今後、香港に行くのであれば、いつでも監視・逮捕される覚悟をしておくべき

今後、香港に行くのであれば、いつでも監視・逮捕される覚悟をしておくべき

香港は「もう飲み込まれた」のだ。ということは、もはや私たちは香港に行くのは北京に行くのと同じであることを意識しておかなくなったということだ。すなわち、香港に立ち入った瞬間、中国共産党政権はいつでも私たちを逮捕できるようになった。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

「中国共産党政権が支配する香港」となってしまった

中国はもう香港の一国二制度を完全に踏みにじって実効支配に入っている。香港政府の自治権など、すでに消滅した。

2020年11月には「香港当局が立法会議員を法的審査なしに解任できる」という決議を成立させたのだが、香港当局のバックは中国共産党政権である。事実上、中国共産党政権が、「邪魔な議員は気分次第で排除できる」と決めたようなものである。

この決議は脅しではない。実際、この決議が成立すると香港当局はすぐに民主派議員を失職させた。すでに香港の議員は、生き残りたければ中国共産党政権に媚びなければならないのである。

香港の長である林鄭月娥(キャリー・ラム)も、習近平の言いなりだ。

その後、中国共産党政権は反体制派の議員・経営者・著名な活動家を次々と逮捕しており、日本でもよく名前が知られていた周庭(アグネス・チョウ)氏にも禁固10ヶ月の実刑判決を課している。

彼女の保釈申請も退けられている。また、今後もいくつかの罪状が積み上げられて、禁固の期間も延びていく可能性も指摘されている。中国共産党政権という凄まじく野蛮で危険で巨大な権力に逆らった彼女がどのような運命を辿ることになるのかは誰にも分からない。

彼女だけではない。これからはさらに反体制派の締め付けはさらに強化され、中国共産党政権に反対する人間は片っ端から逮捕・収監されていくことになる。

国際社会はこうした中国の動きを激しく批判しているのだが、中国共産党政権はまったく聞く耳を持たず、すべての批判を跳ね返して逆ギレしている。つまり、中国の「香港乗っ取り」はなし崩しに進んでいくのは、ほぼ決定づけられたということだ。

香港はもう私たちの知っている「民主主義で運営されている香港」ではなくなった。2020年からは「中国共産党政権が支配する香港」となってしまったのだ。

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中国共産党政権は「いつでも私たちを逮捕できる」ということ

私たちは急いで頭を入れ替えなければならない。香港はすでに「乗っ取られた国」であり、中国そのものである。

中国は中国共産党政権の独裁国家であり、情報統制国家である。習近平の独裁化はますます進んでおり、国際社会との軋轢も悪化する一方である。

中国も経済発展したら民主化するのではないかと欧米は思っていたが、欧米は完全に騙されていた。中国共産党政権は民主化なんかするつもりはさらさらなく、徹底的に周辺国を侵略し、支配し、邪魔者を抹殺する暴力国家と化している。

香港の反中国派(反体制派)をことごとく摘発しているだけでなく、チベットやウイグルでも民族抹殺を繰り広げ、さらに内モンゴル自治区も文化を奪おうと画策しているのだが、目の前で起きている惨劇を国際社会は止めることすらもできないでいる。

香港は「もう飲み込まれた」のだ。

ということは、もはや私たちは香港に行くのは北京に行くのと同じであることを意識しておかなくなったということだ。すなわち、香港に立ち入った瞬間、中国共産党政権はいつでも私たちを逮捕できるようになった。

親中であろうが反中であろうが関係ない。中国共産党政権は自分たちの都合で誰でも「人質」や「見せしめ」として逮捕する。観光のつもりで写真を撮っても、言いがかりを付けられ、スパイ行為で密告されて逮捕されるかもしれないのだ。

逮捕されてから、「違法なことをした認識はない」「このようなことになり困惑している」と言っても始まらない。中国が逮捕したいと思えば、理由が何であっても逮捕される。

香港も、そんな危険なエリアになったということを、私たちは意識しなければいけない時代がやってきたのだ。もう香港は昔の香港ではない。中国共産党政権が乗っ取った危険な香港なのだ。

