次の株式市場の暴落は必ずあるが、それでアメリカが終わりになるわけではない

次の株式市場の暴落は必ずあるが、それでアメリカが終わりになるわけではない

政治は大混乱し、コロナで大きく傷つき、中国が不法な手段で全世界に侵略の手を広げているのだが、それに悲観して「アメリカは終わりだ」「アメリカはもう駄目だ」と見切りを付けるべきなのだろうか。いよいよアメリカが衰退し、代わりに中国共産党が率いる無法な国家が世界の頂点に立つのだろうか。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

上昇していても、株式市場の暴落はまた「いつか」必ずくる

ワクチンはできたが、まだ流通しているわけではない。そして、ワクチンに不信感を持っている人も多く、ワクチンが流通してもしばらくは様子見か、絶対に打たないという人も現れる。途上国もワクチンが後回しになるかもしれない。

そう考えると、実体経済の悪化はボディーブローのように企業の収益を悪化させて、いずれはそれが株式市場に反映されると考えても間違いない。

今、どこの国も株式市場は大きく上昇している。金融緩和の莫大な金が株式市場に流れ込んでいるからでもある。しかし、一気呵成に上がったものは必ず調整するし、場合によっては大きな暴落になることもあり得る。

暴落が来ないと思うのは危険だ。雨は必ず降り、夜は必ず来るように、株式市場の暴落もまた「いつか」必ずくる。

私たちは多くの大暴落を記憶している。それこそ枚挙に暇がないほどの大暴落が来ているからだ。

1927年には昭和大暴落が来て、1929年には世界恐慌が来て、世界はめちゃくちゃになった。1946年を迎えるまで、株価は死んでいたようなものだった。

人類大虐殺の大戦争だった第二次世界大戦が終わってから、世界経済は順調だったのかというと、まったくそういうわけではない。

1953年にはスターリン・ショックで株式市場は大暴落して多くの投資家が破綻した。1963年にはケネディー大統領が暗殺されて、ケネディ・ショックがやってきた。

ケネディ大統領が暗殺されたあと、「もうアメリカは終わりだ」と誰もが口にして、それを世界中が信じるほどの悲観論が株式市場を覆い尽くした。ドルも暴落して多くの投資家がパニックに陥った。

しかし、ショックが収まるとアメリカは気を取り直し、アメリカの株式市場もゆっくりと持ち直した。

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何の予告もなく突如として壮大な暴落となっていった

その後、ベトナム戦争が泥沼化して1971年にはニクソン・ショックがやってきて株式市場はまたもや大暴落を迎えた。

1970年代のアメリカは、ベトナム戦争の敗退で自暴自棄な空気が蔓延し、不景気にのめり込んで治安も乱れ、まったく先が見えない状態にあった。

ベトナム戦争の敗北は、今の私たちには想像もできないほどアメリカの威信を傷つけていた。やはり、この時期にも「もうアメリカは終わりだ」と言われていた。

しかし、この頃からアメリカではマイクロソフトやアップルが創業されて、新たな成長の歴史を刻んでいくことになる。終わったのではなく「始まった」のである。

1980年代に入って、やっとアメリカは厭世的な気分を脱して、新しい時代に入って行くが、そこに起きたのが1987年のブラック・マンデーだった。1987年10月19日に起きたこの暴落は、類を見ない株式暴落だった。

市場は一瞬にして22.6%の下落となり、投資家を阿鼻叫喚の地獄に陥れ、全世界にこの暴落が駆け抜けた。暴落の理由は何もなかった。不意に、何の予告もなく突如として壮大な暴落となっていったのだ。

誰も何が起きているのか分からないまま、地獄に突き落とされた。

その頃、日本はバブル景気に沸いていたのだが、その3年後の1990年からバブルは崩壊し、1991年の絶望的な長期下落の時代に入っていった。

バブル崩壊で傷ついた日本をさらに追い詰めたのは、1995年の阪神大震災だった。それを乗り越えると、今度は1997年の山一証券破綻と金融不安で、さらに暴落を余儀なくされた。

これで終わりではない。まだ続く。山一証券が破綻し、北海道拓殖銀行も消え去って、日本の沈没が決定的になっていたその頃、世界ではとんでもない危機が起きていた。アジア通貨危機である。

これは1997年7月にタイを発端として起きた大暴落だ。東南アジアの成長を破壊し、国家破綻にすらつながる巨大な金融崩壊劇だった。

この金融ショックが元で、韓国もIMFの救済を受ける羽目になり、インドネシアの長期独裁政権だったスハルト政権は音を立てて崩れ去っていった。

そして、その余波で1998年にはロシアがデフォルト(債務不履行)した。世界中で危機が連鎖していたが、それを乗り切ったのがアメリカだった。

アメリカはインターネットという新しいパラダイム・シフトを受けて投機資金が大量に株式市場になだれ込んでいた。まさに世界に君臨する帝国となって、この世の春を謳歌しているように見えた。

