無能政治のツケはこれから。今後の10年で最悪な「5つの出来事」が鮮明化していく

無能政治のツケはこれから。今後の10年で最悪な「5つの出来事」が鮮明化していく

ほとんどの人は、もう自民党には何も期待していない。旧態依然とした政治家が、何の進歩もないような政治をだらだら続けて日本を疲弊させている。ところが「他の野党はもっと政権担当能力がないので自民党に入れるしかない」と言って、有権者の多くが自民党に票を入れるのだ。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。著書は『ボトム・オブ・ジャパン』など多数。政治・経済分野を取りあげたブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営、2019、2020、2022年、マネーボイス賞1位。 連絡先 : bllackz@gmail.com

他の野党はもっと政権担当能力がないので自民党に入れる

「とりあえず自民党に入れておけばいい。そうすれば、とびりき良くもならないが急激に悪くもならない。変な野党に入れたら、世の中ぐちゃぐちゃになってしまうかもしれないが、自民党だったら今のままの世の中が続く。仮に徐々に環境が悪くなったとしても、他に選択肢がないから仕方がない」

日本人の多くはそのように考えている。特に高齢層はその傾向が強い。

日本の政治の問題は、野党があまりにも無力で機能しておらず、自民党の対抗馬となる政党が皆無なことである。もはや、選挙が機能していない状況にあると言っても過言ではない。

だから、選挙が始まったら有権者の多くが「とりあえず自民党」と言って、何も考えずに自民党の候補者に票を入れる。

しかし、その自民党はこの30年で日本をまったく成長させることができないような無能政党に成り果てている。賃金を上げることもできない。デフレを解決することもできない。自主防衛することもできない。何もできないで現状維持だが、その現状維持すらも失敗している。

興味深いことに、「とりあえず自民党」とは言うが、ほとんどの人は自民党には期待しているわけではない。

旧態依然とした政治家が、何の進歩もないような政治をだらだら続けて日本を疲弊させ、弱体化させ続けている。たとえば、少子高齢化が亡国を招くことが数十年前から分かっていても何もしない。「いい加減に対策を取れ」と言われると、増税することしか考えない。国民はそういうのをじっと見ている。

ところが……、である。「他の野党はもっと政権担当能力がないので自民党に入れるしかない」と言って、有権者の多くが自民党に票を入れるのだ。

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もう選挙なんかに期待したところで仕方がない?

自民党に入れたところで日本は良くならない。今の自民党ができるのは増税することだけだ。しかし、すでに日本の国民負担率は47.5%にも到達しており、重税が国民をより疲弊させてしまっている。

それでも、おかしな野党に入れたら一瞬にして今までの現状維持が吹き飛んで、経済も生活も破綻してしまう恐れがあるので、恐ろしくて野党に票を入れることもできない。

じわじわ駄目になっていくのを分かっていて自民党に入れるか。それとも、いっそのこと、野党に入れて一瞬で駄目にしてしまうか……。

選挙結果を見ると、どの選挙でもだいたいは自民党が議席を取る。国民はいろいろ考えて堂々巡りをして、結局は自民党を選択して「時間稼ぎをするしかない」という結論に達しているのがわかる。

確かに自民党は選挙で選ばれ続けている。しかし、それで「自民党が支持されている」と考えるのは無理がある。

そもそも、選挙に行かないという選択肢をする人も多い。参議院選挙であれ衆議院選挙であれ、選挙に行かないという選択肢をする有権者は半数近くいる。地方選挙ともなれば、もはや6割だとか7割の有権者は選挙に行かない。

「選挙に行ったところで世の中は変わらない」と彼らが思っている証拠が「低得票率」として表れていると言える。

選挙に行かない理由の筆頭は「誰に入れたらいいのか分からないし、誰に入れても世の中変わらない」という氷のように冷め切った感情があるからだ。

誰に入れたらいいのか分からないというのは、選挙に関心を持ったところで無駄だというあきらめのようなものがあって、関心が向かないからである。

「いや、選挙に行ったら世の中は変わる」と言われても、バブル崩壊以後、30年も選挙で世の中が変わらないのだから、「選挙で世の中を変えよう」と言われても心が動かないのは当然ではないか?

