コロナは「蔓延させないようにしつつ、できるだけ日常生活を維持する」という方策を取ることで対応できる。これは矛盾しているように見えるかもしれない。しかし、「ある区分け」をすればうまくいく可能性がある。最も合理的だと思われるのは「年代」で対処を分けるという方法だ。(鈴木傾城)
プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)
致死率は高齢層が高いことに着目
中国発コロナウイルスは、特効薬としてのワクチンや治療薬が登場するまで完璧に封鎖するのは難しい。だから、「蔓延させないようにしつつ、できるだけ日常生活を維持する」という方策を取るしかない。
厚生労働省の2020年7月15日時点のまとめによると、感染者の中で死亡した人たちを年代別に致死率を出すと以下のような結果となっていた。
30代以下 0.1%以下
40代 0.4%
50代 1.0%
60代 4.7%
70代 14.2%
80代以上 28.3%
ここから、コロナに関してどのように対応するのがいいのかが見えてくる。最も合理的だと思われる年代的な対処は以下の方策だ。
「80代以上は、ステイホームを徹底する」
「70代は、なるべくステイホームをする」
「60代は、出かける時は強めの防護を心がける」
「50代以下の年代は、通常の日常生活をして構わない」
つまり、緊急事態宣言は「年代ごと」に出すことで対応する。「70代はなるべく家にいるように要請」「80代は絶対に家にいるように要請」する。これで70代以上の高齢者の感染リスクをある程度減らすことができる。感染リスクを減らすことができれば、死亡率を下げることができる。
さらに、全世代の人間は70代以上の高齢層と接する時は、感染リスクを減らすためにマスク・手洗いなどを徹底して注意深く接することを心がけることでさらに、感染リスクが減らせる。
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これで第二波・第三波を乗り切ることができる
つまり、「70代以上の高齢層を守る」ことでコロナの重症者・死亡者をかなり減らすことができるので、それが重点施策にならなければいけないということだ。
しかし、50代以下の年代はまったく何も気にしないでやりたい放題やっていいのかというと、そういうわけではない。
コロナが蔓延したら、パーセントは低いとは言えども誰かが重症・死亡してしまうのも事実なので、なるべく非接触を心がける必要がある。そのため、50代以下の年代には、以下を義務付ける必要がある。
「マスク・手洗いを徹底する」
「集まらない・近寄らない・密閉された空間を避ける」
「他人と濃厚接触のある店を避ける」
政府は当面の間、外国人をシャットアウトし、他人と濃厚接触するのがメインとなっている店を「休業と保障」をセットにして規制すればいい。そうすれば、4月5月に行われたような馬鹿げた緊急事態宣言で経済を麻痺させる必要はない。
これで、第二波・第三波を乗り切ることができる。
もっと細かく言えば、「糖尿病や心臓病等の基礎疾患を持った患者も症状の重さで70代・80代と同じ扱いにする」等の調整も必要だが、基本的には年代別にきめ細かく要請を変えることによって、「命を取るか、経済を取るか」という二者択一から逃れることが可能になるはずだ。
・70代以上をステイホームさせることによって死亡率を減らす。
・60代以下は通常の日常生活を許容することで経済を回す。
もちろん、これで100%うまくいくわけではない。若年層で基礎疾患もないのに運悪くサイトカインストーム(免疫系の暴走)によって死亡する人もいるので、重症者も死者はゼロにすることはできない。
しかし、十把一絡げで都市封鎖して経済を完全に破壊して国民生活を破綻してしまうよりはずっと現実的だ。
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政府が「こうしろ」と言えば良いだけ
日本で比較的感染者や死者が少ないのは、「マスク・手洗いを徹底する」「集まらない・近寄らない・密閉された空間を避ける」「他人と濃厚接触のある店を避ける」というのが比較的きちんと守られているからでもある。
また、欧米のようにハグやキスのような濃厚な挨拶もなく、もともと濃厚接触の少ない文化だった。
幸か不幸か同調圧力も敏感に感じる国民なので、誰もがマスクをしていると「まわりがやっているから」という理由でマスクをし、誰もが家で自粛していると「まわりがやっているから」という理由で自粛をする。
それがコロナに対しては良い方向に結果を出しているように見受けられる。
だから、7月から徐々にコロナの感染者が増えているのだが、再び緊急事態宣言による自粛要請みたいなことをしなくても、自然に乗り切れるようにも思える。
ただし、夜の街に見られるような「濃厚接触が当たり前の接客」や、大声で叫んで飛沫が飛ぶ「カラオケ・イベント」などの一部の業種では避けられないので、この部分を政府がコントロールして、保障しつつ休業させるか、もしくは保健所等とタイアップして徹底的な対処方法を考える必要がある。
今はホストクラブ・キャバクラ・風俗で感染者が出ているのに、休業命令もしないで事実上の放置を続けているので、若年層の感染者が増え続けている。明らかな感染源は封じて、特効薬ができるまでは制限させるのは当然のことだ。
こうした当たり前の対処をすることによって、通常の日常生活をしている60代以下の国民も守ることができる。
「年代ごとに要請を変える」というのは別に難しいことではないはずだ。政府が指針を示して「こうしろ」と言えば良いだけの話なのだから、明日にでもできる。こうした対処をしっかりとすれば「コロナは恐れずに足らず」となる。