トラブルを避けるために絶対に覚えるべき「たった1つの重要な言葉」とは?

トラブルを避けるために絶対に覚えるべき「たった1つの重要な言葉」とは?

悪魔は凶悪な顔をしてやってくるのではない。甘い顔をしてやってくる。だから、最初は騙されるかもしれない。しかし、いったん問題を感じたら、途中で「ノー」と言って離れる能力を持たなければならない。胡散臭いもの、どうでもいいものには「ノー」と言うのは技術である。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019、2020年2連覇で『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

世界史上最大のポンジ・スキームを仕掛けたマドフが獄中

競争の激しい世界や、裏側で激しくカネが動く世界。あるいは、取引に大きな資金のやりとりが発生する世界には、詐欺師が群れになってやってくる。そこには、血の臭いに集まるサメのように、胡散臭い人間が全員集合している。

誠実さが求められるビジネスの世界でも、誠実ではない人間がたくさんいる。むしろ、誠実ではない人間が誠実を装い、他人を騙し、蹴落としながら、そこでのしあがることもある。

最近、バーナード・L・マドフが獄中で死亡したと報道されている。この男マドフは自分の名前を付けた証券会社を運営し、ナスダック株式市場の非常勤会長を務めるほどの大物だった。

しかし、この男は裏があった。自ら運用する投資ファンドは「10%を上回る高利回り」を謳っていたのだが、集めた資金を投資しないで顧客の配当利回りに充てながら客をどんどん呼び込んで資金を膨らませていくという「ポンジ・スキーム(ネズミ講)」をやっていたのである。

被害総額は約5兆円から6兆円。「世界史上最大のポンジ・スキーム」だった。

この男に騙された富裕層、金融機関はかなりの数にのぼった。最近、野村證券は中国企業に投資するアルケゴスのビル・フアンに騙されて2000億円もの資金を吹き飛ばされているのだが、野村証券はマドフにも高金利で釣られて騙されていたのだった。

この世は邪悪な世界である。うっかりしていると、有り金すべてを毟り取られて裸で放り出される。そういった世界で私たちは生きているわけで、カネに対して無邪気であれば、その無邪気さに泣くことになる。

無邪気であればトラブルに巻き込まれる。そのためには、私たちは胡散臭い話に気をつける必要がある。その際、覚えなければならない重要なこともある。

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やがては悪意に満ち溢れた人間の手練手管に騙される

学校では、何かの理論や公式を教えることはあっても、世の中のどろどろした内面は決して教えない。学校ではポンジ・スキーム(ネズミ講)がどのようなものか、ネットワークビジネスがどのようなものか、カルト教団の洗脳工作がどのようなものか、そういうことは一切教えない。

だから、少なからずの学生は無邪気なまま世の中に出ていって、やがては悪意に満ち溢れた人間の手練手管に騙されることになる。

マドフみたいに「10%を上回る高利回り」を謳って金を巻き上げる詐欺師なんか珍しくも何ともない。日本でも2020年2月20日に焼死した投資ジャーナルの中江滋樹は、「預かり金を入れれば、その10倍の融資が受けられる」と投資家を騙して莫大な金を掻き集めていた。

騙すというのは、その人の金を奪うだけではない。その人の時間も奪う。長い期間の騙しが続くと、人生そのものも奪われる。だから、自分が厄介なことに巻き込まれていないか、常に振り返る必要がある。

もし自分が何か見込み違いをしていたり、不利益があったり、何かトラブルに巻き込まれる前兆が見えてきたり、自分の領域ではないところに引きずり出されようとしたとき、どうすればいいのか。

そのまま、ズルズルと関わっていてはトラブルはとても大きなものになっていく。

多くのトラブルは、まず「甘い言葉」から誘い込みがくる。「こうすれば儲かる」「こうすれば楽して大金が手に入る」「信用してくれれば倍にして返す」……。胡散臭いとは思っても、何となく乗ってしまう人も多い。

こういったトラブルからいかに逃れるのかというのは、生きる上でとても重要な技術(スキル)であるはずなのだが、誰もこの方法を教わらない。

不思議に思わないだろうか。自分の人生を豊かにするためにも覚えておかなければならないのに、学校でも教えないし、社会でも取り立て重要視されないし、会社でも教えてくれない。

