中国はアメリカの敵に。日本にとっても中国は関わってはいけない国

中国はアメリカの敵に。日本にとっても中国は関わってはいけない国

「中国との友好が」と言っている政治家や経営者は頭がおかしい。もう、そういう状況ではない。日本企業や日本人が中国と関わっていいのは、反日国家が崩壊して民主主義国家が樹立してからだ。反日的な構図を内包している国である限り、中国には投資すべきではないし、関わるべきでもない。これは、日本人としては単にリスク管理の問題だ。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

欧米と中国は激しい対立の火花が散ることになる

2020年に入ってから中国はコロナウイルスを発生させ、WHO(世界保健機関)にも口止めして結局は全世界にパンデミックを引き起こし、さらに「中国の責任ではない」と強弁して、全世界に中国の都合の良いプロパガンダを広めている国だ。

この国は自分の都合の悪いものはすべて隠蔽し、攻撃し、弾圧する。

チベットやウイグルでやっていることは「人権侵害」という言葉では足りないくらいの徹底した文化破壊・組織的弾圧・民族浄化であり、最終的にはチベットやウイグルの文化を抹殺しようとするものである。これは現代史上最悪の犯罪であると言っても過言ではない。

さらに中国は「一国二制度」の約束をも破って、香港を支配しようとしている。

2020年5月28日。中国は反体制派の活動を完全に封印するために「香港国家安全法」の制定方針を全国人民代表大会で採択して、いよいよ本格的に香港全体を手中に収めようと動き始めた。

香港人は、大陸の中国共産党政権に支配されることなど望んでいない。そして、香港に大きな資金と利権を持つ欧米もまた香港の中国支配を望んでいない。今後、香港を巡って、欧米と中国は激しい対立の火花が散ることになるはずだ。

コロナ以前から、中国は全世界の覇権をアメリカから奪おうとしていた。アメリカはこれに対して大きな警戒心を持っており、今やアメリカと中国の関係は、間違いなく「新・冷戦」なのだ。

アメリカは覇権を絶対に中国に渡すことはない。アメリカは世界に「中国に付くか、アメリカに付くか」の踏み絵を世界に迫っているが、この踏み絵は当然のことながら日本にも突きつけられる。

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盗んだ知財で自国企業を成長させる泥棒国家

中国は外資を呼び込んで、そこで膨大な数の国民を働かせて雇用を確保すると同時に、技術を「盗んで」から外資を追い出すという方法を使って成長を続けてきた。

アメリカの企業もそうだが、日本企業もまたそうやって技術を盗まれ続けてきた。中国が何か新しいものを産み出したり、革新的な技術を発見したりすることはない。

安い労働力と大量の人口を生かして、安いモノを作って作って作りまくり、外国の技術を盗んで盗んで盗みまくって回転してきたのである。

当初、アメリカはこうした中国の無法ぶりをそのまま放置してきたと言っても過言ではない。技術を盗まれながら、見て見ぬふりをしていた。その理由は、中国の約14億人にのぼる市場を成長させて、そこにアメリカの多国籍企業に支配させれば莫大な利益が上がるという計算があったからだ。

それには中国政府の民主化も不可欠だが、経済成長すると共に中国政府は民主化していくという楽観的予測もあった。

しかし、この予測は裏切られた。

中国共産党は民主化するどころか、独裁性をますます強めていき、最近は国家主席の習近平の神格化まで行われていく始末だ。さらに中国はアメリカの多国籍企業を締め出して、自分たちが作り上げた企業で儲けを独占した。

たとえば、中国はグーグルを締め出して百度(バイドゥ)を成長させ、アマゾンを締め出してアリババやJDドットコムを成長させた。

あるいは、フェイスブックを締め出して人人网(レンレン)を成長させ、ツイッターを締め出して微博(ウェイボー)を成長させてきた。

盗んだ知財で政府の言うことを聞く自国企業を成長させ、言うことを聞かない外国企業を締め出したのだ。政治は独裁化する一方で、14億人市場にも自由に関与させないことにアメリカはキレた。

