果たして安倍晋三を失ってしまった自民党は、未曾有の危機に対処できるのだろうか?

果たして安倍晋三を失ってしまった自民党は、未曾有の危機に対処できるのだろうか?

自民党の保守派議員は「安倍晋三元首相という支柱を失った」上に「カルト統一教会への関わりで信頼も失った」わけであり、もはやこれまでのような求心力は消えたのだ。そして、自民党全体に対する信頼感もなくなった。自民党は今後、苦境に落ちていくのだろう。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019、2020年2連覇で『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

自民党の存在そのものが危機に瀕する状況になった?

2022年9月27日。安倍晋三元首相の国葬は、マスコミや左翼陣営の大反対の声がひときわ大きく報道される中で行われ、社会の分断が鮮明になる中で終わった。客観的に見ると国葬は成功だったとは言い難い状況であったと言える。

「この国葬で国民の心がひとつになった」とは誰も思わないだろう。国葬については最初から最後まで賛否両論であり、政府も国民を説得できておらず、非常に醜悪で見苦しい光景が繰り広げられていた。

右派側でも決して「絶対に国葬が良い」と思っているわけではなかった。意見は割れていたのである。

しかし、全国民の間で一致している意見や思いもある。
それは「これからさまざまな変化が起きるだろう」と言うものである。

良くも悪くも自民党内で大きな存在であった安倍晋三氏が突如として亡くなったことで、自民党の存続意義や影響力が大きく削がれてしまった。自民党内の巨大な保守勢力が存続の危機に瀕するどころか、自民党の存在そのものが危機に瀕する状況になりつつある。

第二次安倍政権が終わった後に管政権が立ったが、管政権はたった一年で終わってしまった。次に立ったのが岸田政権だが、この岸田首相はまったくカリスマが見られない上に、今の日本が置かれている厳しい経済情勢を回復させる能力はまったくないのは見透かされている。

岸田首相では、激震する自民党をまとめることもできないだろう。すでに支持率も爆下がりしており、自民党内でも「岸田では駄目だ」という声が出ている。

とすれば、岸田政権はこれから内外で叩かれて、何もできないまま空中分解していく可能性も高い。

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第二次安倍政権は、まるで救国政権であるかのようだった

自民党は長期政権が続いた後は決まって政治が混乱するジンクスがある。たとえば、「不沈空母」の中曽根長期政権が終わった後、政治は大混乱して竹下登、宇野宗佑と短命政権が続いた。

海部政権でやっと何とか安定を取り戻したと思ったら再び駄目になり、その後の宮澤喜一、細川護煕、羽田孜と政治が混乱したまま、どんどん短命政権になっていた。

そんな混乱する自民党を「ぶっ潰す」と言って登場したのが小泉純一郎だった。異端の総理ではあったが、小泉政権は長期政権となった。

しかし、小泉政権が終わった後は再び政治は混迷期に入り、安倍晋三、福田康夫、麻生太郎と政治が混乱したまま推移して、ついに2009年には自民党は国民から完全に愛想を尽かされて下野するという事態に陥った。

ところが、自民党を打ち倒した民主党政権もまた短命政権の連続で、鳩山由紀夫、菅直人、野田佳彦と呆れるしかないほどの悲惨な政権が泡《バブル》のように浮かび上がっては消えた。

2000年代後半の日本はそれこそ短命政権の連続だったのだ。毎年のように首相が代わり、「日本の首相職は回転ドアなのか?」と国外から馬鹿にされるほどひどかった。そんな中で日本の国際的発言力も影響力も地盤沈下するばかりで、「もう日本は終わりなのではないか?」と日本人の誰もが覚悟した。

特に民主党政権時代の約3年は日本にとって紛れもない「悪夢」でしかなかった。

マニフェストはことごとく反故にした上に売国政策を次々と進め、円高を放置して日本の産業を壊滅状態にして、東日本大震災の処理でも混乱を増長させるばかりで、日本のためになることは何ひとつしなかった。それを終わらせてくれたのが第二次安倍政権である。

