国民は分断され、貧困層は閉塞感を抱え、金持ちは苛税で国を捨て、政治家は私利私欲に走る国

国民は分断され、貧困層は閉塞感を抱え、金持ちは苛税で国を捨て、政治家は私利私欲に走る国

もっとも岸田政権は意図して国民の分断を煽っているというよりも、「税金を吸い上げて分配する」というスキームを持っているので、分配の不公平感が分断を生み出しやすくしているとも言える。分配したがる岸田政権は国民をバラバラにしてしまうだろう。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。著書は『ボトム・オブ・ジャパン』など多数。政治・経済分野を取りあげたブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営、2019、2020、2022年、マネーボイス賞1位。 連絡先 : bllackz@gmail.com

岸田政権の「国民から吸い上げて分配」するスキーム

岸田政権はインボイス制度を強行してステルス増税をはじめ、さまざまな控除を引き剥がし、社会保障費も引き上げ続けている。だから、間違いなく「金融所得税」の引き上げも、そのうちに実施されるはずだ。

金融所得税は株式投資などの金融商品で得た所得にかかる税金であり、配当や売却利益が所得になる。現在もこれに課税されており一律20.315%となっている。この約20%が引き上げられて、30%やそれ以上になってしまう可能性が高い。

岸田政権は増税のため、国民の分断を生み出す政治システムを採用している。

たとえば、高齢者と若年層の分断を煽って高齢者の税負担を増やしたり、逆に若年層の税負担を増やしたりする。

あるいは、子持ち世帯と子無し世帯の分断を煽って、子無し世帯の税負担を増やしたり、逆に子持ち世帯の税負担を増やしたり、サラリーマンと個人事業主の分断を煽って、個人事業主の税負担を増やしたり、サラリーマンの税負担を増やしたりする。

金融所得課税も、貧困層と中間層・富裕層の分断を煽りながら、「株式投資できるような余裕のある層には税金をどんどんかけてやれ」という声を拾いながら、中間層・富裕層の税負担を増やしていくだろう。

もっとも岸田政権は意図して国民の分断を煽っているというよりも、「税金を吸い上げて分配する」というスキームを持っているので、分配の不公平感が分断を生み出しやすくしているとも言える。

「国民から吸い上げて分配」というスキームは、必然的に分断を生み出すものである以上、分配したがる岸田政権は国民をバラバラにしてしまうだろう。

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岸田政権は資産による国民分断を利用する

岸田政権がいずれ金融所得税をどんどん引き上げていく可能性があるのは、「新NISA」という優遇措置を2024年から始めるということでもわかる。

新NISAとは、2024年1月から始まるNISAの制度改正後の名称である。現行のNISA制度では、つみたてNISAと一般NISAの2つの制度があるのだが、新NISAではこの2つの制度が統合され、1つの制度に再編される。新NISAの主な変更点は、以下のとおりだ。

・非課税投資枠の拡大
・非課税保有期間の無期限化
・口座開設期間の恒久化
・つみたて投資枠と、成長投資枠の併用が可能

新NISAでは、年間の非課税投資枠が360万円に拡大される。つみたて投資が120万円、成長投資枠が240万円。

これまでは「つみたてNISA」は40万円までで、「一般NISA」120万円とは併用できなかったのだが、新NISAでは年間で最大360万円まで、生涯投資金額として総額1800万円まで非課税になる。

「1800万円までの金融所得は非課税になる」と聞くと、貧困層・中間層は「これで十分だ。岸田政権はなんて優しいんだ」という気持ちになるのかもしれない。

しかし、資産が1800万円以上の金融所得を持つ層、とくに資産5000万円以上の準富裕層、1億円以上の富裕層、5億円以上の超富裕層にとっては、「どれくらいやられるのか?」と戦々恐々の事態でもある。

たとえば資産1億円の金融資産を持つ富裕層にとっては、1800万円は非課税であっても、残りの8200万円に莫大な金融所得税をかけられるのであれば、1800万円の非課税枠など焼け石に水である。

準富裕層や富裕層には金融所得税だけでなく、あらゆる税金が引き上げられていくだろう。間違いなく岸田政権は資産による国民分断を利用して、金持ちからの課税強化を進めていく。

