「政治そのもの」に強い不信と不満。既存の政治家たちの賞味期限は完全に切れた?

「政治そのもの」に強い不信と不満。既存の政治家たちの賞味期限は完全に切れた?

すでに国民は「税金を払わないカネを作るためにパーティをやって、会食するのに高級料亭に行って高級料理を食べて、それでいて議会中に昼寝して、決める政策は増税ばかり」と政治家に呆れかえっている。要するに「政治そのもの」に強い不信と不満が湧いている。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。著書は『ボトム・オブ・ジャパン』など多数。政治・経済分野を取りあげたブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営、2019、2020、2022年、マネーボイス賞1位。 連絡先 : bllackz@gmail.com

自民党の存続をも揺るがす政治スキャンダルになった

自民党の議員たちがパーティー券を売って、それを裏金にしていたという問題で、政治不信がとめどなく広がっている。自民党の最大派閥である清和会(巷で言う安倍派)が、政治資金パーティーの収入や支出を隠覆していた疑惑だ。

自民党の政治資金パーティーでは、1枚2万円のパーティー券を販売して収入を得ている。パーティー券の販売収入は、会場代や飲食代などの経費を差し引いた額が、政治活動に使用される。

清和会の幹部たちは、パーティー券の販売ノルマを課し、ノルマを超えて販売された分の収入を、派閥幹部や所属議員にキックバックしていた。キックバックされた資金が、収支報告に記載されずに裏金として使われていた。

この疑惑は、2023年12月に、東京地検特捜部が清和会幹部や所属議員を家宅捜索したことで発覚した。

特捜部は、政治資金規正法違反などの容疑で捜査を進めているのだが、現在、いよいよ事情聴取が始まっていて捜査の対象になるのは数十人にも及ぶ。すでに安倍派「5人衆」の中枢幹部である世耕弘成参院幹事長も辞表を提出、萩生田光一政調会長も辞任、高木毅国対委員長も辞任する。

岸田首相は、清和会の閣僚を交代させる方針を表明し、政治資金の透明性と公正性を確保するための対策を検討する考えを示しているのだが、問題は清和会だけでなく、宏池会(岸田派)にも飛び火する可能性があって、場合によっては自民党の存続をも揺るがす政治スキャンダルになっていく可能性があることだ。

では、野党はクリーンなのかというと、まったくそういうことはなく、立憲民主党の安住淳国対委員長なども2022年分の政治資金収支報告書に、30万円分のパーティー券収入を購入した団体名と金額を記載していなかったことが発覚している。

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政治資金規正法違反であるならば議員を辞めろ

国民には増税やら社会保険料の負担増を次々と決めておいて、自分たちはパーティーを開いて裏金づくりに精を出して税金逃れする。バレたら、慌てて訂正したり言い逃れしたりする。その言い逃れは、見苦しいものばかりだった。

「お答えを差し控えさせて頂きます」
「今、精査しているところです」
「適切に対応したい」
「職務は果たしたい」
「しかるべきときに説明」……。

さらに清和会に属する議員のひとりは記者会見の中で、「今日は何も言わない」と勝手に宣言し、それでも食いつかれたら、「何も言わないって言ってるじゃない」と怒りだして、あげくの果てに記者に「頭悪いね!」と毒づく始末だった。

西村康稔経産大臣も「精査します」「精査します」と言い続け、かなり時間が経った後も「慎重に精査を続けている」と言い「いずれかの時点でしっかり説明したい」と言いながら今も何も説明していない。

政治家が「後でしっかり説明する」とか言って実際にしっかり説明してくれたことはほとんどない。

そう言えばパリに豪華旅行に行って、それを批判されると「後で報告書を出す」と言っていた女性議員もいたが、結局は報告書を出さない。今の政治家の言葉は非常に軽くて無責任であるのが次々と思い浮かぶ。

この裏金問題は、政治家や政治団体が国民の信託を裏切る重大な問題でもある。政治家がいかに言い逃れをしようとも、政治資金規正法違反であるならば役職ではなく議員を辞めるべき背任行為である。

もし仮に何らかの政治的意図によって政治資金規正法違反にならなかったとしても脱税で逮捕されるべきでもある。別に自民党・清和会の議員だけの話をしているわけではない。裏金にかかわったすべての議員の話をしている。

