いよいよ、バイデン新大統領と共に「弱肉強食の資本主義」も戻ってくる

いよいよ、バイデン新大統領と共に「弱肉強食の資本主義」も戻ってくる

トランプ大統領はキャンセル(排除)された。次のバイデン新大統領はグローバル化を推し進める「仲間」だ。巨大多国籍企業とエスタブリッシュメントは、今後は心おきなくグローバル化を推進できる。格差が超絶的に開き、最終的には1%が99%を支配する世界が固定化する。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019、2020年2連覇で『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

バイデン新政権は実態は第三次オバマ政権でもある

保守派トランプ大統領はオバマ大統領のグローバル偏重を断ち切って「America First(アメリカ第一)」「Make America Great Again(アメリカを再び偉大な国に)」を掲げてアメリカ人に富を戻そうとした。

さらにトランプ大統領は、行き過ぎたリベラル思想や、ポリティカル・コレクトネスによって「普通の白人男性が虐げられている現状」を保守主義で是正しようとした。そして、非合法な手段で増長する中国に毅然として「NO」を突きつけた。

「アメリカ人に富を戻す」「アメリカの権利を主張する」「アメリカ第一優先の政治を行う」という政治姿勢は明確で力強く、「真のアメリカ」を愛する人々はこぞってトランプ大統領を支持した。

しかし、全世界のリベラル派メディア、ハリウッド、グローバルな巨大企業、メガテック、極左活動家たちの総出による攻撃で、トランプ大統領はキャンセル(排除)されてしまった。

これから登場する「バイデン新政権」は筋金入りのリベラル派であり、筋金入りのグローバリストであり、実態は第三次オバマ政権でもある。

2021年から、再び世界はグローバル化とリベラル主義と多文化共生が押し進められていく。アメリカには不法移民が大量に入り込むようになり、安い労働者を求める企業はそれを容認し、アメリカ文化は移民文化に汚染されていく。

グローバル化を推進することが優先となり、アメリカ企業であってもアメリカに愛着を持たず、自国の労働者を雇うのではなく途上国の労働者を安く雇う方に向かう。

自分たちがどれだけ利益を得られるかですべてを判断するようになる。そして、金が稼げるのであれば、市場を開放してくれる中国にさえ尻尾を振ってついていく。

グローバル化の帰結として「格差の拡大」が止まらなくなっていく。そして、一気に弱肉強食の資本主義が復活する。オバマ時代はそうだったのだから、バイデン政権からそうなるのである。

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コロナ禍は格差拡大装置として機能している

株式市場はどんどん上昇しているが、実体経済はどんどん悪化している。コロナ禍は格差拡大装置として機能している。

日本だけではなくアメリカもそうなのだが、「極端な格差が社会に問題をもたらす」と警鐘が鳴らされ続けているにも関わらず、事態はまったく改善していない。改善どころか悪化していく一方だ。

その理由は明らかだ。現在の資本主義の構造からして、格差の是正はほぼ不可能だからである。

資本主義の世界では、資本を持っている者が得するようにできている。そして、資本を持っている者と持っていない者の差は、何もしなくても、どんどん開いていくことになる。

これは単純な話だ。仮に配当の年利回りが3%の株式があったとする。資本を持っている人が1億円でそれを所持し、資本をあまり持っていない人が100万円でそれを所持したとする。

税金・手数料を考えないで考えると、1年経って手に入る配当は、1億円の人は300万円、100万円の人は3万円となる。

同じ3%の条件であっても、結果は297万円も違う。現実は1億円と100万円どころではなく、個人で数十億、数百億の資本を持っている人もいれば、ゼロの人もいる。資本主義では、これほど圧倒的な差が付いたまま競争をしなければならない。

これこそが、弱肉強食の資本主義の正体なのだ。資本の有無で決定的な差がついて、最初から相手にならないのである。最終的に、富はすべて「競争に勝った多国籍企業」に集約される。

トランプ大統領はこれを何とか是正して「アメリカ人」に富を戻そうとした。製造業に「アメリカに戻れ」「アメリカに工場を作れ」と命令し、アメリカ人に少しでも富が還元できるように努力した。

しかし、多くのグローバル企業は協力しなかった。収益第一主義の経営を行っているグローバル企業は途上国で徹底的な搾取によってコストを削減して先進国で高く売って利幅を取るビジネスをしている。利益が減るような真似はしない。だから、トランプ大統領は邪魔で仕方がなかった。

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貧困層の親から生まれてきた子供は何もない

しかし、トランプ大統領の剛腕はもう過去の話だ。トランプ大統領はキャンセル(排除)された。次のバイデン新大統領はグローバル化を推し進める「仲間」だ。巨大多国籍企業とエスタブリッシュメントは、今後は心おきなくグローバル化を推進できる。

格差が超絶的に開き、最終的には1%が99%を支配する世界が固定化する。金持ちの没落や貧困者の成り上がりというドラマはあるが、ほどんどは金持ちは金持ちのまま終わり、貧困者は貧困者のままで終わる。

富裕層の親から生まれてきた子供は、夢うつつで暮らしていても親の財産を継承できるので、放っておいていても、どんどん金持ちになっていく。継承されるのは財産だけではない。豊や人脈や事業も継承される。

配当の例を見ても分かる通り、資産を持っているだけで、その資産が次々に大きな資産を生み出すのである。エスタブリッシュメントは、それを享受する。

逆に、貧困層の親から生まれてきた子供は、元がないので苦難の人生が待っている。夢うつつで暮らしていたら、餓死に追い込まれていく。教育を受けるのも難しい局面にあり、人的資本も皆無に近い。受け継ぐ事業もない。

端的に言うと、貧困層の親から生まれてきた子供は何もない。

アメリカでは、上場企業の経営者は数百億円もの年収を稼ぐ人も珍しくないのだが、その一方で労働者は最低賃金以下の給料でワーキングプアに陥っている。金持ちはさらに金持ちに、貧困者はさらに貧困者になる。

この格差は、巨大メガテックが押し進めるイノベーションによって、さらに開いていくことになる。なぜなら、これらのイノベーションが最初に奪うのは、貧困層が就いていた「反復《ルーチン》作業の仕事」だからである。

こうした歪んだ社会を是正しようとする大統領は、トランプ大統領が最初で最後になるのかもしれない。

バイデン政権以後がどうなるのか分からないのだが、トランプ大統領の復活は徹底的に封じ込まれるし、トランプ大統領の方針を受け継ぐ政治家が出てくるのかどうかは限りなく未知数だ。

いよいよ、バイデン新大統領と共に「弱肉強食の資本主義」も戻ってくる。私たちは今後より深刻な経済格差を目撃することになるだろう。

『ドナルド・トランプ演説集 (The Speeches of Donald Trump)』

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