テレビで顔を売っている人間もかつての影響力を失い、その多くが消えていく

テレビで顔を売っている人間もかつての影響力を失い、その多くが消えていく

テレビ局が「世論操作」をしているというのは、もう誰も知らないものはいない。一部のテレビ局だけでなく、すべてのテレビ局がそうだ。インターネットはこうしたテレビ局の醜悪な実態を次々と暴いており、毎日のようにテレビの偏向が話題になる。それでも、テレビ局は改善しない。やらせもフェイク報道も周期的に起きて反省することもない。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

インターネットの広告費は、ついにテレビを抜いた

NHKの国際ニュース番組が黒人を「いかにもワル」のようなステレオタイプな描き方をして炎上しているのだが、テレビというのはいつもこのような一方的な、自分の都合の良い価値観を押しつけてくるということを私たちは再確認することになった。

テレビや新聞の影響力は未だに絶大なものがある。人々は文句を言いながら、それでもテレビをぼーっと見続ける。高齢者であればあるほどそうだ。朝から晩までテレビを見て過ごしているのである。テレビが与える影響力は凄まじい。

しかし、すでにピークを過ぎており、今までのような影響力は急激に失われていくことが予測されている。テレビを持っていない層も珍しくなくなり、テレビを持っていても「面白くない」と言って見なくなった層も多い。

こうした流れは「総世帯視聴率」が1997年から一環して下がり続けていることで確認できる。今後も持ち直すことはなく、さらにじり貧になっていく。これは日本だけでなく、世界的な傾向でもある。世界中で人々が「テレビ離れ」を起こしている。

「テレビ離れ」を象徴する動きは広告費である。電通が2020年3月11日に発表した「日本の広告費」では、2019年の広告費は以下のようになっていた。

ネットの広告費 2兆1,048億円
テレビの広告費 1兆8,612億円

インターネットの広告費は、ついにテレビを抜いたのだ。これはすなわち、テレビというメディアの巨大な影響力が、インターネットによって削がれていることを意味している。

【金融・経済・投資】鈴木傾城が発行する「ダークネス・メルマガ編」はこちら(初月無料)

テレビのビジネスモデルはすでに時代遅れ

テレビのビジネスモデルはすでに時代遅れだ。自分の見たいものを見るには、基本的には「その時間」に「そこに居なければならない」わけであり、そこからして現代のテレビは時代遅れのシステムである。

何とか時間をやりくりしてその時間に座ったら、今度はダラダラとワケの分からないコマーシャルばかり執拗に見せられ、番組もぶつ切りされて、次第に何を見ているのか分からなくなってしまう。

インターネットでは自分の見たいものがあれば、検索して呼び出して、好きな時に、好きなだけ、何度も巻き戻しして見ることができる。

検索すれば、今まで自分が知らなかった関連の動画まで出てきて、関心を深追いできる。テレビは見逃したら終わりで、関連の動画を提示してくれることもない。

インターネットでユーチューブなどで好きな動画を呼び出して視聴するのに慣れた子供たちは、今やテレビよりも、スマートフォンやタブレットでユーチューブのような動画サイトを見る方を好むようになっている。

インターネットの動画はまだ画質が悪いものも多いが、それでも視聴者は絶対にテレビに戻らない。いくら画質が良くても関心がないものは見る気もしない。しかし、画質が悪くても関心があれば、それはその人にとって宝物にさえなる。

こうした動画の画質の悪さは年を追う事に改善されてきており、最新の動画に関して言えば、インターネットの動画はテレビと遜色ないほど鮮明になってきた。

動画に飽きたら、今度はその機器でゲームやチャットやインターネットができるのだから、これでテレビに戻る人がいたらそちらの方が不思議である。

40代から50代の人間も、徐々にテレビからインターネットに軸足を移している。この年代もテレビの融通のきかないシステムにイライラしている。このままだとテレビを見るのはインターネットが使えない高齢者だけになるのは確実だ。

【ここでしか読めない!】『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』のバックナンバーの購入はこちらから。