トラブルから逃れるために、まず覚えなければならない絶対に重要なものとは何か。そして、なぜそんな重要なものを教えてくれないのか。学校でそれを教えないのは、実は理由がある。

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不利益を被る可能性があることには「ノー」と言う

トラブルから逃れるために、まず最初に覚えなければならない絶対的に重要なもの。使いこなさなければならない言葉。大事な時にきちんと言えるようにしなければならない言葉。

それは、「ノー」という技術である。

的確に「ノー」と言えるかどうかで、人生がうまくいくかどうか決まると言ってもいい。ノーと言えない人間は、必ずトラブルに巻き込まれる。多くの邪《よこしま》な人たちは、ノーと言えない人間をターゲットにするからである。

自分が追い詰められる可能性があるようなものには「ノー」と言わなければならない。自分が不利益を被る可能性があることには「ノー」と言えなければならない。自分の人生に関係ない枝葉末節には「ノー」と言わなければならない。

胡散臭い案件は、気付いた時点ではっきりと「ノー」と言わなければならない。無理して関わってはならないし、無理して自分の人生の本質ではない部分に関わってはならない。

なぜ、これを学校で教えないのか。なぜ、これを会社で教えないのか。

それは、大きな理由がある。これを教えてしまうと、能力のない教師は学生に「ノー」と言われてまとめられなくなってしまう。能力のない上司は、部下に「ノー」と言われて立ち往生してしまう。だから、この部分をうやむやにして気づかせない。

家庭でも能力のない親は、子供に「ノー」と言われると、どうしようもなくなってしまう。正当な理由と共に「ノー」とはっきりと言える人間は、詐欺師だけでなく、能力のない親・教師・上司にとっても、とてもやりにくい相手になる。

世の中は、よってたかって下の者には「ノー」と言わせないように教育する。その重要な言葉を教えるどころか、むしろ隠そうとする。そういった側面があるので、「ノー」という訓練は学校でも為されないのである。学校は常に「イエス」という訓練だけをさせるのだ。

しかし、海千山千の人間がストリートをうろついている実社会では、あれもこれも「イエス」と言っていてはいけない。トラブルから逃れるために言うべき「ノー」という言葉が使いこなせなければならないのである。

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多くの人たちは意図的に「ノー」と言えない人間に洗脳され続けてきた

悪魔は凶悪な顔をしてやってくるのではない。甘い顔をしてやってくる。マドフや中江滋樹は恫喝や威嚇で客から金を引き出したのではない。自分に金を預けたら儲かる、という甘い言葉で客に自ら資金を差し出すように仕向けたのだ。

詐欺師は巧みだ。だから最初は騙されるかもしれない。しかし、いったん問題を感じたら、途中で「ノー」と言って離れる能力を持たなければならない。

他人が甘言と共にもって仕掛けてくるワナを断ち切るために、的確に「ノー」と言うのは想像以上に大切なことだ。最初から見抜いた時も、途中で気がついた時も、どちらも「ノー」が言えるかどうかでリスクから逃れられるかどうかが決まる。

日本人が今までうまく「ノー」が言えないのは、そういう教育をわざと受けさせてくれなかったからである。

多くの人たちは意図的に「ノー」と言えない人間に洗脳され続けてきたということだ。世間は「ノー」と言う人間よりも「イエス」という人間の方が扱いやすいから意図的にそうしている。

自分の人生を振り返ると、誰でも「ノー」と言えないことで、多くの無駄を背負い込み、人生の一部を失ったことに気付くはずだ。人によっては、今でも「ノー」と言えないことによって、今も苦しんでいる何かがあるかもしれない。

そうであれば、そろそろ「ノー」を言うべきではないか。

自分の人生を破壊してしまうようなトラブルは、誰のところにもやって来る。これからも私たちのところに「胡散臭い何か」や「不本意な何か」が持ち込まれる。その時のためにも、今から「ノー」と言えるように訓練しておかなければならない。

どうでもいいものには「ノー」と言う。それができるようになったら、やっと人生における重要なスキルの1つを手に入れたと喜んでもいい。

それができないと、いずれは身を滅ぼすことになる。特に日本人は人の顔色を見て「ノー」をはっきりと言わないで対外的にも誤解される民族でもある。毅然として「ノー」ということを学習するのは無駄ではない。

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