そうなれば、金持ちは苛税で国を捨てる動きを加速するだろう。そもそも、円を捨ててドル資産を持つキャピタル・フライトはとっくの昔に始まっている。どのみち日本の価値が下がれば円の価値も下がるので、富裕層は「円資産」なんか持ちたいと思っていない。

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国民から税金を巻き上げるほど政治家の収入は安泰

現在、政治家の「パーティー券による裏金づくり」が暴露されつつあって、国民の怒りを買っている。政治資金パーティーのチケットを販売して得た収入を、政治資金規正法で義務付けられている収支報告書に記載せず、議員個人の懐に入れる。

国民には1円単位で金の流れを把握して税金をむしり取っているのに、議員はこういうのをやりたい放題で税金も払わない。バレても「記載ミスでした」と謝ればそれで通ってしまう。

これを岸田首相から自民党の幹部から野党までやって、せっせと裏金づくりをしているのである。その裏金は請求書も領収書も何もないので、議員が何に使ったのかは誰にも分からない。生活費に使ったのかもしれないし、友好費に使ったのかもしれない。

税金を取り立てる政治家がこれなのである。

政治家は、パーティー開いて金を稼いで、高級料亭でメシを食って、議会中は昼寝してでもやっていける商売だ。だから「ロクな仕事もしないで国民から金を絞り取る上級国民」だと言われるようになっている。

政治家が上級国民だというのは、ある意味当たっている。

政治家は、旧文通費の月100万円は無税であり何に使ったのか報告の義務もない。非課税、領収書不要、使途不明OKなのである。JR無料パスもあって新幹線でもグリーン車に無料で乗り放題である。国内定期航空券も出され、国内定期航空券があれば、ファーストクラスを利用することができる。

お手盛りで自分たちの給料を上げ、ボーナスもがっぽがっぽ出し、議員宿舎の家賃も激安で、政党からの支給もあったりする。まさに「上級国民」さながらだ。皮肉なのは国民の血税で活動しているので、彼らは「増税するインセンティブがある」ということだ。

国民から税金を巻き上げれば巻き上げるほど、政治家の収入は安泰となる。

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何かショッキングな事件が起きる可能性もある

「パーティで私腹を増やして、高級料亭でメシ食って、議会では寝て、増税に賛成するのが政治家」とも言われている。辛辣だが、そう言われてもしかたがないようなレベルにあるのが今の政治家だ。

日本の政治家は30年にも渡って日本を成長させることもできなかった無能である。言ってみれば、全員クビになってもおかしくないレベルだ。私利私欲でしか動いておらず、日本を成長させる実力もない。

これでは投票率が上がらなくてもしかたがない。日本は民主主義とは言われるが、今は衆議院選挙でも参議院選挙でも統一地方選挙でも投票率は五割行くか行かないかである。半分か半分以上は選挙に行かない。

投票率が上がらないのは、国民が選挙に行かないせいとされている。しかし、ほとんどの政治家は日本を変えられないのだから、「政治家が無能のせいで選挙に行く気力が出ない」というのが本音ではないか。

国民の中には「なんで無能な政治家の就職活動(選挙)に、我々が自分の時間を使って行かなければならないのか」と言う人もいる。それくらい、今の政治家は見捨てられているということもである。

そもそも、選挙で「まともそうな人」を選ぶくらいで日本が根底から変わるのを待つのは、もう遅すぎるのではないか。要するに、今の日本の政治のあり方の根底が腐っているので、いくら選挙をしても無駄なのかもしれない。

現在、日本の社会や政治に大きな不満や閉塞や私怨を抱えた人間が山ほどいる。彼らがガソリンや爆弾を抱えて政治家の集会に突っ込んでも私は驚かない。

「こんな社会を打ち壊したい」と思う人は大勢いる。(ダークネス:政治家はいつまでも「自分たちは安全地帯にいる」と思わないほうがいい

国民は分断され、貧困層は閉塞感を抱え、金持ちは苛税で国を捨て、政治家は私利私欲に走る。もしかしたら、現在の政治不信は何かショッキングな事件を引き起こす可能性がある。

『病み、闇。ゾンビになる若者、ジョーカーになる若者(鈴木傾城)』社会に対する復讐感情(ルサンチマン)が膨れ上がっていく日本。日本の裏側は背筋が寒くなる。

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