アメリカに叩き潰される反米国家からは距離を置いておく必要がある

アメリカに叩き潰される反米国家からは距離を置いておく必要がある

アメリカと対立している国々が次々と経済的な困難に陥っている。

たとえば、中国はその筆頭に挙げられる。中国は安い労働力を武器にして、世界中から投資資金と工場を呼び込んで高度経済成長を成し遂げた国だ。

その際には、面倒な環境保全も労働者保護もいっさい無視して突き進んだので、大気汚染も土壌汚染も格差も極度に進んで問題を引き起こしている。

砂漠化、癌症村、有毒大気は、ニュースにならないだけで今も相変わらず続いている。

さらに経済成長を演出するために、あちこちに人間が住まない鬼城(ゴーストタウン)を作り出し、政府も民間も借金まみれになってしまっている。

おまけに、中国共産党の一党独裁を維持するために、苛烈な情報操作と隠蔽と取り締まりを行っている。

最近も習近平の独裁に反対する女性が、そのポスターに墨をかけて行方不明になっているのだが、そうした言論弾圧をずっと続けているのが中国なのである。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

中国の偉そうに驕り高ぶっていた時代は終わりだ

さらに中国は、世界中の企業から合法非合法問わず、あらゆる方法で技術や企業秘密を盗み取っていた。中国では政府自らがハッキング部隊を組織化しているのだ。

外国企業を誘致して技術を盗み取って、その後は外国企業を締め出して中国市場は自分たちが独占する。そうやって企業を巨大化させて世界進出する。それが中国の手口だった。

バラック・オバマ前大統領は、この中国の手口を把握していたが、じっと耐えていた。なぜなら、中国が豊かになれば「民主的な国になる」という期待があったからでもある。

しかし、中国は民主化するどころかより独裁化の道を歩み、さらにAIIBみたいなものでアメリカの「ドル基軸通貨」に挑戦しようとした。

アメリカの覇権のシステムは「ドル基軸通貨の維持」にある。これに挑戦する国があれば、アメリカは叩き潰す敵と見なして容赦なく叩く。

トランプ大統領は体制固めが終わった1年後から、ついに中国に対して貿易戦争を仕掛けることになる。

「中国が報復するのであればアメリカもさらに報復する」と宣言したのは、まさに中国が「ドル基軸通貨の維持」という虎の尾を踏んだからである。

ドル基軸通貨を脅かす中国は、国家が自ら知的財産を窃盗して国営企業を利するように働きかけているインチキ国家でもある。

もはやアメリカにとって、民主化もせず、巨大化した泥棒国家の中国は、見過ごすことのできない「敵」になったのだ。

中国はこれから叩きのめされていく。上海株式市場は暴落に見舞われて、中国元も価値をどんどん喪失しているが、中国という国は経済国家としてはすでに正念場に立っている。

中国の偉そうに驕り高ぶっていた時代は終わりだ。

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「歴史上まれに見る結果を被ることになる」

中国と共に苦境に落ちているのはイランだ。

イランは核開発の野望を持っており、その標的がイスラエルに向いていることからイスラエルが激しくイランと敵対している。

そうなると、イスラエルのバックにいるアメリカもまた同時にイランを敵視するようになっている。

イランが核を保有すると、中東での核戦争が現実的なものになっていく。イランがイスラエルに核を飛ばすのであれば、イスラエルもまた容赦なくイランに核を飛ばす。中東の核戦争が現実になる。

そのために、欧米は核開発を続けるイランに経済制裁を行ったのだが、これによってイラン経済は追い込まれ、2015年には「核兵器開発をやめる見返りに経済制裁を解除してもらう」という約束を交わしたのだった。

しかし、イランがその後も核開発の野望を捨てていないとトランプ大統領は激しく批判した。

さらに2018年5月には「意味がない」として核合意から離脱し、イラン産原油の輸入停止を各国に呼び掛ける流れになっていった。

これに対してイランのハッサン・ロウハニ大統領は「イランとの戦争はあらゆる戦争を引き起こすだろう」と述べて、戦争をちらつかせるとトランプ大統領はすぐに反応して、ツイッターでこのように書いた。

「再び米国を脅すようなことは二度とするな。もしそのようなことをすれば歴史上まれに見る結果を被ることになる」

「米国はもはや暴力や死に関するイランの狂った発言に我慢する国ではない。気を付けろ!」

ロウハニ大統領は核合意を推進した「穏健派」の大統領だったが、経済政策には失敗した。通貨リアルの暴落も重なって、イランは経済崩壊寸前となっている。

国民の不満も膨れ上がっている。イランが国家崩壊と政治的動乱に見舞われていくのは時間の問題だ。

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叩き潰される国からは自らは距離を置く必要がある

そんな中で、反米のうねりに揺れているトルコもまたアメリカの虎の尾を踏んで経済危機の様相に陥っている。

トルコでは2016年7月にクーデター未遂事件が起きているのだが、レジェップ・エルドアン大統領は、このクーデターの裏側にアメリカ人のアンドリュー・ブランソン牧師が関連していたと見て、今もなお軟禁状態にある。

トランプ大統領は2018年7月26日、「ブランソン牧師を釈放しなければ大規模な制裁を科す」と警告していたが、エルドアン大統領はこれを「アメリカによる心理戦だ」と述べて、こう続けている。

「我々は経済制裁には屈しない。牧師に関する問題では譲歩の余地はない」

トルコもまた経済運営に失敗しており、短期債務に対する外貨準備の比率は70%台であるので、国外からの借り入れが必要な国である。

アメリカと対立し、政策金利も大統領の気分次第で上がったり下がったりするような国に金を賭けたい人間がそうそういないので、トルコが資金調達できるかどうかは未知数だ。

案の定、トルコリラもまた大暴落している。しかし、この暴落はまだ「終わっていない」ので、これからさらなる暴落が起きてもおかしくない。

エルドアン大統領はトルコ国民に「もしドルや金を枕の下に入れているのなら、銀行でリラに両替すべきだ」と言っているが、そんなことを言ったら国民はよけいに疑心暗鬼に陥ってドルや金を抱えて離さない。

トルコはデフォルトするか。エルドアン大統領の今の政策に変わりがないのであれば、デフォルトする確率は凄まじく高まっている。

アメリカと対立している国々が、次々と経済的に変調しているという事実は甘く見るべきではない。アメリカと対立している国々は未来がない。

現代社会の中では、資本主義とイノベーションの総本山はアメリカにある。現実をしっかり把握して、叩き潰される国からは自らは距離を置く必要がある。(written by 鈴木傾城)

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アメリカと対立している国々が、次々と経済的に変調しているという事実は甘く見るべきではない。アメリカと対立している国々は未来がない。現代社会の中では、資本主義とイノベーションの総本山はアメリカにある。現実をしっかり把握して、叩き潰される国からは自らは距離を置く必要がある。

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