必然的にワーキングプアに落ちる仕事には、ある「特徴」がある。
ホワイトカラーの仕事でもブルーカラーの仕事でも、正社員の仕事でも、非正規雇用の仕事でも、この「特徴」に当てはまっていたら、向かう先は必然的にワーキングプアになる。
その「特徴」とはどんなものか。それは「その仕事をするのは自分である必然性が感じられないもの」であると言える。具体的に、どんなものがワーキングプアに落ちる結果になるのかを見てみたい。
「自分が自発的な行動をしないでも回る仕事」に就いているのであれば、遅かれ早かれワーキングプアに落ちる。
自分が自発的に行動しなくても仕事自体が回っているというのであれば、命令されて動く要員であるということであり、そうであるならば、いくらでも取り替えが聞く要員であるということに他ならないからだ。
「そんなことを言えば、単純作業、ウエイトレス、ルーチンワークのホワイトカラーの仕事などは、ほとんどがそうではないか」と思うはずだ。その通りだ。
だから、こうした仕事に就いている人たちは常に企業の都合によって切られたり低賃金にされたりしてワーキングプアに陥っていく。(鈴木傾城)
プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)
言われた通りに仕事をする立場の人が危ういのだ
「自分では何も考えなくても仕事が回る」というのも同じだ。自分が何も考えないということは、他人がビジネスにおいて重要な決断をしているということでもある。そして、その他人の決断に基づいて動いているということである。
考える必要がない仕事であればあるほど、取り替えがきく要員となる。
取り替えがきくのであれば、低賃金で働く人間と取り替えた方がいいと上層部は考える。あるいは、AI(人工知能)や自動化や効率化で仕事そのものをなくした方が効率的だと考える。
「自分の意見をあえて持たなくても仕事が回る」というのも「何も言わなくても仕事が回る」というのも同様だ。
つまり、考える必要がない仕事であればあるほど、真っ先に合理化の対象になって切り捨てられるということになる。
「新しいことをしなくても仕事が回る」というのも、仕事がルーチンワーク化しているということであり、そうであれば他の誰がやっても同じということでもある。取り替えがきくのである。
現場によっては指示書があって、それに従うだけで仕事が回ることもある。その指示書は上司の口頭の指示であることもあるが、それに従うだけで仕事が回るというのであれば、従う人間には個性も知性もいらない。せいぜい、言われたことをできるだけの能力があればいいということになる。
明確な指示ではなくても、まわりと同じようにしていれば仕事が回ることもある。すでに仕事に対する流れができていて、自分が責任者にならなくても仕事が回る。
これらに当てはまる仕事に就いている人たちは、「この人が必要だ」という理由で雇われているだけでなく、ただ単に「言われた通りに仕事をしてくれる人が必要だ」という理由で雇われている。
ただの機械の部品の代わりのような存在だ。だから、用済みになったら消耗品のように捨てられて終わりだ。人間は機械ではない。捨てられても生きていかなければならない。
だから、捨てられるたびに生活苦が押し寄せ、ワーキングプアと化す。
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企業は意図的にそのようになるように現場を改良した
分かりやすくまとめると、以下の仕事に就いている人がワーキングプアへの道を辿っているということになる。
(2)自分では何も考えなくても仕事が回る。
(3)自分の意見をあえて持たなくても仕事が回る。
(4)何も言わなくても仕事が回る。
(5)新しいことは提案しなくても仕事が回る。
(6)新しいことをしなくても仕事が回る。
(7)指示書があってそれに従うだけで仕事が回る。
(8)上司に従うだけで仕事が回る。
(9)まわりと同じ行動をするだけで仕事が回る。
(10)自分が責任者にならなくても仕事が回る。
ところで、上記のような仕事は大量にある。なぜか。企業が意図的にそのようになるように工夫し、現場を改良してきたからである。
そうすることによって個人の力量が違ったとしても現場は混乱せず、なおかつ誰がいなくなっても速やかに別の人間を充当できる。
企業にとっては「誰がやっても同じ」「誰でもできる」「考えなくても仕事が回る」というのはメリットがあるのだ。それによって賃金が低い人間に入れ替えることも、機械化することもできるようになるからだ。
しかし、企業にとってメリットが従業員にとってのメリットになるわけではない。
企業がこれによって合理化とコスト削減ができるようになったというのであれば、従業員はリストラや低賃金化の危機にさらされることになったということなのだ。
今後、インターネットを中心としたハイテクの超高度進化によって現場の合理化は極限まで進んでいくので、このままでは失業率は上がっていく。
失業率が上がる前に、要らない人間から切り捨てられるので、ワーキングプア層が増える。実際、全世界で若年層の失業率は上がっている。
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AIやロボットに置き換えられて人間がリストラされる
自分のやっている仕事が合理化の対象になるかどうかは、自分がいなくても仕事が回るかどうかを考えればすぐに分かる。
多くの仕事は「誰かの指示待ち」「マニュアル通りの動き」で完結する。だから、多くの仕事が危機にさらされているということができる。企業はいくらでも「代わりの歯車」を見つけてくる。
コスト削減になるというのであれば、その歯車は人間でなくてもいい。いや、むしろ「人間ではない方がいい」と考えるのが企業の論理である。
AI(人工知能)やロボットは、凄まじいスピードで仕事をして、疲れ知らずで、24時間365日働かせても文句は言わない。人間を雇うよりはずっとコストパフォーマンスに優れている。
だから、それが実用的になるというのであれば、マニュアル的な仕事はどんどんAIやロボットに置き換えられて人間の方がリストラされていく。
倉庫や工場やコンビニは無人になり、スーパーのレジ打ちの仕事もなくなる。サラリーマンの仕事も無駄なものは半分以上が消える。多くの仕事が消えるので、失業者と低賃金化によって極限的な貧困に見舞われる人が続出する。
逆に言えば、淘汰されないためには自分の仕事がマニュアル化できないか、できにくい仕事に就かなければならないということだ。生き残るためには、上記のリストの裏返しでなければならないのである。
突き詰めれば、自分の仕事は自分で作るか、高度なスキルを持って自分がいなければ回らない仕組みの中で生きなければならないのだ。
それができていないのであれば、今からそれを準備しなければならない。(ダークネス:生き延びるために、3つの能力(アビリティ)を徹底的に向上させよ)
時代は急激に「第四次産業革命」に向けて走り出しているが、まだ本格的に始まっていない今こそが自分の人生を変える最後のチャンスであると言える。
あなたは次の時代に生き残れる仕事に就いているだろうか。(written by 鈴木傾城)
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倉庫や工場やコンビニは無人になり、スーパーのレジ打ちの仕事もなくなる。サラリーマンの仕事も無駄なものは半分以上が消える。多くの仕事が消えるので、失業者と低賃金化によって極限的な貧困に見舞われる人が続出する。
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— 鈴木傾城 (@keiseisuzuki) 2018年10月17日