2019年3月14日。警察庁は、2018年に「振り込め詐欺」で摘発された少年も750人となり、前年比で見ても57.9%も増えていたことを報告している。この振り込め詐欺は、10年前から見ると22倍も増えている。
こうした詐欺が横行しているというのは延々と警鐘が鳴らされ続け、警察も定期的に周知しており、銀行も詐欺に引っかからないように注意を促している。そのため、高齢者の間でも「振り込め詐欺」を知らない者はいない。
ところが、今でも高齢層を中心にこの詐欺に引っかかり、多額の金が詐欺師に盗まれている。分かっていても、騙される高齢者が一定数いる。それが振り込め詐欺の恐ろしいところだ。
この振り込め詐欺は「なりすまし」をすることによって成り立つ犯罪だ。
犯人は家族の誰かになりすまし、仲間が弁護士や友人や関係者になりすまして犯罪を遂行する。だから、この詐欺の名前をひとことで言うのであれば、本当は「なりすまし詐欺」と言わなければならない。
そして、「なりすまし」という行為が犯罪であることを認識させなければならない。犯罪者が何かを仕掛けるとき、そこには「なりすまし」が必ず発生するのである。(鈴木傾城)
プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)
犯罪の根底にあるもの
警察にも「振り込め詐欺ではないか」という相談が30万件以上も持ちかけられている。仕掛けられたワナを「詐欺ではないか」と思う人たちも増えているということだ。
ところが、ここ数年は毎月30億円以上がこの「振り込め詐欺」で騙し取られているという惨状になっている。いかに「なりすまし」が巧妙に行われているのか、この被害総額でも分かるはずだ。
日本人は無邪気な一面がある。人を簡単に信じてしまう。それが「なりすまし」犯罪を蔓延させている。
「なりすまし」が行われるのは振り込め詐欺だけではない。「なりすまし」はインターネットでもお馴染みのものだ。
たとえば、フェイスブックでもツイッターでも、ニセ者が有名人に「なりすまし」して好き勝手に発言している。
政治家になりすまして物議を醸す発言をする人間もいれば、芸能人になりすましてファンを翻弄する人間もいる。そういった愉快犯の裏で、「金を送れ」だとか「振り込め」という詐欺に走る危険な「なりすまし」もある。
インターネットでもうひとつ問題になっている「なりすまし」は、フィッシング詐欺だ。犯罪者が、銀行やクレジットカードやSNSや大手企業に「なりすまし」したサイトやメールをばらまいて、パスワードを盗み、個人情報や預金を根こそぎ盗む手法である。
「なりすましサイト」はあまりにも完成度が高くて、素人は見抜けない。その「なりすましサイト」があたかも本物のサイトのように振る舞いながら、IDやパスワードを盗み取っていくのだ。
振り込み詐欺、SNSでのニセ者、フィッシングサイト……。こうやって並べるとそれぞれまったく違う犯罪だが、その根底にあるのは「なりすます」という行為が最初にあることに気づく。
「なりすまし」というのは犯罪の基本中の基本であり、犯罪はそこから始まる。だから、私たちはもっと「なりすまし」に気を付けなければならない。
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ありとあらゆる「なりすまし」
「なりすまし」は最近出てきた犯罪ではない。昔からある古典的な犯罪だ。ほとんどの詐欺は「なりすまし」で成り立っているのは言うまでもない。
たとえば、「結婚詐欺」もそうだ。これも「なりすまし」なのである。
結婚詐欺を仕掛ける人間は、弁護士やパイロットや医師や皇族や名家のような社会的な地位がある人間に「なりすまし」することが多い。名前も、偽名を本名だと思わせて「なりすまし」ている。
そして、「目先の金が用意できないので出してくれ」と言って金を出させて姿を消す。
籠脱け詐欺は、まったく関係ない建物を利用して、そこの担当者と見せかけて金を受け取って消えるが、これも「なりすまし」であることが分かる。
詐欺を仕掛ける人間は、関係書類を偽造することも多いが、これも関係書類を本物に「なりすませる」という行為である。
犯罪者は、自分の身分から持ち物から人生まで、すべてを「なりすます」ことに賭けている。国家はスパイを放つが、そのスパイも「なりすまし」をして他国に潜り込む。
北朝鮮や反日国家のスパイや犯罪者が背乗り(はいのり)という犯罪に手を染めているのは、すでに明らかになっている。
自衛隊員の妻が中国人で、その中国人が自衛隊の機密情報を盗もうと画策した事件もあった。これも外国人妻は身分を偽称し、さらに日本人と結婚することによって、日本人に「なりすまし」していたということである。
あるいは、日本人ではないのに、日本人になりすまして何食わぬ顔で政治の世界を泳いでいる人間もいる。このように、私たち日本人の周囲には、ありとあらゆる「なりすまし」が蔓延しているのだ。
しかし、「なりすまし=犯罪」と関連づけができている日本人はまだ少ない。
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「なりすまし」には関わるな
日本には「なりすまし」の犯罪が横行している。食品の産地偽装や、料理の材料偽装も、食品をめぐる「なりすまし」犯罪である。偽ブランドも、ブランドをめぐる「なりすまし」犯罪である。
犯罪は「なりすまし」によってできている。
私たちは「なりすまし」をしている人間を信用すべきではない。そこには犯罪が横たわっているからだ。「なりすまし」は裏のある人間がするものだ。
裏があるので、次から次へと嘘をつき、それに対して罪悪感を持つこともない。その場かぎりの嘘を平然とつく。嘘を指摘されると、また違う嘘を饒舌にまくしたてて煙に巻く。
時には訴えると恫喝したり、泣き落とし作戦に出たり、問題を引き起こした本人なのに被害者を装ったりする。冷静に事実を突きつける人間に対しては「差別だ、レイシストだ」とわめき「謝罪と賠償」を要求することもある。
それが「なりすまし」をする人間の特徴だ。
「なりすまし」は詐欺であり、犯罪である。人を騙し、人に損害を与え、人に不快感を与え、人に精神的なダメージを与えるものだ。信頼できないものの筆頭が、まさに「なりすまし」である。
「なりすまし」に関わるというのは、トラブルを抱えるということでもある。トラブルを排除するためには、毅然として「なりすまし」を排除するしかない。「なりすまし」には関わってはいけない。断ち切らなければならないのだ。
あらゆる「なりすまし」を排除し、断ち切ることができれば、日本はもっと良い国になれる。「なりすまし」を放置していると、やがてそれは社会を混乱させ、崩壊させていく。(written by 鈴木傾城)
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「なりすまし」に関わるというのは、トラブルを抱えるということでもある。トラブルを排除するためには、毅然として「なりすまし」を排除するしかない。「なりすまし」には関わってはいけない。断ち切らなければならないのだ。
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振り込め詐欺は、10年前から見ると22倍も増えている。2018年に「振り込め詐欺」で摘発された少年も750人となり、前年比で見ても57.9%も増えていた。振り込め詐欺は「なりすまし」をすることによって成り立つ犯罪だ。日本人には「なりすまし」の犯罪が横行している。https://t.co/pP0bJIS8md
— 鈴木傾城 (@keiseisuzuki) 2019年3月26日