グーグルは人工知能の潜在能力を隠したが、その意味に気付くべきだ

グーグルは人工知能の潜在能力を隠したが、その意味に気付くべきだ

2018年6月19日。ブルームバーグ紙は『グーグル、患者の死期予測するAIを開発中-ヘルスケア事業参入も』という記事を出している。

人工知能が患者の症状や病気を探り当てるばかりか、患者の入院期間、再入院、死亡確率さえも正確に予測できるようになったと、その記事では伝えている。

人工知能は過去の膨大なデータ(ビッグデータ)を元にして、アルゴリズムで結論を出す。膨大なデータとそれを正確に把握するアルゴリズムがあれば、高い確率で患者の状態が分かる。

人工知能は医療の現場に浸透して「一瞬」で正確な判断を下すようになっていく。グーグルは今後、この分野の進出を準備しているので、これが本格化する動きになったら医療の現場が変わるのは確実だ。

実は、人工知能の医療分野への進出はIBMもグーグルに先んじて行っている。IBMの人工知能は「ワトソン」として知られているのだが、このワトソンもまた診断の難しい難病を10分で見抜いて患者の命を救うような実例をすでに出しているのだ。

熟練した人間の医者と同等か、もしくはそれ以上の正確さで人工知能が病気を発見し、治療を指示し、病状の経緯を教え、場合によっては「死亡時期」まで正確な判断をするようになっているのだ。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

人工知能に敵わなかったプロ棋士は勝負の途中で泣いた

グーグルの人工知能「ディープマインド」は囲碁の分野で、もはや人間を超越する能力を持っていることを実証して見せたが、2017年以後はもう人間との対戦をグーグル側が「引退」させた。

なぜか。もう人間は勝負にならないからだ。人工知能の圧倒的な能力は、人間がいくら勝負しても敵わないほどのレベルに達している。

勝負とは実力が拮抗しているもの同士で争うから面白いのであって、圧倒的な能力差がある勝負は、単なる「公開処刑」でしかない。

この囲碁の勝負で人工知能に敵わなかったプロ棋士は勝負の最後で苦悶し、泣いた。残酷な光景だった。

人間が人工知能を公開処刑するのであればともかく、人工知能が人間を公開処刑する姿を延々と映し出したら、人類は人工知能に対して動揺する。

人工知能が支配する未来に恐怖を覚えて、「人工知能の開発はやめてしまえ」という声が巨大化しかねない。だから、グーグルはもう人工知能を人間と競わせるのをやめたのだ。

人間を「公開処刑」していると、それは単なる「いじめ」になる。世論の反発を受けて自分たちのビジネスに支障が出る。だから、勝負を封印した。

これは、ある意味グーグルは「人工知能の持つ恐るべき潜在能力を隠すことにした」ということに他ならない。

人工知能はもはや人間を超越する判断能力を持っている。さらに、自律的に向上していく能力をも有している。グーグルはそれを「隠した」のである。

グーグルは、2012年から2016年までレジーナ・デューガン氏を社員にしていたのだが、彼女は国防高等研究計画局の重要人物だった。

グーグルは「軍事とは関わらない」と言っていたにも関わらず、実は米国防総省と協力していることが2018年3月に発覚している。

米国防総省は特別チーム「プロジェクト・メイブン」を結成し、グーグルの高度技術を取り入れて半年で監視システムを構築していたのである。

軍は全世界の紛争地区・緊張地区の映像、情報、データをビッグデータとして収集しているのだが、このデータを人工知能で解析させて欲しい情報を一瞬にして引き出す能力を得た。

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「人間が運転する車は危険だから乗りたくない」?

