今の与党も野党も吹き飛んで「新しい何か」が日本の政治を統治していくのでは?

今の与党も野党も吹き飛んで「新しい何か」が日本の政治を統治していくのでは?

もう日本の政治には期待するだけ無駄なので、投票率はもっと下がっていく。そして今の政治は機能しなくなる。その結果、根底から破壊されるような衝撃的かつ暴力的な出来事が発生して、今の与党も野党も吹き飛んで「新しい何か」が日本の政治を統治していくのではないか?(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。著書は『ボトム・オブ・ジャパン』など多数。政治・経済分野を取りあげたブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営、2019、2020、2022年、マネーボイス賞1位。 連絡先 : bllackz@gmail.com

岸田首相は何を考えて政治をやっているのか?

「令和の所得倍増」を約束しながら首相になったのに、首相になった途端に「倍増」を言わなくなり、「金融所得倍増」とか「資産倍増」とか、どんどん適当にずらすようになった極度の嘘つきが岸田文雄だ。

それで結果はどうなったのかというと、実質賃金が18か月連続でマイナスという惨状である。18か月連続とは、「いったい何を考えて政治をやっているのか」と呆れるようなレベルで開いた口がふさがらない。

国民の可処分所得を増やして、「所得倍増」とは言わないまでも実質賃金を引き上げて倍増の緒《いとぐち》を示すくらいなことはやってほしいのだが、岸田政権がやっていることはまるであべこべなのだ。

どういうことかというと、この景気の悪い中でも消費税を撤廃とか引き下げを「検討」すらしないし、むしろインボイス制度を取り入れてステルス増税をしてしまったり、2024年以降には大量の増税や負担増をするのである。

2024年から森林環境税が取り入れられて私たちから1000円を強制的にむしり取っていくし、生前贈与に関しては加算期間が延長されるし、75歳以上の高齢者の介護保険の自己負担額は増額される。

ついでに、後期高齢者医療保険の保険料上限引き上げもある。高齢者は年金が唯一の収入である人がほとんどなのだが、自己負担額を増額するということは、要するに「年金を減らす」と言っているも同然なのだ。

不景気感が拭えない今のこの時期に馬鹿なことをやるのだから、岸田内閣が日本から活気と成長を奪い取っているにも等しい。これで「明日は今日よりも良くなる」と言われても、「ふざけるな」と言うしかない。

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 「実体以上に国民負担が重く感じる」のは?

そして、岸田内閣は2025年、2026年にも増税の布石を打っている。すでに所得税が上がることも決定している。たばこ税も増税される。復興特別所得税は2.1%が上乗せされて課税期間がなんと20年も延長される。

一方で、厚生年金は支給が減額され、退職金や通勤手当の非課税枠が縮小され、配偶者控除や扶養控除は廃止されていく。生命保険料は控除が見直しされ、健康保険料は保険料が上乗せされる。

何が起きているのかというと、岸田政権は国民負担率をもっと引き上げていこうとしているのである。国民負担率については2023年は46.8%という話なのだが、2024年はついに50%を超えて51.0%になるという予測が出されている。

国民負担率は「租税負担率」と「社会保障負担率」の2つによって計算されているのだがどちらも2024年から上がるのだから国民負担率が50%を超えても不思議ではない。

悲惨なのは、その後も租税負担は上がるのは100%予定されていることなので、国民負担率はもっと上がっていくことが「決まっている」ことである。今でも私たちは国民負担が重いと感じているのだが、これからもっと重くなっていく。

ちなみに、東京大学大学院経済学研究科教授の宮島洋氏は『経済,財政および社会保障の将来展望について』の中で『国公立学校の授業料、公立福祉施設の利用料、保険医療の患者自己負担等の受益者に義務づけられた公的負担や、在宅介護や企業福利厚生に要する私的負担は「国民負担」に含まれない』と述べている。

こうしたものも国民負担率に含めれば、国民負担率はもっと高くなる。「実体以上に国民負担が重く感じる」のは気のせいではないのだ。

30年も国を成長させることができなかったのが自民党と公明党なのだが、岸田政権も結局は日本を成長させることができる力量がなく、ただただ国民負担率を引き上げて国を衰退させている無能な政権のひとつである。

