コロナ禍の中で中高年のリストラや貧困や自殺は確実に増えて止まらなくなる

コロナ禍の中で中高年のリストラや貧困や自殺は確実に増えて止まらなくなる

会社がいったん従業員をリストラすると決めたら、資格をどれだけ持っていようが、今までどれだけ会社に尽くしていようが、どれだけ上司に媚びへつらっていようが、すべてが無に帰す。どれだけ子供の教育費がかかっていようが、住宅ローンが残っていようが、そんな個人的なことも考慮されない。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

大手上場企業がリストラを急いでいる

コロナの猛威が吹き荒れている。2020年7月の非正規社員は前年同月比131万人の大幅減少となっている。これが意味するのは「本来は雇われるはずだった131万人が雇われなかった」ということである。

「雇い止め・休業・派遣切り」は目立つのでこうした動きはマスコミにも注目されるのだが、本当に深刻なのは「最初から雇われない」という目立たない部分なのだ。最初から雇われない、そして次が見つからない。当事者にとって、これほど深刻な話はない。

2020年。中国発コロナウイルスと消費税10%の二重のダメージがいよいよ社会を覆い尽くそうとしている。

それだけではない。中間決算で減収減益に見舞われて、来期の新卒採用の抑制や中止を告知する企業も続出している。中途採用の凍結も起きている。賃金は下げられ、残業代は抑制され、ボーナスも出ないという会社もある。

出張費も交際費も出さなくなり、「希望退職」という名のリストラを始める企業も多くなった。

アパレル大手ワールドも希望退職を実施。TSIホールディングスも希望退職を実施。服飾雑貨の川辺も希望退職を実施。航空会社のANAとJALも希望退職を実施。三菱自動車も希望退職を実施。

東芝も希望退職を実施。ワタベウェディングも希望退職を実施。日本ケミファも希望退職を実施。シライ電子工業、クックビズ、チムニー、武田薬品工業、ペッパーフードサービス、シチズン、レオパレス21、ラオックス、ぱど、レナウン……。

希望退職というのは、「退職金を上積みするからさっさと辞めろ」という日本流のリストラである。

もはや、枚挙に暇がないほどの大手上場企業がリストラを急いでいる。大手でさえもこうなのだ。中小企業・小規模事業者に至ってはもっと悲惨なことになっているのは言うまでもない。

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中高年のほとんどは再就職が困難

内需が拡大して社会が活性化している時期であれば、リストラはあまり問題にならない。企業は大量に人材を募集し、転職が容易で給料も下がらないどころか上がることもあるからだ。

しかし、コロナ禍にある今は違う。ほぼすべての企業が減収減益に見舞われており、苦しまぎれに社員を放出しているのだ。

企業は停滞するビジネス環境に不安を覚えて内部留保に走り、株主にも突き上げられて利益確保のためにコスト削減で正社員をリストラせざるを得ない状況になっている。温情を見せたくても、企業そのものに体力がなくなりつつあるのだ。

企業も生き残らなければならない。とにかく、リストラをしなければならない。そうであれば、必然的に「要らない中高年」が切り捨てられる。

組織はピラミッド型で、誰もが重要なポジションに就けるわけでもない。あぶれた中高年は急激に組織の「お荷物」になる。特に50代で役職がない人間が、最も組織の邪魔になる。

50代と言えば、体力や知力が急激に衰えていき、踏ん張りが利かなくなると同時に、知的な柔軟性も失っていく人が多い。しかし、長く仕事を続けてきたためにプライドだけは高く、会社から見ると、非常に扱いにくい。そして、仕事量とは裏腹に、給料だけは高い。

「働かない中高年」は、コロナ以前からその存在が問題視されていた。だからリストラ計画が持ち上がったら中高年は必ず標的になる。景気が下を向くたびに中高年は切り捨てられていく。

そして、いったんリストラされた中高年のほとんどは再就職が困難で、低賃金の仕事を余儀なくされる。

中高年の再就職が困難なのは、やはり体力的にも長く勤められるかどうかも疑問で、命令しにくいということがある。新しく何かに取り組むには柔軟性にも欠けている。そして中高年のスキルは時代遅れになっていることが多い。

雇う側は、体力もあって従順で使いやすい若年層を雇った方がいいに決まっている。若くて熱意に溢れた若い新人は命令しやすく使いやすいが、自分よりも年配の新人は心情的にはとても使いにくい。