政治家が本気で日本を良くしてくれないと、選挙そのものが意味をなくす。国民は人生を政治家に託しているのだから、政治家が期待に応えてくれないとみんな不幸になる。

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自民党に対する期待感は再び大幅に下がりつつある

私は、もう日本人はいくら選挙をしようが世の中は変わるわけではないので、とっくの前に政治をあきらめてしまっており、「最善で現状維持、最悪でもじわじわと悪くなる感じ」で妥協したのではないかと思っている。

有権者の半分以上は投票に行かないことや、投票に行く人のだいたいが自民党に入れるという結果が続いているのを見ると、日本国民の意思は「このまま茹でガエルのままやっていこう」ということであるのが読み取れるではないか。

自民党は駄目だというのは、バブル崩壊した頃にはもう分かっていた。

それで日本新党だとか新党さきがけとか新生党とかができたりして自民党が下野したりすることもあったのだが、結局は野党も駄目だということになって、いつの間にか自民党に政権が戻った。

しかし、やっぱり自民党はどうしようもないとなって、2009年には再び野党である民主党が政権を取ったのだが、やっぱり大混乱してまた自民党に戻った。自民党に戻したら、第二次安倍晋三政権が樹立して何となくうまく機能しているようにも見えた。

結局、この安倍政権も日本を浮上させることはできなかったが、それなりに現状維持には成功していたように「見えた」わけで、それなら「もう贅沢言わないで自民党でやらせておけばいい」となった。

この第二次安倍政権で、大半の日本人は「最善で現状維持、最悪でもじわじわと悪くなる感じ」でやっていこうと決めたのではないか。しかし、その安倍晋三氏も狙撃されて死去してしまい、自民党に対する期待感は再び大幅に下がりつつある。

自民党を支持していた層の中には保守の国民も多かったが、安倍氏がいなくなってから自民党内の保守も精彩を欠いている。保守層も自民党を見限るわけだから、自民党の凋落はこれから想定以上に早まっていくはずだ。

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今後の10年で以下の5つの出来事が鮮明化していく

自民党は30年以上も経済成長させることができない無能政党に堕してしまった。しかし、自民党に変わる野党もない。

「野党は駄目」「自民党も良いわけではない」という状態がずっと続いていて「それなら、もう選挙なんかに期待したところで仕方がない」という感情が日本人に強化されていった。

「政治に期待できない」のであれば、そうなって当然なのである。

「選挙に行かないのは無責任だ」と選挙に行かない有権者を激しく批判する向きもあるのだが、それほど有権者に「行っても世の中は変わらない」と思わせている政治の現状にも問題があるのは確かであり、有権者だけを激しく責めるのは筋違いでもある。

いずれにしても、そうやって期待できない政治がこれからも続く可能性が強い。何しろ自民党は30年間「日本の社会問題を解決できなかった党」「経済成長もさせられなかった党」としてマイナスの実績ががあるわけだから、その自民党に政治を任せたところで日本が良くなる可能性はないと断言できる。

今ですらも日本は少子高齢化でボロボロになりつつある国なのだから、2020年代の日本も「奇跡的な成長」はない。奇跡的な成長どころか、むしろ無能政治のツケがこれから国民に回っていく。ひとまず、今後の10年で以下の5つの出来事が鮮明化していくだろう。

・国民が政治に見切りをつけて無関心が加速していく。
・日本のさまざまな社会問題がより悪化していく。
・日本経済がもっと悪化していく。
・国家が弱体化していく。
・日本人の多くが貧困化していく。

これからは、今のほとんどの日本人が思っている以上に状況は悪くなる。しかし、もはや日本人は政治には何も期待していないので、ただ現状維持のためだけに自民党を惰性で選び続ける。

そのため、このままでは日本は何も変わらないまま最悪の結末に向かう可能性が高い。これからの私たちは自分自身の力で「自分はいかに生き残るのか」を模索しないといけなくなっていることを示している。国がもう頼りにならないのだから……。

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