中国は策略の国。「日中友好」も策略のひとつであって信じれば裏切られるのだ

中国は策略の国。「日中友好」も策略のひとつであって信じれば裏切られるのだ

中国共産党は「自分たちが一番エライ」という中華思想を持って、自分たちの利益や保身のためにもひたすら膨張・侵略主義で他国を侵害する。しかし、逆に自分の立場が弱くなると、すぐに「友好」とか言いながら「すり寄り」を開始する。この「すり寄り」に極度に弱いのが日本なのである。


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

マイルドな形で関係を持ちつつ中国と一定の距離を保つ

2020年の大統領選挙は混沌とした結末の中で、ジョー・バイデンが次期大統領になることは徐々に既定路線となりつつある。

中国はアメリカのトランプ政権に貿易戦争を仕掛けられて大きなダメージを受けていたが、ジョー・バイデンはトランプ大統領が発令していた報復関税をひとつひとつ外していくことになるはずだ。

とは言えども、アメリカ国内では「中国が非合法な手段でアメリカに対抗しようとしている」という認識は超党派で持たれているので、今後は露骨に中国に媚びるというよりも、「マイルドな形で関係を持ちつつも中国と一定の距離を保つ」というのが現実的なスタンスになるはずだ。

アメリカが他国と連携して中国包囲網を構成するとなると、それが機能すると中国も身動きできなくなる。そこで中国は、多国間の中国包囲網を寸断しようと、より広範囲に、狡猾に、動き始める。

中国は、他人の知財を盗みまくって成長してきた泥棒国家であることが明るみに出ており、中国の推進する一帯一路も「途上国を次々と経済的植民地に陥れる新植民地主義だ」とバレている。

さらに中国はチベットやウイグルに対する類を見ないほどの人権弾圧を行っており、内モンゴル自治区にもモンゴル文字を抹殺して中国語に置き換えるという「文化侵略」も始め、いまやブータンにもじわじわと領土侵略を始めるに至っている。

全方位に侵略工作を行う中国の行動は尋常ではなく、当然のことながら中国に対する批判は国外でも激しいものとなっている。

これに対して習近平率いる中国共産党は、インターネットで情報封鎖を行い、都合の悪い言葉を検索できないようにし、SNSを統制し、政権の自画自賛コメントを書き込ませて世論操作をしている。

そして、諸外国を攻撃したり、すり寄ったり、媚中派の議員を利用したりして、影響力を拡大しようと躍起になっている。

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安倍政権は中国に媚を売らなかった

2010年代。中国はオバマ前大統領の無能ぶりを前にして「アメリカに取って代わって自分たちが世界の覇者になる」と傲慢なまでの膨張主義を行い、以後は日本をも侵略して飲み込もうと画策するようになった。

2013年に始動した安倍政権は中国と距離を置いたが、そうすると安倍首相との首脳会談を拒絶して日本を揺さぶり、激しい日本批判、安倍政権批判を行った。

中国は当初この執拗な批判によって日本が動揺し、安倍内閣は短命に終わると見ていた。これで安倍政権が瓦解して日本の政治が混迷し、民主党政権みたいなのが再び登場したら、もはや日本は中国の属国のようになっていた可能性もあった。

しかし中国の「日本孤立化政策」にも関わらず、安倍政権は中国に屈することはなかった。どんなに関係悪化しても、安倍政権は踏みとどまった。

中国は巨大な市場であり、全世界の企業はこの市場に食い込みたがっている。だから、日本の軟弱な政治家は中国にひざまづいて屈服するはずだという計算が中国側にあった。それが、中国共産党の傲慢につながっていた。

ところが、事態は中国の思い通りにはならなかった。つまり、中国は読みを誤った。安倍政権は中国に媚を売らなかったのである。

そうしているうちに、アメリカでは無能なオバマ大統領の時代が終わって、ドナルド・トランプが登場した。トランプ大統領もまた中国に折れない政権だった。中国に折れるどころか、むしろ中国を激しく攻撃するようになった。

知的財産権侵害への批判、情報統制への批判、人権侵害への批判、そして報復関税、ファーウェイへの攻撃、米国内の中国人スパイの逮捕等々、これまでのアメリカではありえないほどの強硬な策が矢継ぎ早に繰り出された。

こんな中で、中国の武漢で中国発コロナウイルスが発生し、中国は世界を大混乱させるという事件を引き起こした。さらに香港の民主化運動を力づくで鎮圧して、一国二制度も崩壊させ、世界から大批判を浴びることになった。