テレビ局のあこぎな世論操作が次々と暴かれる

テレビが凋落していくと同時に、テレビが担ってきた「世論操作」もだんだん効かなくなってきている。

コメンテーターが馬鹿げた世論操作的な発言をすると、すぐにネットで非難囂々となって炎上し、世論操作どころかテレビ局そのものが激しく攻撃される。

場合によってはスポンサーも攻撃対象になる。なぜなら、視聴者はすでに「テレビ局を攻撃するならば、スポンサーに抗議の電話を入れた方が早い」というのを学習してしまったからだ。

さらにテレビが何かおかしな「やらせ」をすると、すぐにそれがインターネットで検証されて、「この部分がヤラセだった」と拡散されていく。そして、あまりにもひどい「やらせ」があると、番組そのものが吹き飛んで消えてなくなる。

これまではやりたい放題で、視聴者のクレームなど歯牙にもかけなかったテレビ局だが、いまやインターネットという「巨大なメディア」によって、どんどん影響力を削がれ、攻撃されるようになっているのだ。

テレビ局が「世論操作」をしているというのは、もう誰も知らないものはいない。一部のテレビ局だけでなく、すべてのテレビ局がそうだ。もちろん「公営放送」であるはずのNHKも同じだ。偏向にまみれた世論操作を今も垂れ流している。

インターネットはこうしたテレビ局の醜悪な実態を次々と暴いており、毎日のようにテレビの偏向が話題になる。それでも、テレビ局は改善しない。やらせもフェイク報道も周期的に起きて反省することもない。

テレビに出ているキャスターもジャーナリストも、相変わらず胡散臭い人間たちばかりである。

ダークネスの電子書籍版!『邪悪な世界の落とし穴: 無防備に生きていると社会が仕掛けたワナに落ちる=鈴木傾城』

テレビの影響力が減少するのは悪いことではない

テレビは凋落し、テレビが魅力的でなくなっていく。テレビを見ているとテレビ局の世論操作に惑わされるとして「あえてテレビを見ないようにしている」という人もどんどん増えている。

インターネットの情報はテレビよりも早く、量もテレビよりも膨大で、テレビの内容もすぐにインターネットに取り込まれていくのだから、インターネットにつながっていれば、テレビがなくても何ら困らない。

「報道」の重要性はいつの時代も変わらないのだが、この「報道」の部分もインターネットにシフトしてきているので、テレビの重要性は確実に薄れている。

そうなると企業も広告を打つならテレビよりもインターネットの方が効果があると考えて、どんどんインターネットにシフトしていくことになる。だから、インターネット関連企業が巨大な動画広告収入を上げるようになっているのである。

こんな時代になっても相変わらずテレビを見続けるのは、高齢者ばかりとなっている。そのためにテレビも高齢者を対象にした番組を増やさざるを得なくなるのだが、そうするとテレビを見る若年層はますます減っていく。世代が分かれた。

最近、音楽業界では「世代を超えて誰もが知っている国民的大ヒット曲」がほとんど出なくなっている現象が指摘されている。これは、国民全員がテレビにかじりつくという時代でなくなったからだ。

誰もが同じものを見ているわけではないので、「誰もが知っている」という状態を作り出すのが難しくなったのだ。とすれば、これからはテレビで顔を売っている人間もかつての影響力を失い、その多くが消えていく。

偏向した人間が集まり、偏向したコメントを垂れ流し、偏向報道をやめないのだから、テレビの影響力が減少するのは、悪いことではない。それは喜ばしいことでもある。

偏向剥き出しの番組、世論操作丸出しの構成、倒閣運動を公然と行う放送局が消えてもなくなっても誰がそれを悲しむというのだろうか。「偏向番組を垂れ流すテレビ局は消えるのが日本のためだ」と公然と言う人も増えた。偏向まみれの腐ったメディアに未来はあるだろうか。ない。

『テレビの嘘を見破る(今野 勉)』

鈴木傾城のDarknessメルマガ編

CTA-IMAGE 有料メルマガ「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」では、投資・経済・金融の話をより深く追求して書いています。弱肉強食の資本主義の中で、自分で自分を助けるための手法を考えていきたい方、鈴木傾城の文章を継続的に触れたい方は、どうぞご登録ください。

一般カテゴリの最新記事