「実は人生を何度も生き直す方法は、あるのかもしれない……」と私が思った日

「実は人生を何度も生き直す方法は、あるのかもしれない……」と私が思った日

人間が死んでも何度も生き返って人生をやり直せるならば、最初の選択肢よりも次の選択肢の方が正しい方を選べる。答え合わせができているからだ。とは言えども、人の人生は一度きりだ。死ねばそれまでだ。しかし、私は「人生を何度も生き直す方法は、あるのかもしれない」と思った。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019、2020年2連覇で『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

人生の節目での選択肢を間違い続けているのではないか

日本最大のドヤ街は、大阪の西成区にある。西成区には様々な理由で、日本中から人生のどん底《ボトム》に転がり落ちてしまった人が集まる「吹き溜まり」のような場所で、多くの人が生活保護を申請して簡易ドヤで暮らしている。

中には生活保護すらも受けられない人もいる。犯罪を犯して逃亡生活をしている人や、生活保護を受けるための要件すらも守らない人だ。

ケースワーカーが行く日にいなかったり、ハローワークで仕事を探す努力をしなかったりする人は、生活保護を打ちきられてしまう。そうした人たちが路上生活をしているのも西成区では見ることができる。

彼らを見つめながら私が思うのは、「やり直しが効かない人生で、彼らはその時その時の人生の節目での選択肢を間違い続けているのではないか」ということだ。

人生は常に決断を強いられる局面があり、人はその時々で自分にとって最善であると思える決断をしている。その決断は、その瞬間は最善であると思ったとしても、実は後で考えると本当に最善ではなかったということもあり得る。

決断というのは、常にすべての情報を手に入れて行えるわけではない。人生は往々にして、ほとんど状況判断ができないまま決断を下さなければならない局面に追い込まれる。

誰でも人生は一度きりなので、「この選択肢を選べば成功する。こちらの選択肢を選べば失敗する」というのは分からないことが多い。

(もし、人間が死んでも何度も生き返って人生をやり直せるならば、一度目の選択肢よりも二度目の選択肢、二度目より三度目の選択肢の方が正しい方を選べるはずだ……)

私は彼らを見ながら、そのように考えてもみた。通常、人生を何度も「生き直す」というのは難しい。しかし、西成のホームレスを見つめながら、私はふと思ったのだった。

「人生を何度も生き直す方法は、あるのかもしれない……」

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ありとあらゆる決断はこの「思考のクセ」を通して為される

私たちが何かを決断する時、常に「思考のクセ」にとらわれる。その人固有の「思考のクセ」があってそれは親兄弟でも同一ではない。通常、この「思考のクセ」は、無意識に構築されたものであり、本人は意識できないものである。

誰でも下す決断には一定のパターンがある。ありとあらゆる決断はこの「思考のクセ」を通して為される。ここにひとつの危険が潜んでいる。

仮に、それが間違った選択肢を選ぶ思考がクセになっていたとしても、本人はなかなか気づかないのである。

「思考のクセ」が健全で正常で、基本的に本人に利益をもたらす方向性に視点が定まっているのであれば問題ない。その「思考のクセ」によって、本人は自分の人生を無意識の決断によって利益を得ることができる。

「思考のクセ」で様々なリターンを人生から得て、経済的にも精神的にも大きな幸せを引き出すことができる。

破滅的な決断を回避し、常に全体を俯瞰して有利な決断を下せるのだから、仮に予期せぬ出来事や不測の事態があったとしても、それを埋め合わせする決断を次々に繰り出して、うまく切り抜けて挽回できることが多い。

ごく稀に正しい選択肢をきちんと選べる人がいる。不確実性の高い世の中で選択を間違っても、軌道修正ができて再び正しい選択肢に戻れる。そうやってうまく生きていける人もいる。

しかし、この「思考のクセ」が不健全で、歪んでいて、本人に不利益しかもたらさないものであればどうなるのか。そうであれば、決断するたびに失敗やトラブルが自分に返ってくるわけであり、自分の人生を破壊する方向に転がり落ちていく。

まさに日本最大のドヤ街である西成にはそうした人たちが集まっている。

誤った決断を行う「思考のクセ」があると、ほんの小さな決断が大きなトラブルを呼び寄せることになり、そのトラブルに対しての対応もまた破滅的な決断によって状況を悪化させてしまう。

