自民党も駄目、野党も駄目。日本人は、もはや政治の選択肢を失った状態にある?

自民党も駄目、野党も駄目。日本人は、もはや政治の選択肢を失った状態にある?

自民党も駄目、野党も駄目……。日本人はもはや選択肢を失っている状態にある。選択肢を失っているので、堂々巡りして、仕方がなく惰性で自民党に入れると、それがまた増税につながるという悪循環の繰り返しで国が凋落していこうとしている。もう「日本をあきらめた」という人が増えた。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。著書は『ボトム・オブ・ジャパン』など多数。政治・経済分野を取りあげたブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営、2019、2020、2022年、マネーボイス賞1位。 連絡先 : bllackz@gmail.com

これから自民党の権勢は低下していくのではないか

「野党が馬鹿でどうしようもないから、自民党に入れておけば何とかなる」という安易な考え方で日本人はずっとやってきた。

実際、2009年から2012年までの民主党政権は箸にも棒にもかからない売国と反日と機能不全の政権だったので、日本人はこれに懲りて「やっぱり自民党じゃないとダメだったんだ」と完全に自民党一択となった。

確かに第二次安倍政権は、混乱していた日本の政治を安定化に導き、極端に円高だった環境を適度な円安に戻して日本企業の競争力を高め、日本の外交も日米の結びつきを重視しつつ日本独自の外交も推し進めて、日本の影響力を高めた。

しかし、その一方で消費税は二度も引き上げられ、コロナ禍の対応も後手後手にまわり、アベノミクスも国民生活の向上をするには至らなかった。安倍晋三氏は総理大臣を辞任し、2022年7月8日には銃殺されるに至った。

以後、菅政権となって次は岸田政権になって今があるのだが、安倍晋三氏の影響力が失われると共に、自民党は少しずつ内部分裂を始め、亀裂が深まっていき、組織の劣化が進んでいるように見える。

安倍首相が銃殺された時、多くの人は自民党のゆく末に不安を持ち、「今が自民党のピークでこれから自民党の権勢は低下していくのではないか」と発言する人も多かった。今、その不安は的中しつつあるのかもしれない。

2023年4月9日の地方統一選挙で奈良県の知事選では、自民党保守の高市早苗氏が支持していた候補を自民党リベラルが支持せずに別の候補者を立てたことで選挙が混乱して、結局は維新の候補が当選するという番狂せが起きた。

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保守と思ってもリベラルと思っても裏切られる大政党

これを見ても分かる通り、自民党の内部分裂が重要な選挙に悪影響を及ぼすような形となっているわけで、このままでは自民党は統制が取れず、図体だけはデカい烏合の衆になっても不思議ではない。

また「自民党は保守政党である」と信じて支持していた層も、「いや本当にそうなのだろうか?」と疑念を抱き始めるようになってきた。それも無理もない。とても保守とは言えないような発言が内閣から次々と出てきているからである。

岸田首相は「外国人留学生は国の宝です」と言っている。河野太郎は「二重国籍をしっかりと認めていく」と言っている。茂木敏充は「外国人参政権は賛成」と言っている。自民党が保守だと思っている層にとっては、頭を抱えるような発言だろう。

「いや自民党にもバリバリの保守議員がいる」という認識は間違いない。尊敬すべき保守議員もいる。とは言うものの、彼らが自民党を動かしているわけでもないので、自民党全体で見ると、どう考えてもリベラル政党なのである。

保守議員が保守的なことを言うのは、口の悪い人に言わせれば「人寄せパンダ的な働きを期待されているだけ」ということになる。

「選挙の時だけ保守っぽいことを言っていれば保守票が入る」ので、保守系議員は選挙対策に使われているのではないかと邪推する人もいる。それくらい、自民党はリベラル的な動きをしている。