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「もはや自民党は保守ではない」と日本国民は認識

それで起こるべくして起こっているのが岸田内閣の支持率の低下だ。

どの調査でも岸田政権に対する支持は軒並み20%台の危険水域を示す結果となっている。この20%台というのは、民主党の菅直人政権よりも低いのだから「救いようがない」ということだ。

興味深いことに、自民党のシンパであるはずの読売新聞の世論調査(11月17日~19日)でも、支持率は24%、不支持率は62%という最悪の数字になっている。読売新聞でさえ擁護できないレベルに落ちているのだ。

マスコミは「政府の経済対策への不満や政務三役のスキャンダルと相次ぐ辞任」が原因としているのだが、実際はその前から岸田政権に対する不満は非常に強く燻っていた。経済対策と共に、インボイス制度の強行やLGBT法案の強行の不満などが引き金になっている可能性が高い。

とくにLGBT法については深刻だ。岸田政権はこんな稚拙なものを急いでやる必要がないのにやったわけで、これで自民党や岸田政権に対する失望と信頼が一気に剥奪した。

「もはや自民党は保守ではない」と日本国民は認識した。これによって自民党の「岩盤保守層」が自民党に見切りをつけて離脱してしまったので、今後の自民党の凋落はより鮮明になっていくはずだ。

この結果を受けて衝撃を受けた岸田首相は慌てて「所得税など4万円を減税、非課税世帯は7万円給付」と言い出したのだが、それでも「時限的なもので、ただの選挙対策に過ぎない」「パフォーマンス」と見透かされて「評価しない」が61%になるという有様だった。

減税を発表されても「支持する」が増えなかったのは、それだけ日本国民の岸田政権に対する失望と不信が深いのと、もう国民負担率があまりにも高すぎて少しくらい減税されても焼け石に水の状態になっているからだ。

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今の政治が機能しなくなるので、どうなるのか?

岸田内閣は国民には負担を思いっきり押しつけてくるくせに、自分たちの給料を引き上げる給与法改正案は11月17日にあっさり決めている。岸田首相個人は46万円の賃上げとなる。

さすがに批判が殺到するのを見越して、岸田首相と政務三役は増額分を自主返納すると言っているのだが、永久に自主返納するとは言っていないし、国民が忘れた頃にはちゃっかりもらっていたとしても誰も分からない。

そういうのもあって岸田の支持率は上がる見込みもなく、自民党の支持率もずるずると低下している。一方で自民党べったりの公明党だが、2023年11月15日に創価学会の名誉会長であった池田大作が死亡して、今後は組織の結束や求心力が低下していくことが予測されている。

つまり、自民党も公明党も両方とも時期を同じくして凋落するということだ。

しかし、これが一気に政権交代につながるかと言われれば難しいところである。なぜなら、どの野党も自民党よりも支持が得られていないし、自民党の代わりになるような力もないからだ。2023年11月の時点で言うと、政党支持率で「支持政党なし」は62.5%にもなる。

ということは、岸田政権が瓦解しても凋落していく自公民がこれからもだらだらと政権を担い続け、相変わらずどうでもいいような馬鹿な世襲議員が首相になって財務省などに言われたとおりの政策をすることになるということだ。

馬鹿な首相が馬鹿な世襲議員で内閣を作って、国民負担率をどんどん引き上げて日本をもっと駄目にしていくだろう。

2023年11月12日の『ダークネス・メルマガ編』で私は、『私は安倍政権に少し希望を見出すところもあったが、安倍晋三が消費税を8%にして、さらに10%にした時点で見切りをつけた。「ああ、この人も期待するだけ無駄だった」と思い、2019年には完全に安倍政権にも自民党にも見切りをつけた』と書いた。(鈴木傾城のダークネス・メルマガ編

もう日本の政治には期待するだけ無駄なので、投票率はもっと下がっていく。そして今の政治は機能しなくなる。

その結果、根底から破壊されるような衝撃的かつ暴力的な出来事が発生して、今の与党も野党も吹き飛んで、私たちが想像だにしていない「新しい何か」が日本の政治の実権を握り、統治していくのではないか?

日本の歴史を見ると、幕末から明治にかけて、あるいは昭和初期から敗戦にかけて、日本は衝撃的な出来事のあとにガラリと体制を変えてきた。戦後の日本は実質的には自民党体制だったが、この体制が瓦解したあとは社会そのものまで完全に変わってしまっても不思議ではない。

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