「戦後最大の人類の危機」を乗り越えられるのかどうか、まだ誰も分からない

「戦後最大の人類の危機」を乗り越えられるのかどうか、まだ誰も分からない

大企業も中小企業・小規模事業者もすべて売上を失い、利益を失い、経営基盤を悪化させる。とすれば、もはや雇用は保証されないということになる。非正規雇用者はクビ、雇い止め、請負の停止、一時休業などを「強制」される。あらゆる分野で、壊滅的に仕事を失うことになる。そして、次の仕事が見つからない。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

日本経済も、自粛によって急激に首が絞まった

中国発コロナウイルスによって日本は4月7日に「緊急事態宣言」が発令されて、自粛はほぼ強制のような形になった。

他の国とは違って「都市封鎖(ロックダウン)」ではないだけマシだと言うこともできるが、それでも経済的には大きなダメージが急激に回っていく。

そもそも、日本経済は2019年の消費税10%引き上げによってコロナ前から大きなダメージを受けていた。そこに1月半ばからコロナ問題が中国から流入し、たった2ヶ月で日本経済も自粛によって急激に首が絞まっていった。

緊急事態宣言は経済の流れをより強く断ち切る流れになる。東京都は以下の施設に自粛を要請する。

大学、自動車教習所、学習塾、体育館、スポーツクラブ、劇場、映画館、ライブハウス、展示場、博物館、美術館、図書館、ショッピングモール、質店、貸衣装店、ナイトクラブ、カフェ、バー、インターネットカフェ、漫画喫茶、カラオケ店、パチンコ店、場外馬券場、ゲームセンター等々……。

ここに含まれていない薬局、スーパー、ホテル、宅配、工場、銀行、公衆浴場、飲食店、料理店、居酒屋などは「協力を要請しつつ業務継続」という流れになる。

しかし、「なるべく家にいるように」と政府が指導していて国民はそれに従っているのだから、飲食店、料理店、居酒屋などが店を開いても客がそれほど来店するわけでもなく、売上はかなり落ちることになるだろう。

すでに歓楽街の多くの飲食店は2月から3月に大ダメージを受けている。アルバイトはすべてクビにして時間短縮か休業に追い込まれ、家賃すらも払えないような状況に陥っている。

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日本の中小企業・小規模事業者も大手もすべて焼け野原

小さな街の飲食店の経営者は大企業のように内部留保があるわけではない。個人的に負債を抱えて1ヶ月の売上が消えただけでも家賃や人件費が支払えなくなる。経営体質基盤の弱い零細・中小は、もうひとたまりもないと言える。

2月と3月で売上減になっているのだから、4月7日の緊急事態宣言によってほとんどの店は「とどめを刺されたような状態」だ。そのため、4月末になれば悲惨なまでのコロナ倒産が起きるだろう。

3月の末の時点でリサーチ会社が行った緊急調査で飲食業経営者の6割が「このままでは事業継続困難」と回答しているのである。4月も状況が改善していないので、事業継続困難と回答する経営者は7割を超えてもおかしくない。

苦境に落ちているのは街の飲食店だけではない。

東京商工リサーチでは、2020年3月度の「負債額1000万円以上」の倒産は全国で740件だったと報告している。これは前年同月比11.7%増なのだが問題は4月からなのだ。すでに多くの業態が青息吐息の状態なのだから倒産は爆発的に増える。

宿泊業と飲食業が最も大きなダメージを受けているのだが、他にも小売業、食品製造業、アパレル、出版、卸売、製造、イベント葬祭業、ケータリングサービスで続々と倒産が始まっている。

大手企業も3月の時点で下方修正を相次いで報告している。

上場企業では3月27日の時点で135社が業績の見通しを引き下げた。サプライチェーンの寸断による生産の減少、内需の縮小による売上の落ち込み、原油価格の値下がりによる損失等々、悪い材料には事欠かない。

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 「戦後最大の人類の危機」の中に私たちはいる

「ユニクロ」などの親会社ファーストリテイリングも中国発コロナウイルスによって世界展開した多くの店が休業を余儀なくされており、純利益は38%も失われてしまった。経営者の柳井正会長は「戦後最大の人類の危機だ」と述べている。

トヨタも3月の販売台数は40%近くも減少している。当然だ。このような状況の中で高額な買い物をしようと思う客はいない。トヨタですらもこの調子だから他の自動車メーカーは悲惨だ。日産に至っては、3メガバンクに5000億円の融資を要請する事態に陥っている。状況が長引けば、日産は持たない。

持たないと言えばJALとANAも国際線が約8割減、国内線は約6割減となっているのだから、資金繰りに問題が発生しつつあるレベルだ。政府は「航空路は経済の基幹インフラである」として支援を約束している。

大企業も中小企業・小規模事業者もすべて売上を失い、利益を失い、経営基盤を悪化させる。

とすれば、もはや雇用は保証されないということになる。非正規雇用者はクビ、雇い止め、請負の停止、一時休業などを「強制」される。あらゆる分野で、壊滅的に仕事を失うことになる。そして、次の仕事が見つからない。

次に正規労働者もまたリストラや無給の一時休業などに追い込まれていく。そうしないと企業そのものが持たないからだ。

すでに状況悪化はリーマンショックをはるかに超えている。日本だけでなく全世界がこのような状況になっているので、収束が遅れれば経済そのものが完全に壊れてしまうような状況になっているのかもしれない。

経済が回復不能なまでに壊れるということは、国そのものも壊れるということでもある。そうなるともならないとも言えないのが今の状況だ。「戦後最大の人類の危機」を私たちが乗り越えられるのかどうか、まだ誰も分からない。

『コロナ危機下のBCP あなたの会社は事業継続できますか? 中堅中小企業がやるべきこと』

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