実際には議員同士の権力闘争や力関係などが作用していて、保守系の議員が劣勢であり続けているということが問題なのだろう。しかし、これでは「保守としての自民党」を期待する人たちにとっては「騙された」という気持ちになったとしても当然である。

はっきり言って、自民党は右から左までがぐちゃぐちゃに入り混じって構成されている党なので、保守と思ってもリベラルと思っても裏切られる大政党である。今は統一的な政治信条すらも示すことができない状況になって、何をしたい党なのか、さっぱり分からなくなってしまっている。

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自民党に入れ続けると日本は崩壊するレベル

そんなわけで、内部はゴタゴタしているし、取り立て国民に信頼される議員もいないし、信頼感も喪失しつつある自民党に期待する人は徐々に減っている。岸田政権に入ってからは、急激に自民党に対する悪感情が深まっている様相すらある。

それもそうだ。岸田首相は当初は「令和の所得倍増」とかぶち上げながら、首相になったら「それは言葉通りの意味ではない」とか言い訳して、結果的には実質賃金が11ヶ月連続で前年比を下回るような情けない政治をしている。

国民は所得倍増どころか所得激減に見舞われているのである。その次に「金融所得」とか言い出したが、別に株価を上げるような政策をしているわけでもないので誰の金融所得も倍増していない。

それで「国防強化」と言うので、何かと思ったら「国を守るために増税する」というものだった。次に「異次元の少子化対策」というので、何かと思ったらこれも「社会保険料を上げる」と実質的な増税だった。

それで、やっと日本国民は岸田首相が何をやりたいのか気づくようになった。岸田首相がやりたいこと。それは財務省が言うがままに「税金を取りまくって国民を搾取すること」だったのだ。

緊縮財政の継続も税金による国民を搾取だ。社会保険料の引き上げも実質的な増税だ。消費税の継続も税金による国民を搾取継続だ。インボイス制度の強行も個人事業主やフリーランスから搾取だ。マイナンバーカード強化も国民の保有する資産を完全に捕捉するための「紐付けシステム」である。

何もかも、増税に結びついているのである。「国民のため」という大義名分を見つけてひたすら増税を仕掛けていくのが岸田政権の姿だった。国民にとっては、あまりにも危険すぎる政権でもある。

ところが、岸田首相以外ならマシなのかというと、次の首相候補が河野太郎だったり、茂木敏充だったりするのだから、どうしようもない。「自民党に入れておけば何とかなる」どころではない。自民党に入れ続けると日本は崩壊するレベルに達しようとしている。

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もう「日本をあきらめた」という人が増えている

それでは、「改めて野党に期待するしかない」と野党を見回すと、相変わらず野党側は反日活動家政党か売国政党くらいしかない。

もちろん小さな保守政党は頑張っているのだが、保守王道のスタンスはマスコミが嫌悪しており、その存在を完全に無視して存在を抹殺するので、国政の足がかりすらも得られずに苦しんでいる。

要するに日本人はもはや選択肢を失っている状態にある。選択肢を失っているので、堂々巡りして、仕方がなく惰性で自民党に入れると、それがまた増税につながるという悪循環の繰り返しで国が凋落していこうとしている。

「政党ではなく議員を選ぶ時代になった」とも言われているが、その議員が選択肢の基準に入らないレベルになっている問題もある。

ハニトラに引っかかる政治家
利権にむらがる政治家
公約を守らない政治家
売国反日活動家の政治家
国籍不明の政治家
カルトべったりの政治家
アイドル崩れの政治家
寝てばかりの政治家
他国家のために働く政治家
世襲の家系図を自慢する政治家
国会に出席しない政治家

こんな政治家たちを前にして国民はどうしたらいいのか。どうしようもない。他に選択肢がないので誰かを入れると、こういうのが続々と議員になる。

もう「日本をあきらめた」という人が増えているが、そう思う人の気持ちがよく分かるほど日本の現状はひどくなってきている。今後の10年もこのような調子で終わるのであれば、本当に日本は終わりだろう。

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