ところが、2000年に入ると株式市場は一気に崩れ去り、IT関連株はことごとく消え去っていった。後にこれはITバブル崩壊と呼ばれるようになった。

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ITバブル崩壊に、リーマンショックが世界を激震させた

ITバブルの翌年にも巨大なショックが起きていた。

2001年9月11日。いつもと同じ朝が始まろうとしているちょうどその時、2機の飛行機がニューヨークのワールド・トレード・センターに突っ込んでビルを崩落させるという前代未聞の大規模テロ事件が発生したのだ。

これが、世界史のひとつの転換になった「アメリカ同時多発テロ事件」だった。ニューヨーク株式市場は1週間閉鎖されていたが、再開と当時に株式は暴落していった。

しかし、当時のFRB総裁であったグリーンスパンは巧みにその危機を収束させて、アメリカを新たな成長気運に乗せた。しかし、それが不動産を核とするバブルの醸成となった。

銀行は、本来は家を持つような収入にない人たちにどんどんカネを貸して家を持たせた。彼らの組んだローンはサブプライム・ローンと言われたが、このローンは債権として売られて世界中の金融セクターが資産として抱えることになった。

2007年、低所得層が借金を返せなくなっていよいよバブル破裂の兆候を見せ始めたが、金融セクターはどんどんサブプライムローンの債権を吸収していた。しかし、2008年に入ると不動産バブルは弾け始め、一気に逆流がやってきた。

人々は次々と破綻して金融セクターは不良債権の山となり、名門投資銀行であったベア・スターンズが3月に破綻、そして9月15日にはリーマン・ブラザーズが倒産して、株式市場は何度も何度も大暴落を繰り返した。

これが、リーマンショックだった。この崩壊劇は株式市場どころか、資本主義そのものを崩壊させかねないほどの超弩級のショックだった。この時もまた「アメリカの時代は終わった」と言われていたのは記憶に新しい。

しかし、そうではなかった。この時期からインターネットはスマートフォンと結びつき、金融市場の混乱をよそに、アメリカの経済はさらに大きく成長していくようになっていた。

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世の中はまさに不意打ちで大暴落が来ていることが見て取れる

リーマンショックから12年目の2020年。中国発コロナウイルスが武漢を襲いかかったのだが、中国はそれを隠蔽したのでコロナ禍は中国全土に広がり、やがてそれが全世界に飛び火して、世界はコロナショックに見舞われた。

全世界の政府はコロナの感染を抑えるために都市封鎖(ロックダウン)を行ったが、これによって多くの店舗がことごとく潰れ、失業者が満ち溢れ、実体経済は恐慌を思わせるほど悪化していった。

それを見た中央銀行は前人未踏の金融緩和を行って経済を支えたが、その資金の多くは株式市場になだれ込んだ。だからこそ今は株式市場が最高値を付けているのだが、実際には実体経済の悪化は広がっているわけで、このツケはいずれは株式市場にも回ってくると考えられる。

株式暴落もバブル崩壊も自然の摂理であり、自然な現象である。季節が巡るように大暴落も巡る。

次の次こそ、アメリカは終わりなのだろうか。

政治は大混乱し、コロナで大きく傷つき、中国が不法な手段で全世界に侵略の手を広げているのだが、それに悲観して「アメリカは終わりだ」「アメリカはもう駄目だ」と見切りを付けるべきなのだろうか。

いよいよアメリカが衰退し、代わりに中国共産党が率いる無法な国家が世界の頂点に立つのだろうか。

もし、中国がアメリカに取って代わると思っているのであれば、どうかしている。私は次の時代が中国になるとはまったく思わない。単純に、中国は現代の資本主義に適応しているとは思えないからだ。

私は日本人なのでアメリカを心から愛しているわけではない。アメリカに心酔しているわけでもない。しかし客観的に考えて、アメリカ企業のイノベーションは凄まじいものがあって、まったくあなどれないものがある。

このイノベーションがアメリカをまた新たな次元に引き上げる原動力になっていくだろう。

もちろん、次の株式市場の暴落も自然の摂理であり、それが必ずやってくるのは否定できない。しかし、それは「アメリカの終わり」ではない。今まで起きた数多くの暴落のひとつとして記録され、そのショックが言えれば再びアメリカは元に戻る。

逆に中国は、今はどれだけ凄まじい勢いがあったとしても、その体質は現代の資本主義に完全に適応しているとは言えず、全世界から不信を抱かれている国であり、趨勢が長持ちするとはとても思えない。

私はまだアメリカの没落に賭ける気はまったくない。

『金融の世界史: バブルと戦争と株式市場(板谷 敏彦)』

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