もはや中国を純真に信じているのは、中国政府から金をもらった媚中派の政治家くらいしかいない。世界は、いよいよ中国に対して懐疑的になり、不信の目を向けるようになっている。

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中国は、盗むか、たかるか、寄生するしかない

もっとも、中国は世界中にどれだけ嫌われても攻撃されても膨張主義、侵略主義をやめることはない。それは、ウイグルも、チベットも、内モンゴル自治区も、ブータンも、香港も、台湾も、そして日本も侵略の対象にしているのを見ても分かる通りだ。

中国共産党政権は膨張主義、侵略主義によって、ひたすら中華思想を広げ、自分たちが侵略によって莫大な富と影響力を手に入れることを画策している。

成長が止まれば莫大な人口が中国共産党政権に不満を持ち、政権攻撃、政権打倒に動き出す。中国共産党政権は好かれているわけではない。むしろ嫌われている。しかし、「経済成長によって人民に金を与えている」ので、それがゆえに中国共産党政権は維持できている。

金の切れ目が縁の切れ目になるので、中国共産党政権は政権崩壊を恐れて経済成長を止めることができない。一党独裁の中国は、政権を失えば新しい政権になるのではなく、国家が崩壊し、分裂するのである。

だから、中国は今もあからさまな膨張政策・侵略政策をやめることができず、世界の技術、世界の領土を奪いにやってくる。

今後、アメリカが多国間で連携して中国を締め付けるというのであれば、中国は逆にあちこちの国の政治家を金で懐柔しながら、「友好」だとか「親睦」だとか「パンダ」とか言って多国間の弱い鎖から断ち切っていこうとするだろう。

中国包囲網の「弱い鎖」とは、どこか。

それは日本かもしれない。日本の政治家は金でいくらでも転ぶ……。

日本には世界に名だたる技術がある。仮に中国が警戒するアメリカの技術にアクセスできないのであれば、日本から盗むか、たかるか、寄生するか、利用するしかない。

だから、また「日中友好」みたいな陳腐な言葉を持ち出して露骨な「すり寄り」をする可能性が高い。「すり寄り」は、裏のある人間が使う常套手段である。相手を油断させて、長く巧みに利用する。

中国は状況を判断してアメとムチを使い分けることができる国だ。最終的には相手から一切合切を奪うのだが、最初は高圧的に出ていても、自分が追い込まれれば臆面もなく「すり寄り」を開始して、どこまでも相手にしがみつく。

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自分の都合が悪くなれば、すり寄りを開始する

中国共産党は「自分たちが一番エライ」という中華思想を持って、自分たちの利益や保身のためにもひたすら膨張・侵略主義で他国を侵害する。しかし、逆に自分の立場が弱くなると、すぐに「友好」とか言いながら「すり寄り」を開始する。

この「すり寄り」に極度に弱いのが日本なのである。

「日中は重要なパートナー」とか「日本は素晴らしい国だ。見習わなければ」とか歯の浮くようなお世辞を、中国人はいくらでも言える。このあたりは、常に恨み恨みで反日を隠さない韓国とは違う危険さがある。

中国は右手で握手しながら、左手で棍棒を持って相手を殴りつける。

裏で尖閣諸島や沖縄の侵略を着々と進めながら、表では「日本とは友好的な関係を築きたい」としゃあしゃあと言う。これは紛うことなく「策略」である。

中国は、何かにつけて孫子等を持ち出して、こういったものを「兵法」と格好つけて言っているが、よく読んでみると、中国の兵法というのは「敵をいかにうまく騙すか」のテクニック集なのである。

こんなものを実践している中国人のビジネスマンも大勢いるが、だからこそ中国人は自国の人間でも互いに相手を信用しない利己主義国家となっているのだ。中国政府もこうした策略や工作活動に心酔していて、孫子の兵法書を現代に置き換えて「超限戦」と言っている。

超限戦とは、分かりやすく言えば、「法を無視して、相手をあらゆる分野でワナにかけろ」というものである。中国政府は自らこうした卑劣な外交を繰り広げていた。だからトランプ政権は中国を攻撃していたのだ。

そんな国の政治家が、自国を取り巻く状況が悪化すると、いきなり「みんな仲良く」「親睦」「重要なパートナー」とすり寄ってくる。それは単なる策略であって本心ではないのだが、日本人は本当にお人好しだ。すり寄られると、コロリと騙される。

今後、政治家の中にも経済人の中にも、中国の「すり寄り」に騙される人間が大量に出てくるだろう。危険極まりない状況だ。

『中国の正体 知ってはいけない「歴史大国」最大のタブー(黄 文雄)』

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