グーグルの親会社はアルファベットだ。アルファベットは医療分野を「ベリリー(Verily)」という子会社で攻め、自動運転を「ウェイモ(Waymo)」という子会社で攻める。

自動運転と言えば、「本当にこんなものが実現するのだろうか」といぶかる人も多い。しかし、すでにアメリカでは自動運転の車両が走っている。

歩行者を轢いて死亡事故を起こしたり、人間の運転する信号無視の車に追突されたりして、まだまだ多くの問題をはらんでいるのだが、実用化に向けて急激に突き進んでいる。

自動運転の本質とは何か。これもまた「ビッグデータと、その解析と判断」なのである。

カメラが捉える莫大な映像の「意味」を瞬時に判断し、GPSデータ、道路データ、交通情報、気象情報、車体の状況という様々な状況を瞬時に判断する「ビッグデータ」と「アルゴリズム」の世界だ。

莫大なデータを瞬時に判断する。これこそグーグルが今までやってきたことであり、強みであり、さらに人工知能の得意とする分野である。

人工知能は、解析するデータが多ければ多いほど正確な判断を下す。そのため、多岐に渡るデータとアルゴリズムが洗練されればされるほど、自動運転の安定度は人間を超える。

現在、「完全自動運転車」については、米国自動車協会が2018年4月に実施した調査で、アメリカのドライバーの73%が「完全自動運転車は怖くて乗れない」と考えていることを発表している。

今はまだ信頼を獲得できるまでに到達していないが、いずれ運転技術に関しても自動運転の方が人間よりも安全になって、逆に「人間が運転する車は危険だから乗りたくない」と思う日が確実にやってくる。

人工知能はいずれ公道の運転すらも「習得」して、人間の社会を変えていく。

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人間の知性を超えて人間の生活を激変させる臨界点

人工知能の能力を発達させるための「解」を人類は見つけた。それが「ビッグデータの取り込みと、解析のためのアルゴリズム」である。

莫大なデータ=ビッグデータ
解析の手法=アルゴリズム

「莫大なデータを瞬時に解析すれば人工知能を向上させられる」ことがわかった。

だから、現在のテクノロジーの巨人であるアップル、アマゾン、グーグル、フェイスブック、IBM、マイクロソフトが「ビッグデータとアルゴリズム」の分野でしのぎを削るようになっている。

アマゾンは購買者の巨大データを持っている。フェイスブックはSNSで、アップルはスマートフォンとサービスで個人の巨大データを持っている。IBMとマイクロソフトは法人に食い込んでビジネス関連に巨大データを持っている。

それぞれ得意分野とする「ビッグデータ」の分野が違うので、これらの企業はすべて次世代に生き残る可能性もある。

さらに、これからは「すべての物体」がインターネットに向けてデータを発する時代がやってくるので、今は誰も想像しない分野で巨大な成功を収めて一瞬のうちに巨大企業になっていく現象も現れる。

「どの分野のビッグデータを集めて解析させるか?」「どの分野を攻めるのが儲かるのか?」で、儲かる度合いも違ってくるので、運良く儲かるビッグデータをつかんだ企業が次の覇者となっていくのである。

すでに人工知能の時代がやってくるのは確実であり、いったん人工知能が浸透して向上に次ぐ向上を繰り返していくと、いずれは社会そのものが人工知能によって「再構築」される日が訪れる。

グーグルは人工知能の潜在能力を隠したが、その意味に気付くべきである。それは、あまりにも恐るべきものだから「隠した」のである。

人工知能が人間の知性を超えて人間の生活を激変させる臨界点を人工知能の権威であるレイ・カーツワイル博士は「シンギュラリティ」と呼んだ。

シンギュラリティの時代を見据えて、あなたは何か準備をしているだろうか。

2017年から、私はシンギュラリティを見据えて動いているのは『鈴木傾城のダークネス・メルマガ編』の『次に押さえたいのは「変わりゆくものをすべて飲み込むこと」』『なぜ87歳の高齢者が次の技術革新から莫大な利益を得るのか?』でも取り上げた。(バックナンバーの購入はこちら

こうした動きはこれからも『鈴木傾城のダークネス・メルマガ編』で取り上げていきたいと思う。(written by 鈴木傾城)

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すでに人工知能の時代がやってくるのは確実であり、いったん人工知能が浸透して向上に次ぐ向上を繰り返していくと、いずれは社会そのものが人工知能によって「再構築」される日が訪れる。

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