誰もあてにできず、誰も助けてくれず、仕事も消えていく時代はどうするのか?

誰もあてにできず、誰も助けてくれず、仕事も消えていく時代はどうするのか?

急激に起きている時代の変化はとても危険なものだ。人々が自らの能力で生き残ることを社会が強制するようになっているからだ。社会はそのように変わった。「要らない人間を捨てる」のが今まさに起きている。誰もあてにできず、誰も助けてくれず、仕事も消えていくのだから、最後は自分で自分を生かすしかない。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

会社に依存して生きることは、もう許されない

非正規雇用者は2020年4月に97万人減少した。生活保護受給者は4月の段階で163万4584世帯だった。完全失業者数は5月までの統計で197万人となった。休業者(潜在的失業者)は423万人いる。

そんな中で6月の倒産件数は過去最多の780件と激増した。企業の休業・廃業に至っては東京商工リサーチが集計して分かっているだけでも5万件は超えている。

そして2020年上半期、上場企業の41社が希望退職を募って「人減らし」をしていることが分かった。希望退職の対象は「正社員」である。

今まで非正規雇用者の失職ばかりが取り沙汰されてきたが、失職は正社員にも及んでいるということだ。

リストラやクビにならなくても「ボーナスが激減した」「ボーナスが支給されなかった」という怨嗟の声でSNSは埋まっている。旅行業界・観光業界はひどい有様で、大手もボーナス・ゼロとなったところもある。

今後は、ボーナス激減どころか、給料激減・残業代カットなどの施策も行われて正社員と言えども収入が極度に減ることになるはずだ。

中国発コロナウイルスによる景気の極度の悪化のため、経済情勢がどんどん悪化しているのが統計でも見て取れる。

細かい統計を見なくても、街を歩いて人が減っていて、あちこちで閉店セールが行われていて、シャッターが降りている店も増えているのを見ても「景気が悪い」と分かるはずだ。

会社に依存して生きることは、もう許されない。会社は極度の不況の中で、舵取りをひとつでも間違えるとすぐに倒産しかねないような状況となっている。名の通った大企業であっても、経営を間違うと屋台骨が吹き飛んでいく。

そんな時代に突入したのが2020年だった。

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専門技術を持たないというのは、もはや自殺行為だ

もう会社に依存して生きられない。真面目に勤めていても、会社が苦境に追い込まれたら、すぐにリストラの嵐に巻き込まれていく。会社が自分の将来の安泰に役に立たない時代になった。会社から見捨てられる確率が極度に高まっている。

コロナによる経済情勢の悪化は続くので、今は仕事がある人でも失職する危険性を考えておくべきだ。失職したらどうするのか。失職しないための防衛、失職した後の防衛はどうしたらいいのか。

頼りになるのは、自分の持っている「専門性」しかない。

資本主義の中での自分の存在価値は「専門性があるかどうか」に絞られる。企業は誰でもできるような仕事をしている人からリストラしていき、専門性が高くて代替できない人間を手元に残す。

あるいは、これからは誰でもできる仕事は減らして専門性が高くて誰でもできない仕事ができる人を即戦力として雇う。

そのため、これからは必然的に「自分の持っている能力」だけを武器にして生き残るしかなくなる。「他人よりも抜きんでた何か」がないと容赦なく捨てられる。いったん捨てられたら能力がないので誰も拾ってくれなくなる。

もはや頼れるのは、自分の持っている「特殊能力=スキル」だけであり、それが自分の存在価値になる。これから生き残るには、否が応でも「社会に求められる専門性」が必須になる。

いったん専門家になると、自分の雇っている会社が駄目になっても、どこかの会社が自分の能力を即戦力だと考えて雇ってくれる可能性が高まる。

仮にもし自分の「特別な能力」を使ってくれる企業がない、条件に合う企業がないのであれば、その能力を元に起業することも検討することができるようになる。

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他人よりも抜きん出た特別な能力は後天的なものだ

生まれつき、天才的な能力を持つ人もいることはいる。しかし、そうでない人の方が多い。では「特別な能力がないとこれから生きていけない」というのであれば、普通の人は路頭に迷うしかないということなのか。

もちろん、そうではない。「他人よりも抜きん出た特別な能力」は、先天的なものばかりではなく後天的なものの方が多い。つまり多くの人は、何もないところからその専門性や特殊技能を手に入れているのである。

自分自身をよく見つめて自分の可能性を探り、それに打ち込み、長い時間をかけて努力することによって、それは手に入る。多くの人は、自分に合った方向性を見つけ、その中で地道な努力の結果、特別な能力を身に付けている。

特別な能力は、懸命にひとつのことに打ち込み、長い時間をかけて経験を得た結果である。何年も何年もそれに打ち込み、その分野で熟練し、経験を積んだから人は特別な能力を手に入れることができるのだ。

とすれば、自分で自分の人生を切り開くには、結局のところ「必死になって自分の可能性に打ち込む」ことを、まず最初にしなければならないというのが分かる。

人生は長いので、小手先だけのテクニックで乗り切れるようなものではない。努力を回避し続けて楽して生きていけるほど世の中は甘くない。「他人よりも抜きん出た特別な能力=専門知識・専門技術」は努力を繰り返すしか手に入らない。

結局、社会が悪化していくというのは、国も企業も助けてくれなくなるということなのだから、自分で自分を助けるしかないわけで、そのためには「自分はどのような専門知識・専門技術を手に入れることができるのか」を自分で選択するしかない。

その選択と習得が命運を分ける。

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現代は、個人と個人の競争になっているのだ

誰もがリストラされ、誰もが求職すると、手に入る仕事を巡って競争はどんどん苛烈になって止まらない。生き残れるかどうかは「専門知識・専門技術があるかどうか」によって決まるような時代になった。

コロナの問題が終わって、景気が良くなったら楽になると勘違いしてはいけない。コロナ以前に、もう今までの「寄らば大樹」の時代はとっくに終わっていた。年功序列のシステムも、終身雇用のシステムも、日本企業はずっと前から維持することができなくなっていた。

トヨタ自動車の豊田章男社長が「雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」と述べたのは2019年5月13日である。日本最強の企業であるトヨタでさえそうなのだ。

コロナ禍が「余計な人員を捨てる」という流れを加速させているのだが、企業が合理化に走っていて余計な人員を捨てるという流れは、もうずっと前から既定路線となっていたのである。

雇用を削減するためのイノベーションが想像を超えるスピードで広がっていたのだ。ITテクノロジーの進歩は合理化をより加速させて「雇用を削減するイノベーション」を生み出していた。

急激に起きている時代の変化はとても危険なものだ。人々が自らの能力で生き残ることを社会が強制するようになっているからだ。社会はそのように変わった。「要らない人間を捨てる」のが今まさに起きている。

誰もあてにできず、誰も助けてくれず、仕事も消えていくのだから、最後は自分で自分を生かすしかない。真剣に生きないと見捨てられるのだから、生き残るのに必死になるべきだ。

専門知識・専門技術を手に入れるのは、ますます必須になっていた。そのために必死で努力している人だけしか生き残れない時代となっている。

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