これから日本の平和ボケが急速に消えていって軍産複合体を求めるようになる理由

これから日本の平和ボケが急速に消えていって軍産複合体を求めるようになる理由

アメリカと中国の戦争は、日本を完全に巻き込む。今まで日本人は平和ボケしていると自他共に認める国民性だったが、世界情勢が変わってきているので、今後は急激に平和ボケは消えていくと私は見ている。平和ボケは、実はアメリカがあえて日本に定着させたものだ。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。著書は『ボトム・オブ・ジャパン』など多数。政治・経済分野を取りあげたブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営、2019、2020、2022年、マネーボイス賞1位。 連絡先 : bllackz@gmail.com

日本は、東アジアの戦争に巻き込まれていく

ロシアとウクライナの戦争が泥沼化しているのだが、本来であれば弱小国家であるウクライナがこれだけ戦闘で持ち堪えているのは、その裏側には欧米の軍事産業が武器・弾薬を大量に流し込んでいるからである。

最近もアメリカは、ウクライナに対する3億2500万ドルの新たな軍事支援を発表し、ロケット砲の弾薬、砲弾、地雷などをウクライナに支援することを決定した。ウクライナを支援しながら、公然とロシア打倒に動いている。

アメリカは軍産複合体で成り立っている国だ。自国に対抗する国があれば、どんな手段であっても叩き潰すために動く。ロシアはアメリカの巨大な敵対国なのだから、アメリカがロシアを叩き潰す大義名分を逃すはずがない。

アメリカはウクライナを通してロシアと戦っているわけで、実質的にはこれはロシアとアメリカの戦争であるということも言える。

ところで、アメリカが対決する国はもうひとつある。それが中国である。最近、日本も改憲の動きが活発化しているのだが、これはまぎれもなくアメリカが中国を叩くための準備であるのは誰もが指摘していることだ。

アメリカは中国を叩くのに恐らくアジアのすべての国を駒として使う。ロシアを叩くためにウクライナを使っているのと同様に、中国を叩き潰すために台湾もベトナムもフィリピンも日本も韓国も使う。

「日本も武力衝突の当事国になる」というのは、もはや決定した未来だ。日本もまた中国との戦争の駒として重要な役割を果たすことになる。

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日本侵略が正当であるという部分につながっていく

1980年代。日本は経済的にも世界の頂点に立ったので、アメリカは日本を敵対国家として認識して、以後はひたすら日本叩きをしてきた。

日本の経済崩壊は自民党の無策が招いたことでもあるのだが、もう一つの大きな要因としては「アメリカの日本敵視」がもたらした原因であったとも言える。日本の政治を内外から圧力をかけて、日本の経済をボロボロにした。

アメリカの国策として、自国に対抗できないように日本の国力を「落とさせた」のが1990年から現代までのアメリカの姿勢であったと言える。

しかし、そうしているうちに今度は中国が危険なまでに台頭してくるようになってきた。アメリカは中国を14億人の人口が作り出した巨大な市場として利用するつもりだったのだが、中国共産党は逆に非合法な手段で知的財産を盗み取り、欧米の市場を荒らすようになってきた。

オバマ政権の初期の頃はあからさまに媚中政策をしていたアメリカだったが、後半になるとオバマ大統領でさえも中国に大きな不信感を持つようになった。そして、トランプ大統領から、露骨なまでの反中政策に邁進するようになってきた。

それで中国は折れるのかと言ったらまったくその気配はなく、ますます巨大化してアメリカを脅かすようになってきている。

だからこそ、アメリカは何年も前から中国を「仮想敵国」から「敵性国家」へと格上げして、グローバル経済から切り離し、周辺国に戦争ができるように働きかけ、中国への攻撃を備えていこうとしている。

中国を叩き潰すためには、その前にはロシアを片付けておかなければならない。中露が組んだら厄介なことになるからだ。まずはロシアを潰して身動きできないようにしておいて、それから本丸である中国を叩く計画なのだろう。