第一次安倍政権は閣僚のスキャンダルに足を取られ、安倍首相自身も病で倒れてしまうという悲運にあった。

しかし、第二次安倍政権はまるで救国政権であるかのように日本の大混乱を鎮め、そして日本人が心から望んでいた政治的安定や経済的安定を「やっと」取り戻した。それこそが当時の日本人が待ち望んでいたものだったのである。

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「歴代政権と比べると」かなりマシな政権だった

第二次安倍政権は、外交でも今までの政権とは違っていた。中国にも「歴代政権に比べれば」の話だが、毅然と対処して下手に妥協したりしなかった。そして、何よりも力強く親米路線を貫いた。

私自身はこの時に安倍首相が登場しなかったら、日本はもっと早く亡国の道を歩んでいたとしてもおかしくなかったと思っている。たしかに第二次安倍政権も完璧ではなかった。深刻な政策ミスはいくつもある。

野党はモリカケだとかサクラだとかで騒いでいたが、それよりも問題だったことが他にあった。

まず第一に、安倍政権は消費税を引き上げて経済を悪化させた。習近平におもねって国賓で呼ぼうとした。コロナの真っ最中にインバウンドを止めなかった……。

国民が最も安倍政権に失意を抱いたのは、2019年の消費税10%の引き上げだった。これによって経済と共に安倍政権の支持も同時に失速して、コロナによるダブルパンチもあって、とうとう安倍政権も「末期」のような状態を呈するようになった。

結局2020年9月16日、安倍首相は健康上の理由で職を辞すことになったのだが、そうでなくても政権は支持を失って崩壊していた可能性もあった。安倍政権では「多文化共生」という名の隠れ移民政策も進んでいたが、こうした政策も日本国民には不信を持たれるようになっていた。

このように、第二次安倍政権には言いたいことはたくさんあるが、それでも「歴代政権と比べると」かなりマシな政権だったのだ。だから、第二次安倍政権は長期政権となった。

現在の自民党の支持も、安倍晋三という人物を信頼する国民が多かったからこそである。その人物が狙撃されて命を落とした。そうであれば、これからさまざまな「悪い変化」が起こって当然である。

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これから自民党は未曾有の危機に対処できるのだろうか?

国民の「自民党への信頼」は安倍晋三元首相の存在にあったが、殺された動機にカルト統一教会への関わりがクローズアップされることになって、信頼は失望に変わった。そして、このカルトは、自民党の保守派議員にとりわけ深く浸透していることも暴露されるようになった。

国民はそのことに衝撃を受けている。そして、自民党はこれによって今までの信頼を大きく失った。特に窮地に追いやられているのが、カルト統一教会と関わった自民党内の保守派議員である。

彼らは、どう言い訳しても今まで通りの支持や信頼が得られるわけがない。自民党の保守派議員は「安倍晋三元首相という支柱を失った」上に「カルト統一教会への関わりで信頼も失った」わけであり、もはやこれまでのような求心力は消えたのだ。

そして、自民党全体に対する信頼感もなくなった。

ただし、「野党は自民党を超越する馬鹿政党である」という事実があるので、この一点で自民党は今までのように消極的支持が続くのだろう。しかし、それも色褪せてきて効果が切れる時が遅かれ早かれ来る。

安倍晋三氏に並び立つほど、カリスマ性と影響力を持つ国会議員が自民党内から彗星のように現れるという奇跡も起こるかもしれないが、そういう奇跡がいつも都合良く起こるわけではない。

だとすれば、また例によってお決まりの短命政権が続いて、日本の政治は混乱していくことになる。

すでに日本は30年以上も「成長できない国」となっており、もう日本の復活については残された時間は限られている。

世界はエネルギー危機、インフレ蔓延、ロシアとウクライナの泥沼の戦争、東アジアで続くコロナ禍で、いよいよ経済悪化も避けられないようになっており、これから深刻な景気後退《リセッション》がやってこようとしている。

日本も世界と連動しているのだ。これからすぐ、日本もあらゆる深刻な問題に直面することになる。果たして安倍晋三を失ってしまった自民党は、未曾有の危機に対処できるのだろうか。すでに試練は始まっている。

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