国民にコンプライアンスを強いるのであれば、「議員が模範を示せ」というシンプルな話でもある。

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国民に負担だけ押しつけて自分たちはやりたい放題

なぜ国民がここまで政治家の薄汚い「裏金づくり」に激怒しているのかというと、政治家はこれまで「財政が逼迫している」とか言って、ひたすら国民に税負担や社会保障費の負担を押しつけてきたからだ。

政治家の無能な政治のせいで日本は30年も成長することができず、実質賃金も上がらず、それでいて国民負担率はすでに5割近くになっている。それなのに、今後はもっと税負担を引き上げようとしているのが今の政治家どもなのである。

「今後、高齢者が増えるのでしかたがない」と政治家は弁明するのだが、少子高齢化の問題は昨日今日に突如としてわかった問題ではない。数十年も前から「このまま何もしないと日本は世界最悪の少子高齢化が進む」と激しく警鐘が鳴らされていた。

にもかかわらず政治家は無策を続けて、今になって少子高齢化がもたらす大きな問題に蒼白になって、とにかく何が何でも税金を引き上げることで対処しようとしている。しかし、これ以上の増税では国民は疲弊するばかりであり、ますます少子高齢化は悪化してしまう。

そういう無策を続けてきたのが今の政治家たちであり、そういう政治家どもが馬鹿のひとつ覚えのように「骨太の方針」とか言って国民に痛みと負担だけを押しつけているのだ。

ところが、である。

政治家どもは、ただでさえ安い議員会館の家賃をもっと引き下げ、旧通信費は100万円何に使っても非課税で、立法事務費も非課税で、パーティーなどの寄附金も原則非課税である。バスも新幹線も飛行機も乗り放題で、しかもグリーン車であったりする。

視察と称して外国で豪遊し、馬鹿息子や愛人を秘書とかにして給料をばらまき、さらにパーティで券を売って酒を飲んで裏金を作って何でも好きに使う。そういうことを延々とやっている。

あまりにも「おいしい特権」ばかりなので、政治家は自分のぼんくら息子や娘も政治家にする。だから、日本の政治はぼんくらの世襲で満ちあふれている。ちなみに、子供に政治団体を作らせてそこに寄付して毎年2000万円まで非課税にするというスキームもあるとも聞いた。

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「政治そのもの」に強い不信と不満が湧いている

そんな、やりたい放題をやって国民に負担だけ押しつけて、国を成長させるどころかどんどん凋落させていく。「今の政治家はあまりにも無能すぎる」と国民から批判されてもしかたがない状態だ。

そんな中で、パーティー裏金づくり問題が発生しているのだから、国民が激怒しても当たり前の話である。

これから政治家が自らの持てる力を最大限に発揮してこの問題を「なかったこと」にして何事もなく封じ込めてしまうのか、それとも東京地検特捜部が容赦なく議員の「裏金」を暴いて銭ゲバ政治屋を晒し上げるのか、まだ未知数だ。

しかし、政治家の政治資金規正法違反や脱税がこれだけえぐり出されて政治不信が渦巻いているのだから、政治家たちがどのように問題を収束させて生き延びたとしても、国民はもう政治家を心から支持することはないだろう。

今回、槍玉に挙がっているのは自民党の保守派議員たちなのだが、自民党の保守派議員はもう韓国のカルト教団に媚びを売って、LGBT法案で保守層を裏切って「エセ保守」だと見透かされ、岩盤支持層を離反させてしまっている。影響力はかなり小さくなってしまうだろう。

しかし、これは自民党の保守派の派閥だけの問題ではないのだ。自民党という政党そのもの、そして「その他の野党」に対しても強い批判の目がある。

すでに国民は「税金を払わないカネを作るためにパーティをやって、会食するのに高級料亭に行って高級料理を食べて、それでいて議会中に昼寝して、決める政策は増税ばかり」と政治家に呆れかえっている。

要するに「政治そのもの」に強い不信と不満が湧いている。もう既存の政治家たちの賞味期限は完全に切れたということではないだろうか。

よくよく考えたら、30年も日本を成長させることができず、自主独立もできず、国民を貧困化させるだけの政治集団など存在する価値がない。これを期に、日本の今の与党野党が全部きれいに吹き飛んでも政治家の自業自得でもある。

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