日本は叩いても報復して来ないので、人民の不満を反らせる都合の良い国

日本は叩いても報復して来ないので、人民の不満を反らせる都合の良い国

現在、デルタ株が中国に入って、再び中国で感染拡大が始まっている。これによって中国経済がダメージを余儀なくされる。中国経済がダメージを受けたら食えない人民が暴動を起こす。そうすると、中国共産党はどうするのか。間違いなく「反日」を煽り立てることになる。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019、2020年2連覇で『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

いつでも人民の不満を反らせる都合の良い国、日本

新型コロナウイルスは中国の武漢ウイルス研究所から漏れたものだが、中国はこれを徹底的に抑え込んでいち早くコロナ禍から脱した……はずだった。現在、デルタ株が中国に入って、再び中国で感染拡大が始まっている。

これによって中国経済がダメージを余儀なくされる。中国経済がダメージを受けたら食えない人民が暴動を起こす。そうすると、中国共産党はどうするのか。間違いなく「反日」を煽り立てることになる。

今後のコロナ禍次第で、中国は2022年以後から意図的な反日の活発化に舵を切っても不思議ではないと私は考えている。

天安門事件が起きたのは1989年。ソ連が崩壊したのは1991年。この時代、中国共産党は絶体絶命の窮地に追いやられており、まさに崩壊の危機に瀕していた。そこで、1993年より第五代目の国家主席となった江沢民は何をしたのか。

江沢民は、人民の怒りを中国共産党から日本にそらして、中国の問題はすべて「過去に日本がしたことが悪い」と責任転嫁した。だから、中国の反日教育は1993年から「国家的方針」として始まっており、中国の学校では一貫して反日教育が行われるようになった。

反日プロパガンダも江沢民の時代から強化され、日本の悪行を告発する記念館を作ったり、反日ドラマを大量生産したりするようになった。また教育の中で、日本人に対するヘイトスピーチが奨励されている。

中国の反日はムラがあるのだが、反日は決して終わらない。日本は叩いても報復して来ないので、いつでも人民の不満を反らせる都合の良い国だからだ。必要であれば、「反日」というカードを中国はいつでも切ることができるのである。

【金融・経済・投資】鈴木傾城が発行する「ダークネス・メルマガ編」はこちら(初月無料)

これから反日思想の世代が国家運営に関わってより悪質になる

中国が反日を煽るためには、人民に「日本は悪い国だ」という共通した意識が必要である。だから、反日というカードを切らない時期でも、中国国内では常に日本を悪者にした教育が継続して行われる。それが「反日教育」である。

この継続した反日教育があるから、中国共産党が必要だと思った時は瞬間に反日に火をつけることができる。

1990年代にこの反日教育を受けた中国人の多くは、日本に対して良い感情を持ち合わせていない。中国政府の押し付ける教育に疑問を感じる層もいるが、素直に信じる層も多い。

仮に人民の30%しか反日教育の成果がなかったとしても、中国の人口は約14億人なのだから、4億2000万人がそれを信じるということになる。これは壮絶なまでに危険な数字である。

1993年に10代〜20代だった中国人は、その後ずっと反日の空気の中で育ち、この世代は現在30代〜40代になっている。

重要なのは、これから中国を動かしていくのもこの世代であり、中国軍の前線の兵士として実際に軍事行動に関わるのもこの世代なのである。

江沢民という男が中国共産党を生かすための方便として作られた「反日」イデオロギーは、40代よりも下の世代の中国人にあまねく浸透して思想として定着した。

だから、中国の反日は一過性のものではない。これから反日思想の世代が国家運営に関わってより悪質になる。

これは韓国や北朝鮮にも同じことが言える。中国も韓国も北朝鮮も、国が危機に陥るたびに、政府は自分たちの失策から人民の目をそらすために意図的に「反日」を利用し、煽ってきた。

日本はこれに対して「謝罪」や「事なかれ主義」で応じてきたので、ますます反日イデオロギーが功を奏することになったのだ。

【ここでしか読めない!】『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』のバックナンバーの購入はこちらから。

