッターはこうした犯罪行為の防止やアカウントの乗っ取り防止のために、身元確認を強化しており、ユーザーに電話番号などを入力させているだけでなく、法律に則って「IPアドレス」の履歴を残している。

IPアドレスの履歴は「義務」となっている。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

震えて眠るのは相手ではなく自分

インターネットからアクセスできる大手掲示板、あるいはSNS、そして多くの公的サイトでは、発言者のIPアドレスや履歴が記録されて残される。

そのため、いくら匿名で何かやっているつもりでも、実際には「匿名などあり得ない」と考えた方がいい。

名前を書かなければ匿名になるのではない。匿名に見えても、IPアドレスを偽装していないのであれば、それは自分が誰なのか名乗っているのと同じなのである。

システムがIPアドレスや履歴を記録しているのだから、恐喝や殺人予告のような問題が起きると、当事者が被害届を出して警察が動けば、すぐにIPアドレスを辿って誰が書き込んだのか「見える」のである。

いまだに、大手掲示板やSNSで「名前を隠したつもり」の犯人が逮捕されているのを見ていると、そのあたりのネット・リテラシーに欠けているというのが分かる。匿名と思っているのは本人だけで、実際には匿名ではない。

そうであれば、「ネットカフェで殺害予告を書けばアクセスしたIPアドレスが違うのだから逮捕されないはずだ」と考える犯罪者もいるかもしれない。

しかし、ツイッターを立ち上げる時に自分がいつも使っているスマートフォンや自宅のIPアドレスを使用したら、いくら犯罪予告の時だけネットカフェで変えても、それがそのまま履歴として残る。

さらにネットカフェでは防犯カメラもあるわけで、何時何分に犯罪予告に使われたPCの使用者は防犯カメラを見ればすぐに「誰だったのか」が分かる。

要するに、ツイッターで殺害予告など書いたら、震えて眠るのは相手ではなく自分になる。ということだ。

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私たちの個人情報を抜く手段

不特定多数が出入りするサイトを所有する運用者は、通常、IPアドレスを記録しなければならない義務が法律で課せられている。今まで、多くの事件がインターネットで犯罪予告されてきたことによって、そうしたルールとなった。

匿名になると凶暴になる人が世の中にはいる。隠されていた本性が剥き出しになり、それが激しい攻撃性となって表に出てくる。

しかし、実際にはインターネットを普通に使っていると、それはもう匿名ではないということに気付かなければならない。

表向き匿名だからと言っても、偽装できる「名前欄」など何の意味もない。多くのシステムは何かあれば発言者を特定される仕組みになっているのだから匿名ではない。それで殺害予告などして逮捕されたのであれば、それこそ自業自得であると言える。

インターネットは日に日に監視が厳しくなっており、リアル社会よりも匿名でいることが難しい空間になりつつある。仮に犯罪を行う気がまったくなく、かなり注意していたとしても情報が不正に抜かれる時代でもある。

インターネットでは私たちの個人情報を抜く手段は無数にある。以下のようなものはその代表だ。

(1)IP記録の義務化、履歴保存
(2)本名強制のSNSのシステム
(3)クラウドというデータ保管
(4)高度になるハッキング
(5)ユーザを追跡するスーパークッキー
(6)セキュリティホール、意図せぬバグ
(7)フィッシング
(8)システムのバックドア
(9)キーロガー

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「現代の神」は私たちのすべてを知る

すでにインターネットでは「匿名であること」ができない。匿名を望んでも匿名になれない。犯罪者の個人情報もインターネットでは履歴を取られているのだが、当然のことながら善良な人の個人情報もまた徹底的に収奪されている。

現在、インターネットは「GAFA(グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾン)という巨人が莫大なユーザーを抱えて実質的にインターネットの支配者になっているのだが、こうした支配者は私たちの個人情報を一手に握っている。

私たちが何が欲しいのか、私たちの友人が誰なのかも、「GAFA」はすべて知っている。そのため、このGAFAを「現代の神」と呼ぶ人もいるほどだ。GAFAに対して私たちは匿名でいられないのである。

それに対抗してアンダーグラウンドで育っているのが「ダークウェブ」と呼ばれるものだ。通常ではアクセスできず、検索にも引っかからない闇の世界である。

「TOR」と呼ばれるIPアドレスを隠蔽するための仕組みによって「ダークウェブ」は成り立っている。世界中に存在する複数の中継地点(リレー)を経由することによって、発信源のIPアドレスを隠蔽する。

この「TOR」でも100%正体不明になれるというわけではないのだが、それでも無防備な表側のインターネットと比べたら匿名度がかなり高まる。ただし、匿名を維持するための仕組みのために、スピードが遅いことで一般には広まらない。

こうした状況を見ると、インターネットと付き合っていくには「いつでも自分はどこの誰なのか特定されるという意識で動く」ということに行き着く。

「インターネットでも普通にしていろ」

結局のところ、対処はこれに限る。誰かに殺害予告を出すというのは、相手に名刺を渡して殺害予告をするのも同然の行為であるわけで、リアルな世界で逮捕されるのであれば、インターネットでやっても逮捕されるということに他ならない。(written by 鈴木傾城)

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インターネットと付き合っていくには「いつでも自分はどこの誰なのか特定されるという意識で動く」ということに行き着く。「インターネットでも普通にしていろ」結局のところ、対処はこれに限る。

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