新型コロナウイルスが収束した時、「違う世界」が広がっているかもしれない

新型コロナウイルスが収束した時、「違う世界」が広がっているかもしれない

日本は新型コロナウイルスがもたらす次の不景気でかなり危険なものになってしまうのではないか。日本は少子高齢化で、社会の活力そのものが消えている。内需が期待できない時代がこれからも続く。実に危ない時代になっている。不安定な土台の中では、少しでも足を踏み外すといきなり転落していくという時代なのだ。新型コロナウイルスはそんな中に直撃した災厄なのだ。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

新型コロナウイルスは時代すらも変えてしまうのか?

新型コロナウイルスの影響は凄まじく世界に悪影響を及ぼしている。全世界の株式市場は同時に大暴落を繰り返しており、収束の緒(いとぐち)は見えていない。

あちこちの国が入出国規制をしているので、グローバルに構築された全世界のサプライチェーンは崩壊してしまった。すでに製品の供給が停止してしまった業界もある。これから製品の供給が止まりかねない業種もある。

さらに人々の不要不急の外出も避けるように呼びかけられており、全世界から内需が来ていく。すでに世界各国で倒産する企業が大量に出てきている。あと1ヶ月もこの状態が続くと、いよいよ全世界で莫大な企業が経営破綻に追い込まれていく。

新型コロナウイルスは、ワクチンが開発されたら問題は解決する。あるいは、徹底的な封じ込めが終われば問題は収束する。

しかし、それまでに大量の企業が倒産や破綻に追い込まれていたら、実体経済が元に戻るのはかなりの時間がかかる可能性もある。場合によっては、あまりにも国家も企業も傷ついていて、元に戻らないかもしれない。

新型コロナウイルスは、時代すらも変えてしまう危険性がある。1990年代、バブル崩壊で日本社会はそれまでとはまったく違う社会となった。バブル崩壊というひとつの出来事で、社会がまったく違うものに転換した。

バブル崩壊は、日本社会を変えてしまった巨大な出来事だった。新型コロナウイルスもそうならないとは誰も言えないような状況になりつつある。そうなるのかどうかは、まだ分からない。

しかし、悪影響が長引くと収束した時には「違う世界」が私たちの目の前に広がっているかもしれないのだ。

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日本人はそれが何を意味するのか気付いていなかった

社会は「変わる」ということを日本人は再認識すべきだ。

たとえば、1954年から始まった日本の高度成長は1970年代には石油ショックと共に頭打ちになった。しかし、その頃はもう日本企業の土台は固まっていて、そこから地道な成長となっていった。

そして、1980年代にはバブルの時代へと突入していった。日本の土地と株式はうなぎ上りに上がっていき、どんなに借金をして土地を買っても土地の値段が上がるのが早いのですぐに借金は回収できた。

そのため、多くの人が土地転がしで豊かになり、手に入れた金で踊り狂った。しかし、1990年代に入ると同時に日本は「バブル崩壊」で沈んでいった。

日本の経済的な成長が馬鹿げたバブルと共に破裂し、ここから日本経済は立ち直ることなく坂道を転がり落ちていった。

総量規制が取り入れられ、消費税が取り入れられて、日本の経済成長と内需は、間違った経済政策によって吹き飛ばされ日本は以後も復活していない。

当初、日本人はバブル崩壊以後に日本の経済環境が完全に変わったことに気付いていなかった。1990年のバブル崩壊の途上でも給料が増え、会社は終身雇用で、土地は上げ下げはあっても基本的には右肩上がりであると「土地神話」を信じていた。

季節が巡るように、やがて戻ると思っていたのである。ところが、戻らなかった。2000年代に入ると、日本人が信じていたそういった「古き良き時代」はすでに終わったと誰もが感じるようになった。

この頃から世界はグローバル化が猛烈に突き進んでいたのだが、日本企業もそのグローバル化に巻き込まれて、苛烈な競争の中で戦うことになっていったのだ。

企業は「安く生産できる国」に移転して工場を作るようになり、安い価格で商品を生産できる企業がグローバル化の中で勝ち上がっていくようになった。

価格競争に勝つためには、徹底的なコスト削減が必要なのだが、そのために大きなネックとなるのが人件費だ。そこで日本企業も人件費の削減が余儀なくされ、年功序列も終身雇用も維持できなくなっていった。

注意深く観察してみれば「石油ショック」で違う世界になり、「バブル崩壊」で違う世界になり、「グローバル化」で違う世界になった。違う世界になると、もう元の世界には戻らない。

「新型コロナウイルス」はどうだろうか?

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何が人々を貧困に落としてしまうのか?

今まで食べていけた人が「突如として」食べていけなくなるのは、いったいなぜなのか。何が人々を貧困に落としてしまうのか。大きくまとめると7つの要因がある。

(1)低賃金。
(2)リストラ。
(3)経済格差。
(4)収入低下。
(5)借金。
(6)離婚・家庭崩壊。
(7)時代の変化。

新型コロナウイルスは「時代の変化」に相当する。時代が変化すると、今までの通り生きていたら、もうやっていけなくなる。

そもそも、新型コロナウイルスの前から、すでに日本はグローバル化によって社会が急激に変化していた。

企業はグローバル化では激しい競争にさらされ、少しでも業績が悪くなるとすぐにリストラするようになった。また、非正規労働を増やして「すぐに切れる」人材を欲するようになった。そのために再雇用されるときは、多くがかつてより悪条件か、低賃金になっていった。

家庭崩壊も珍しくなくなり、離婚も当たり前の時代になって、シングルマザーも増えていった。そして、政府財政も悪化し続けて年金削減、社会福祉削減、年金削減、消費税の増税という時代の変化が起きていた。

そうした中で、今度は「新型コロナウイルス」という変化が来襲して、社会をより危険なものに変えていこうとしている。

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今の社会は、思った以上に危険な状況にある

日本は新型コロナウイルスがもたらす次の不景気でかなり危険なものになってしまうのではないか。日本は少子高齢化で、社会の活力そのものが消えている。内需が期待できない時代がこれからも続く。

実に危ない時代になっている。

不安定な土台の中では、少しでも足を踏み外すといきなり転落していくという時代なのだ。どん底にいる人が何をしても抜け出せないという地獄とは、また違った恐怖がここにある。

今ある生活が、ガラガラと崩れていくのだから、これほど恐ろしいことはないだろう。

ここから逃れるには、もう為すがままに生きていくだけでは間に合わず、今の資本主義で叩きのめされないように生き残りを必死で考えなければならない。

新型コロナウイルスの影響が続くと、社会全体がダメージを受ける。そのため、国も企業も国民を助ける余裕がなくなっていく。国家や企業が国民を救えなくなるのであれば、社会は弱肉強食に落ちていく。

そうであれば、弱肉強食の資本主義が進めば進むほど、「自分で」自分を何とかしなければ、どん底に堕ちるということだ。

もうすでに日本人は「貯蓄している国民」ではなくなっており、日本人の40%は貯金のないどん底の中で生きている。それは、何かあれば「いきなり生活破綻、地獄行き」になる層が40%もいるということだ。

新型コロナウイルスの悪影響が長引くと、収束した時には「違う世界」が私たちの目の前に広がっているかもしれない。そろそろ、最悪に備えて準備しておいた方がいいのかもしれない。そんな危機も生まれている。

『バブル:日本迷走の原点(永野 健二)』

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