アメリカは戦争で食っている軍事国家なので、かならず中国に戦争を仕掛けて戦う

アメリカは戦争で食っている軍事国家なので、かならず中国に戦争を仕掛けて戦う

今のアメリカの動きを見たら、最終的には中国が「動く標的」になっていることが、ここ最近の中国敵視の動きでわかる。かならず中国との戦争は仕掛けられるだろう。そういう計画が何年も前から走っていると考えた方がいい。もちろん、日本も巻き込まれるのは言うまでもない。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。著書は『ボトム・オブ・ジャパン』など多数。政治・経済分野を取りあげたブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営、2019、2020、2022年、マネーボイス賞1位。 連絡先 : bllackz@gmail.com

アメリカは中国を戦争に巻き込むのではないか?

ロシアとウクライナの戦争が泥沼化しており、ウクライナの国土は破壊でボロボロになっている。一方でロシアの方も長引く戦争で人材は流出し、技術面でも遅れが目立つようになっていき、じわりじわりと首が絞まるようになっていく。

ロシアの民間軍事会社ワグネルが反乱を起こして、国内を束ねきれないプーチン大統領の威光が徐々に剥げてきている。ただ、プーチン政権はしぶといので、今後も粘り腰で戦争を継続する可能性が高い。

ウクライナ側もアメリカが主導とする西側諸国の軍事支援があって長期戦を継続する意志があり、この戦争はまだまだ続く様相を見せている。重要なのは、ウクライナは西側の軍需産業と完全に結託してロシア攻撃の先鋒を担っている点だ。

戦争で消費されているのは主にアメリカの武器・弾薬であり、この戦争は実質的にロシアとアメリカの戦争なのだ。

ところで、そうした軍事的な動きの中で、アメリカは中国に対して新たなる半導体規制の検討の導入をする動きも強化している。

アメリカは2022年10月に半導体に関して中国への幅広い輸出管理の規制を発表しているのだが、その規模をさらに拡大する。これによって中国のハイテク産業は相当追い込まれることがわかっている。

アメリカは明らかに中国を弱体化させつつ、中国をじわじわと「後進国」に戻している。アメリカは完全に中国を敵視している。ロシア・ウクライナで起こっているようなリアルな戦争が、中国の将来に想定されているようにも見える。

いずれアメリカは中国を戦争に巻き込むのではないか。台湾を使った中国との代理戦争なのか、それともASEAN諸国すべてを使った対中戦争なのかはわからないが、着々と戦争の準備がされているような気配が見える。

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アメリカは、戦争をしないと国民が飢えるシステム

アメリカは国内に多くの軍需産業を抱えている。軍需産業というのは、武器・弾薬・ミサイル・戦闘機・各種軍用機を製造・販売する機関である。

最大手では、ロッキード・マーティン、ボーイング、ノースロップ・グラマン、ジェネラル・ダイナミクス、トランスダイム・グループ、レイセオン、ハネウェルとあるが、これらの企業だけでも約70万人以上もの従業員が働いている。

さらに、アメリカの兵士(現役部隊)も約146万人、文官(オフィス・ワーカー)66万人もいる。軍需産業の「目立つ」部分だけを切り取っても、282万人がいる。

これに中堅や小規模の軍事企業と関連企業がびっしりとアメリカの国防省にぶらさがっている。たとえば、ロシア・ウクライナ戦争の状況を莫大な情報で分析するためのシステムを保有しているパランティアのような企業もそのひとつだ。

そういった人員を入れると600万人を超える人間が「軍需」に関わっているはずだ。

さらに、こういった人々はそれで家族を養っている。1人の従業員が控えめに見て4人家族だとしても、アメリカには2400万人が軍需産業のステークホルダー(利害関係者)であると言える。

アメリカの軍事費は、2022年には8769億ドル(約126兆円)になっているが、想像もできないほどの巨大な金額が軍事で消耗され、さらに想像もつかないほどの人間が軍事に関わっている。

軍需産業というのは、戦争をするための道具を造っている。つまり、平和になると造ったものが売れなくなる。そうなると、給料が削減されたり、リストラされたりして一家が路頭に迷う。

このような状況を考えると、なぜアメリカが周期的に戦争を欲しているのかがわかるはずだ。アメリカは、戦争をしないと国民が飢えるシステムになっている。これが、意味するところは何かは、言うまでもない。