そんなところに行くという判断が正しいことなのだろうか。馬鹿げている。関わってはいけないのである。もし、反中を日頃から公言しているのであれば、なおさら行くべきではない。

トランジットすらも危険だ。

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言いがかりでの逮捕は中国共産党政権の得意技

中国はすべての国の人間にとって危険な国だが、日本人もまたそうだ。日本を敵視し、反日を煽り立て、平然と嘘や捏造を重ねて歴史を改竄していくのが中国のやり方である。

中国共産党政権は自分たちの都合で反日を収めたり、盛り上げたりすることができる。自分たちに用事がある時は「親睦だ、パンダだ」と言ってすり寄ってくるのだが、邪魔になったら一瞬にして手のひらを返して反日に向かう。

だから、普通の日本人がいるべき国ではなくなっている。ビジネスで関わるのも愚かだということなのだ。

それが言いがかりでも何でも、香港にいる日本人を中国共産党政権はいつでも何らかの理由を挙げて逮捕することができる。容赦なくそうする。そして、いったん逮捕したら数ヶ月でも数年でも、中国共産党政権の気が済むまで拘束する。

言いがかりでの逮捕は中国共産党政権の得意技だ。

たとえば、中国共産党政権は香港だけでなく、本土でも反体制の人々を支援する人権派の弁護士百人近くをいきなり逮捕するという暴挙を行っている。

これらの弁護士は、政府に土地を取り上げられた人たちの弁護をしたり、反体制のアーティストを弁護したりする良識を持った人たちだった。しかし、この良識は中国共産党政権にとって敵対行為に映る。

自分たちに反対する者や、揶揄するものは絶対に許さない。たとえ風刺であっても許さない。それは国家反逆と見なす。

中国共産党政権は、人民の立場に立った弁護士を次々と不当逮捕していき、「重大犯罪組織の一員だ」と断定した。そして、こうした弁護士が「政府の不満を増長させている元凶である」とお抱えの新聞に書かせた。

中国共産党政権への不満が満ち溢れているのは、中国共産党政権が無能だからであって、弁護士が何かをしたからではない。しかし、中国共産党政権はすべての責任を良心派弁護士になすりつけて邪魔者を抹殺する。

香港もまた、そうなってしまった。

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香港を取り戻すのは不可能なのかもしれない

アメリカと中国の対立が深刻になるにつれて、中国側はアメリカに情報提供する人間を片っ端から処刑している。

中国共産党政権は情報統制することで、国を統治している状態だ。中国共産党政権に対する不満が吹き荒れており、常に暴動が起きている。しかし、中国には野党が存在しないので、政権交代もあり得ない。

中国共産党政権が崩壊する時が中国の崩壊する時だ。

だから、中国共産党政権は自分たちの生き残りのために都合の悪いものはすべて規制し、不都合な人間はありとあらゆる言いがかりを付けて逮捕する。そして、好き勝手に罪名をでっち上げて、好きなだけ拘束する。

こんな中で中国と関わる必要はまったくない。

日本企業が中国とビジネスで関わるのも本当に愚かだ。中国共産党政権に金も技術も工場も奪い取られ、すべて毟られて放り出されるのは目に見えている。中国は民主主義の国ではない。一般常識など通じない。その上、心情的には「反日」なのである。

反日が暴走している国家と関わって、日本や日本人が得することはまったくない。逆に、非合法な中国共産党政権と関わらないで生きていく道を取るのが日本にとって合理的な判断となる。

今後、日本人は旅行者もビジネスマンも、中国国内では監視と逮捕の対象になっていく。香港もそうだ。今後、香港に行くのであればいつでも監視・逮捕される覚悟をしておくべきだ。

スパイだと見なされれば死刑にされてもおかしくない。

中国は日本と問題が起きれば必ずすべての問題を日本のせいにし、見せしめが必要であればいつでも香港内でのんきに歩いている日本人を言いがかりで逮捕する。これからは、香港で無防備に写真を撮って逮捕されて死刑を宣告されても自業自得なのだ。

もう中国共産党政権が崩壊するまで、香港を取り戻すのは不可能なのかもしれない。香港の民主化は完全に抹殺された。

『漫画香港デモ激動! 200日(秋田 浩史)』

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