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中国の経済成長はいよいよ正念場に

14億人市場に自由にアクセスさせない。アメリカの多国籍企業に儲けさせない。そのくせ、合法非合法を問わず全世界の企業から知財を盗んで自分たちは成長する。

その上、成長で得たカネを軍事に注ぎ込んで、次々と軍事的野心を拡張していく。それが中国の姿だった。

もはやアメリカとしても手をこまねいている段階は終わった。アメリカが中国に対抗するために、同盟国にも中国からデカップリングするように求めるようになるのは必然的なことでもある。

中国という国をビジネス環境としてとらえる経営者は日米にも多いが、コロナだけでなく、政治的にも経済的にも中国はカントリー・リスクが増大しているのだ。

このような状況の中でも中国経済も成長し続けると考えるのは危険だ。コロナが収束しようがしまいが、アメリカという巨大な国家が締め付けている以上、中国の経済成長はいよいよ正念場に差し掛かったと見るべきだ。

膨大な人口を抱える中国は、まず最初に沿岸部の国民から豊かになっていった。しかし、中国内部の多くの国民がいまだに取り残されて暮らしている。中国では年間10万件以上もの暴動が起きているが、格差があまりにも広がってしまってそれが社会不安を引き起こす元凶になっていたのだ。

だから、人民がある程度豊かになるまで中国は経済成長を続ける必要があった。必死になって「経済至上主義」を貫いて、環境破壊や劣悪な労働条件を無視して突っ走ったのはそのためだ。

中国共産党がこうした国内の不満分子を抑えることができたのは「経済成長しているのだから、別に体制を無理に変えることもない」というコンセンサスがあったからだ。

しかし、2020年。中国はコロナで混乱し、経済成長も頓挫する。格差も再び広がっていく。経済成長しないのであれば、弾圧と監視に明け暮れる窮屈な体制に我慢する理由が消える。

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中国は巨大なカントリー・リスクを持った国

中国経済が失墜したら、豊かになれない国民と貧困に叩き落とされた国民が、激しい怒りと憎しみを感じて中国政府に不満の矛先を向ける。そんなシナリオは昔からずっと言われていたことだ。

その中国の「悪夢」は、ドナルド・トランプ大統領のはじめた貿易戦争でいよいよ現実化しつつある。

中国では、習近平の悪口をSNSに書いたらアカウントが消され、コロナの真実を書いてもアカウントが消され、中国共産党政権に不平不満を書いてもアカウントが消される。場合によっては公安に連行される。そのため、表面上は国民の不満は見えないのだが、裏側では大きな不満が渦巻いている。

この政府に対する不満は、貿易戦争が激化すればするほど巨大化していく。中国経済に悪影響が隠せない状況にまでくると、人民のフラストレーションは危険なまでに膨れ上がっていく。

今、中国はアメリカを敵に回しているので日本に対する反日言動を控えめにして、日本を懐柔しようとしているのだが、これは最初だけだ。自分たちの都合良く事が運ばないと分かると、人民の怒りを日本にそらして逃げようとするので、すぐに反日を煽り立てるようになる。

中国が経済崩壊しようがしまいが、仮に経済的に持ち直そうが何だろうが、反日の構図がそこにあるのであれば、日本企業にとって中国が巨大なカントリー・リスクを持った国であることは変わりがない。

それでも「中国との友好が」と言っている政治家や経営者は頭がおかしいということだ。もう、そういう状況ではない。日本企業や日本人が中国と関わっていいのは、反日国家が崩壊して民主主義国家が樹立してからだ。

反日的な構図を内包している国である限り、中国には投資すべきではないし、関わるべきでもない。これは、日本人としては単にリスク管理の問題だ。

わざわざ火が付きそうなガスコンロの横に現金の束を置く人はいない。それで現金の束が燃えたら、単に馬鹿だと言われて笑われるのがオチだ。反日国家に投資するというのは、そういうことだ。

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