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単に戦争ビジネスをしたいという単純な理由

アメリカのブッシュ大統領はアフガニスタン・イラクと大々的に戦争を行って軍需産業を喜ばせた。しかし、戦費はアメリカ国民が支払わなければならない。

戦争は泥沼化して、アメリカはアフガニスタンやイラクを植民地化できなかった。つまり、そこから超巨大な利権を産み出すことができなかった。その結果、アメリカは経済ショックに見舞われることになった。

2008年のリーマンショックはその最中に起こった経済事件である。そこでアメリカはオバマ時代になって、戦争よりも経済立て直しを優先することになった。

しかし、経済立て直しというのは、軍事よりも経済を優先するということである。事実、オバマ大統領は軍縮を進めて、国防費の削減にも手を付けた。オバマ政権時代は、軍需産業にとってはビジネスとしては面白みがない時代だったのだ。

それでも、アフガニスタンやイラクの関与はずっと続けられてきたし、リビアで政変が起こったら、アメリカもすかさず関与してカダフィ政権の崩壊につなげた。

トランプ政権は「戦争をしなかった」と喧伝されているが、それでも内戦が続いていたシリアにミサイル攻撃を行っていたし、一時期は北朝鮮の攻撃も真剣に検討されて一触即発の状況でもあった。

そしてバイデン大統領時代の今、ロシアとウクライナの戦争でアメリカはどっぷりとウクライナに肩入れしてロシアとの代理戦争をさせている。

アメリカが常に大きな戦争を欲して、何かを仕掛けているのは、まずは軍需産業が自分たちの生き残りのためにやっている。

軍需産業がアメリカの政界にロビー活動を仕掛けて好戦的な政治家を増やしているのは、世界をどうにかしたいのではないのだ。単に「戦争ビジネスをしたい」という単純な理由である。

戦争のための戦争を欲しているのである。

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平和の時代に、次の戦争の相手を育て挑発する

アメリカの軍需産業は、とにかく戦争ができればいい。相手はイスラム過激派だろうが、ロシアだろうが、中国だろうが、誰でもよくて、自分たちが造ったミサイルや武器弾薬を誰かが盛大に消費してくれれば、それでいい。

そう考えると、軍需産業を構成する議員やCIAのような組織や、大統領自らが世界中のあちこちに紛争の芽をばらまいている理由が見えてくる。

戦争の時代に、軍需産業が濡れ手に粟の大儲けをする。
戦争が終わったら、敗戦国に乗り込んで多国籍企業が儲ける。
平和の時代に、次の戦争の相手を育てて挑発する。

ウクライナとロシアの戦争に深く加担して泥沼化させ、中国を公然と敵視しているのも、そういうことなのだ。いずれ中国が戦争の相手になってくれれば軍需産業が儲かるから半導体の規制から中国の追い込みをやっている。

中国との戦争が「まだ時期ではない」のであれば、中国との戦争の前には他の戦争がはまされるかもしれない。

戦争を仕掛けて、軍需産業がまず最初に儲け、そのあとには敗戦国を経済植民地にしてしまえばアメリカの多国籍企業全体が儲かって戦争経済は回る。だから、アメリカは常に世界中を見回して、紛争のネタを仕込み、戦争でつぶす相手を育てている。

今のアメリカの動きを見たら、最終的には中国が「動く標的」になっていることが、ここ最近の中国敵視の動きでわかる。バイデン大統領が中国と戦うのかどうかはわからないが、かならず中国との戦争は仕掛けられるだろう。

そういう計画が何年も前から走っていると考えた方がいい。然るべきタイミングで、長く巨大な戦争が起こせれば、それがアメリカの軍需産業にとって目的の達成になる。中国は最適なターゲットなのである。

日本は間違いなく巻き込まれるだろう。バイデン大統領は岸田首相に「軍事費を増大させて軍拡しろ」と命じたとバイデン大統領自身が暴露した。岸田首相は慌てて増税してでも軍事費を引きあげようとしているが、これも中国との戦争を見越している動きだ。

いずれ、アジアも中国を敵とした戦争の大地となる。これは長く入念に仕組まれた動きであると私は思っている。

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