そのため、企業は人を雇うにも最初から年齢制限を付けるので、中高年の再就職はますます困難になる。

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中高年の貧困層は確実に増えていく

しかし、コロナ禍が収束したら元に戻るわけでもない。コロナ以前から企業は利益を確保するために、コスト削減と効率化を徹底するようになっているからだ。

若年層を非正規労働者にしていつでも切れるようにして、50代以上の中高年をリストラするという策をどんどん推し進めていたのだ。コロナ禍と消費税の引き上げによる苦境は、それを加速させただけなのである。

コロナが収束しても中高年を取り巻く環境は良好ではない。40代から50代で職にあぶれた人たちは、大した仕事が見つからない不安定な状態のまま数十年を生きなければならない。中高年や高齢者の貧困層が増えていく。

それが、今の日本で「起きている現象」なのである。

これまで貧困は若年層の問題であると捉えられてきたが、もうすでに貧困は若年層だけの問題ではない。中高年にも高齢者にも貧困化が忍び寄っている。

中高年で失業してしまうと、今後もまともな職が得られる可能性は低い。そうすると、貯金を食いつぶしながら生きていくか、もしくは生活保護になる。

しかし、生活保護は申請者全員にそう簡単に支給されるものではなく、まだ働けると見なされる中高年は真っ先に門前払いされることになる。

結局、中高年でリストラされた多くは、低賃金のプライドが打ち砕かれるような仕事をしながら生きるしかなくなるのだ。そして、低賃金の労働はどんなに頑張っても高賃金化することはない。

そんな中で、中高年は今まで無縁だと思っていた貧困の中に一気に転がり落ちていくことになる。

いくら数百万円を上乗せされても、早期退職は自分の首を絞めるものであることを知っているので、どんなに会社が傾いても今の中高年は必死で会社にしがみつく。

そこで、企業側は「追い出し部屋」のようなものを作って、強制的に辞めざるを得ないような状況に追い込むような陰湿な手段を取るようになる。

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総数で見ると男性の自殺の方が多い

会社がいったん従業員をリストラすると決めたら、資格をどれだけ持っていようが、今までどれだけ会社に尽くしていようが、どれだけ上司に媚びへつらっていようが、すべてが無に帰す。

どれだけ子供の教育費がかかっていようが、住宅ローンが残っていようが、そんな個人的なことも考慮されない。

会社に利益を残すことを極限まで追求した株主優先の経営(ROE経営)では、利益のために従業員を切り捨てるのが基本なのだ。時流に合っていない人材であると思われたら、単純に切り捨てられて終わりだ。

中高年でリストラに遭った後、果敢にも起業の世界に乗り込んでいく人も多い。

しかし、起業は90%が失敗すると言われる世界である。 起業の多くは貯金を取り崩したり、借金を抱えて始めることが多いので、起業に失敗した人はさらに困窮が深まっていく。

仕事を失った上に借金まで抱えることになるのだから、その悲惨さと壮絶さは低賃金で働くサラリーマンの比ではない。起業の失敗によって一家離散や自殺に追い込まれてしまう人も珍しくはない。

会社に残っても追い詰められ、リストラされたら再就職の場がなくなり、起業しても失敗の確率が高い。そのような世界なので、重要な地位に辿り着けなかった中高年の多くは、追い詰められていくのは明白である。

国が助けてくれるわけではない。日本は社会保障費が膨らむだけ膨らみきっており、中高年の面倒をみるような余裕も消えている。コロナによって財政の悪化もより深刻化している。

国自体が高齢層をどうするのかでお手上げになっているので、消費増税は今後も必ず行われていく。消費税が10%で終わると思っている人はどうかしている。消費税は理由をつけてもっと上がっていく。

しかし、逆に生活保護の支給額や年金の支給額は下がっていく。

若年層や女性の貧困に焦点が当たっているのだが、中高年も巻き込まれて貧困に落ちているのだ。これが今、私たちが生きている時代のリアルな姿である。こんな世界が常態化してしまったのだ。

2020年以後から貧困に転がり落ちる層は激増することになる。コロナ禍の中で女性の自殺も増えているのだが、総数で見ると男性の自殺の方が多い。自殺のほとんどは経済苦が原因である。そうであれば、自殺はさらに増えていくのは明白だ。

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