2022年は金融経済も実態経済も共に停滞を余儀なくされる暗い社会になりそうな気配

2022年は金融経済も実態経済も共に停滞を余儀なくされる暗い社会になりそうな気配

状況は刻々と変わるのだが、今は「オミクロンの登場によってコロナは数ヶ月収まらない」という悲観論が広がっており、これが欧米や日本の株式市場の下げにつながっている。こんな情勢が続けば当然のことながら社会の停滞は止められないし、暗い社会になりそうな気配だ。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019、2020年2連覇で『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

これからは厄介な時代になるというのは誰もが思っている

収まると思っていたコロナ禍は、オミクロン株の登場で再び欧米や韓国などの感染情勢を悪化させている。

アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ等は一日数万人規模の新規感染者が出ており、感染拡大と共に重症患者も増えてきた。2021年12月18日、ロンドンでは「重大事態宣言」が出されている。

オランダはロックダウン導入でクリスマス気分は急激に萎み、アメリカでは劇場が次々と公演中止に追い込まれている。ただ、いい加減にコロナに飽きてしまった人々はかつてのようにステイホームやロックダウンを素直に従うわけでもない。

街には想像以上に人が多く、それもまた感染拡大に拍車をかけている。

「K防疫」とか言って感染者の減少を自慢していた韓国もウィズコロナに移行した瞬間に感染拡大が止まらなくなり、いまや重症者続出で医療崩壊が起きているような状況になっている。

日本は世界中が驚くほど感染者が少ない。しかし、調子に乗って入国緩和なんかして外国人を大量に入れていたら、日本もまた感染拡大が起こる可能性はある。

日本政府は気が気でないだろう。日本で再び感染拡大が始まったら、日本人はまたステイホームで実体経済を縮小させる。

オミクロン株は感染力は強いが症状は弱いと言われているのだが、それでも各国が警戒することによって国境は再び閉鎖し、実体経済は悪化する。実体経済の悪化は、内需の縮小と企業の倒産という「負のスパイラル」を生み出す。

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2022年は株式市場にとっても厄介なことになりそうだ

状況は刻々と変わるのだが、今は「オミクロンの登場によってコロナは数ヶ月収まらない」という悲観論が広がっており、これが欧米や日本の株式市場の下げにつながっている。

こんな情勢が続けば、当然のことながら社会の停滞は止められない。

2020年、2021年の2年間で世界中の政府が量的緩和を行ったので実は株式市場は潤ったのだが、現在はこの量的緩和を引き締める動き(テーパリング)が発動されている。

アメリカでは量的緩和を起因としたインフレも起きているので、テーパリングの後には利上げも待っている。

オミクロンが深刻化する中で、インフレも止まらず、さらに量的緩和もできず、利上げも始まるわけだから、私自身は2022年は株式市場にとっても厄介なことになりそうだと憂慮している。

今後どうなるのかはすべてオミクロン次第だ。悪くならなければいいが、状況は芳しくない。政府が人々の行動を規制せざるを得なくなればなるほど、実体経済は悪化して貧困層が追い詰められていく。

経済的に豊かな人々は2020年から2021年の量的緩和で株式市場の値上がりという恩恵を受けているので、2022年が苦しい局面になったとしても生活には支障がないかもしれない。

しかし、貧困層は株式市場の恩恵など何一つ受けていないのだから、ここ2年間ずっと苦しいままで、さらに来年も苦しくなるのだから悲惨である。こうした貧困層は世界中で増えている。

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2022年はこれまでの2年間と違った形になるのではないか?

経済格差が広がれば広がるほど社会には不公平感が充満する。そうすると、自暴自棄に陥った人たちが無差別殺人を行ったりするような事件も増える。

日本でも希望を失った人たちが無差別に人を切りつけたり火を付けたりしているが、世界的に見れば、今後の数年で貧困層の暴動や抗議デモや乱射事件やテロ行為も目に付くようになっていくだろう。

実のところ、弱肉強食の資本主義は格差を広げるだけ広げていく一方なので、経済格差によるどん底の人たちの増加と社会に対する憎悪はコロナ禍以前からずっとあったのだが、これがコロナ禍で加速されている。

2022年には収まると思っていたのに、オミクロンでまたロックダウンや自粛の強要で苦境に落ちる人が増える。

要するに社会はますます悪くなる。

2022年がこれまでの2年間と違った形になるのではないかと思うのは、今までの2年間はこうした人たちの苦境がクローズアップされて社会全体がどん底の人たちを思いやっていたが、今後は彼らの存在が当たり前になって誰もが関心を失ってしまうことだ。

これは以前にも起こった動きだ。ネットカフェで寝泊まりする若者たちの苦境が報じられて数年は、社会の目はこうした若者たちに同情していたが、数年も経つと彼らの存在はもう話題にもならなくなって放置されていた。

貧困が定着するに従って誰も貧困者を顧みなくなっていった。2022年からコロナ禍で苦境に落ちた人がもう関心も持たれなくなるのではないかと思う。

こうした情勢をいろいろ考えると、2022年は金融経済も実態経済も共に停滞を余儀なくされる暗い社会になりそうな気配がある。

ちなみに、そうした社会になっても、政府も企業も家族も助けてくれなくなっているのが今の社会である。(ブラックアジア:政府、企業、家族。かつて私たちを守ってくれていたものは、もう機能していない

『どん底に落ちた養分たち――パチンコ依存者はいかに破滅していくか(鈴木 傾城)』
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