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台湾は将来のウクライナのような立場になるのかもしれない

中国は自分たちがターゲットにされているのは重々承知しており、だからこそ必死になって軍備増強に走っているのだと言える。ただ、軍備増強については、それによって周辺国を侵略していきたいという野望も隠されている。

中国軍はアメリカが中国を敵視しはじめた2015年あたりから、指導者が何度も「戦争に備えよ」と兵士を鼓舞しているし、しばしば「世界戦争につながっても構わない」とも発言しているのだ。

中国は、韓国と違って口だけの国ではない。実際にチベットや新疆ウイグル自治区で武力衝突を行使しているし、ベトナムとも何度もやりあっている。あるいは、南シナ海のスカボロー礁をめぐってフィリピンを恫喝して実効支配に乗り出している。

北朝鮮のように脅しではなく、本当に軍事力を行使しかねない国である。

現在、中国と最も激しく敵対しているのだが台湾だが、中国は台湾を自国の一部として主張しており、これに対して台湾は激しく反発している。

現在、中国は台湾を武力行使によって攻略しようとする試みはしていない。ただし、中国は台湾に対する軍事的な圧力を強めており、領土を巡る紛争や漁業権の問題などでの海上活動を増加させている。

また、中国は台湾に対する経済的な影響力を増やすため、世界や台湾に対して「一つの中国」の原則を受け入れることを強要している。

しかし台湾側は折れず、国防費の増加や軍事力の強化など、自衛力の増強を進めているのだが、これを支援しているのもやはりアメリカである。現在は、中国による台湾軍事攻略の実態は存在しないが、緊張状態が続いている。

台湾は将来のウクライナのような立場になるのかもしれない。

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日本は積極的に軍事に関与していくべきだと考えている

もちろん、台湾は日本にとって対岸の火事ではない。もし台湾と中国が戦争になった場合、日本は間違いなくその戦争に巻き込まれていく。日本はアメリカと共同防衛条約に基づいて、台湾の防衛に関与することになるのだ。

すでに日本とアメリカは安全保障協議委員会で、日本が保有する敵基地攻撃能力(反撃能力)の「効果的な運用に向けて日米間の協力を深化させる」ことで合意しているからだ。

これは、簡単に言うと自衛隊と米軍が一体化し、自衛隊が打撃力の一部を肩代わりするということである。もしアメリカが台湾を支援するために軍事力を行使する場合、自衛隊は間違いなく戦争の一端を担う。

日本がアメリカと共同防衛条約に基づいて台湾を支援する場合、中国はそれを反日的な行為として批判してくるはずだ。そして、日本も明確に中国の敵国となって中国の軍事ターゲットとなる。

さしずめ尖閣諸島が最初のターゲットになるだろうが、そればかりか沖縄の侵略も視野に入ってくる。また、日本にはアメリカの基地があるため、日本国内の基地も攻撃の標的になるだろう。

アメリカと中国の戦争は、日本を完全に巻き込む。今まで日本人は平和ボケしていると自他共に認める国民性だった。しかし、世界情勢が変わってきている。今後は、急激に平和ボケは消えていくと私は見ている。

これまでの平和ボケは、日本人がアメリカに刃向かわないようにするために、アメリカが意図的に定着させたものであった。

しかし、アメリカが中国との戦争を仕掛けるために準備をしているのであれば、日本人が平和ボケしたままでは困るので、逆に戦争を望む言論に変えられていくはずなのだ。今までとはまったく違う空気感が日本に広がる。

私はこれを悪いことだとは思っていない。

中国が軍事的リスクになる以上、もはや避けられない動きであるし、日本にとっても危険な中国を叩き潰すための大きなチャンスとなる動きなのだから、日本は積極的に軍事に関与していくべきだと考えている。

日本にも軍産複合体が必要だし、いずれ世論はそれを求めるようになる。うまくいけば軍事の復興が日本の復興につながる可能性もある。「富国強兵」による日本の復興である。

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