すでに反日は民族のアイデンティティになったも同然だ

日本政府は弱腰だ。反日されても、せいぜい「遺憾です」と言うくらいしかしない。場合によっては謝罪したりすることもある。そうすると反日イデオロギーは成功することになり、膨れ上がった反日の動きは指導者が止めたいと思っても、止めることができなくなっていく。

だから、コロナ禍によって中国も経済成長が鈍化したら、反日はいつでもぶり返すと考えておかなければならないのだ。さらに言えば、中国と共に韓国も北朝鮮もコロナ禍で経済崩壊の危機に追い込まれていく。

そうなった時に何が起きるのかは火を見るよりも明らかだ。日本を憎悪したこれらの「反日」国家は、事あるごとに責任をすべて日本に押し付けて、ますます「日本憎悪」が深まる。

反日が暴走して全面衝突を引き起こす。もはや史実は関係ない。日本がどのように対応しようが、それも関係ない。日本に対する恨みで凝り固まり、反日に洗脳されているので、行き着くところにまでいくしかない。

反日は中国・韓国・北朝鮮の国民を一致団結させるテーマでもある。そのため、すでに反日は民族のアイデンティティになったも同然だ。

国家も、人民も、反日のアイデンティティで成り立っており、それを社会システムの中に組み込んでいる。そのため、「反日」を否定することは自分自身の存在を否定することにまでつながっていく。

だから、この反日イデオロギーが暴走し、中国・韓国・北朝鮮が日本に対して軍事衝突を引き起こしたとしても不思議でも何でもない。すでに歴史問題で日本を激しく責める情報戦は仕掛けられており、今は戦争前夜の状況にある。

対外的にも内外的にも日本に攻撃が仕掛けられ、最悪の場合は「物理的な衝突」が起きても不思議ではない。経済的に追い詰められれば反日に火がつき、いつでも「最悪」が起こり得る。

ダークネスの電子書籍版!『邪悪な世界の落とし穴: 無防備に生きていると社会が仕掛けたワナに落ちる=鈴木傾城』

やはり習近平も反日で人民の目をそらそうとするだろう

経済成長が止まり、国家運営はより厳しいものになっていくと、国民の間に不満がマグマのように鬱積する。そうなると、政府は人民の目を外部にそらそうとして反日カードを切る。それしか国家が生き延びる道はないからだ。

中国は巨大な国土を持った「大国」だが、国家運営に失敗すると中国共産党が消失するというだけにとどまらない。党どころか、国土が分裂して国そのものが消失するという事態に見舞われることになる。

一党独裁の中国の場合、「共産党の消失=国の分裂」なのである。

昨今の習近平政権は、中国を民主的な国家にするどころか、情報統制、言論封鎖、周辺国弾圧、軍事拡張と、やりたい放題で、まったく国際協調がなく、共産党独裁がより強まっている。

習近平はどんどん独裁化と神格化を進めている。習近平は毛沢東になりたがっている。(ブラックアジア:習近平の野望。独裁者が誕生するのは、独裁して欲しいと思う人がいるから

こうした独裁に対する不満が噴き上がったら、やはり習近平も反日で人民の目をそらそうとするだろう。

そんな状況なのだから、今後も反日がさらに先鋭化し、暴発することは充分にあり得る話である。いずれは最悪の事態が起きることも想定しておいた方がいい。

中国や韓国や北朝鮮にとって、日本は「都合良く叩けるサンドバッグ」なのだ。私たちは銃口をこちらに向けられている。私たちは憎悪されている。

日本政府が弱腰のせいで、こんなことになった。

これらの国が問題を抱えると必ず日本人憎悪が爆発する。過激になるのは、経済が悪化してくこれからが本番だ。日本人は気をつけた方がいい。

書籍
『超限戦 21世紀の「新しい戦争」((喬良, 王湘穂, Liu Ki))』

鈴木傾城のDarknessメルマガ編

CTA-IMAGE 有料メルマガ「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」では、投資・経済・金融の話をより深く追求して書いています。弱肉強食の資本主義の中で、自分で自分を助けるための手法を考えていきたい方、鈴木傾城の文章を継続的に触れたい方は、どうぞご登録ください。

中国共産党カテゴリの最新記事