こうした「思考のクセ」を放置していると、遅かれ早かれ破滅する。

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思考のクセが意識できていない以上は矯正すらできない

常に窮地を切り抜けて大きな対価を得る人がいる。その一方で、常に人生に追い込まれて人生を破壊してしまう人もいる。それは、無意識下にある「思考のクセ」が関係していることは十分に考えられる。

そうであれば、常に追い込まれてしまう人は「思考のクセを矯正すればいい」ということになるのだが、それが簡単にいかない。

意識できているものであれば矯正できるのだが、意識できていない以上は矯正すらできないからだ。「思考のクセ」に問題があると気づけない以上、なぜ自分が追い込まれるのか、その要因も分からないのは当然だ。

この「思考のクセ」の矯正は考えているほど簡単なことではない。クセというのは、意識して治そうと思わないと直せないのだが、その前に「自分にはこのようなクセがある」ということに気づくこともないので、そこからして軌道修正が困難なのだ。

何度も何度も生まれ変われて「この選択はまずかった」というのが学習できているのであれば、生き返るごとに賢明になるのだが、人生は一度きりだ。

無意識に構築された「思考のクセ」を、自分で健全で正常で自分に利益をもたらすものに軌道修正する「うまい方法」はないのか? ひとつあると私は思う。それも、無意識に軌道修正する方法である。

最も良い方法は、「読書をする」ということだ。

本を読むというのがなぜ人間にとって重要なのかというと、それによって自分にはない価値感を体系的に知ることができることや、自分にはない考え方を知ることができるからだ。

そして、先人の人生や哲学を読書によって追体験することによって、自分自身の生き方を変えたり、正しい方向に定めたりすることができる。つまり、ここで「思考のクセ」が矯正されるのである。

さらに、読書は強力な人生の指針となる。

読書の本質は、目的を手に入れるための「近道」である。本を読むことによって、その世界の奥義を試行錯誤することなく手に入れることができる。

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その決断の集大成として人生がどのような結果になるのかを知る

経営者になりたい人は、名経営者だった人の伝記を読むことが多い。なぜ、経営者になりたい人は過去の著名経営者の全集を買い集めて読むのか。それは、成功への「近道」が、そこに詰まっているからだ。

成功を手に入れるための知恵と「近道」が示されている。

人々が聖書のような宗教書を繰り返し読むのは、そこに癒やしや正しい生き方をするための「近道」が詰まっていると人々が信じているからだ。

人々が小説を読むのは、他人の人生が小説のなかで表現されていて、その人生で何が得られて何を失うかという人生の帰結が詰まっているからだ。

読むことで、自分が知らない世界に触れることができる。そして、その世界にいればどのような人生になり、決断することによって何が起き、その決断の集大成として人生がどのような結果になるのかを知ることができる。

まさに人生の「近道」がそこに凝縮されている。

じっくり読むことによって、他人の人生の中から合理的に生きる方法を知る。合理的な生き方があることを繰り返し触れることによって「思考のクセ」が軌道修正されて良い側に変わっていく。

読書をするというのは、「何度も生き直す」ということなのである。読書で他人の人生を追体験することによって無益な試行錯誤を繰り返さなくてすむ。そして、長いようで短い人生で大きく間違わないで生きることができる。

だから、「読む」というのは、私たちが思っている以上に大きな利益を人生にもたらすことになる。もちろん、書籍をじっくり読んだからと言って、それだけで成功した生き方ができるわけではない。

しかし、何が成功して何が失敗するのかという合理性や、何が正しくて何が間違っているのかという判断が無意識下で働くようになる。その判断のひとつひとつが「思考のクセ」となって身についていく。

決断するたびに失敗やトラブルが自分に返ってくる傾向がある人は、まず最初に「大量の書籍を読み込む」ところから始めると「思考のクセ」を無意識に改善することができるようになり、軌道修正が可能になる。

100冊や200冊では駄目だ。1000冊や2000冊を読まなければならない。そうすることによって「思考のクセ」が磨かれていく。

書籍
『ボトム・オブ・ジャパン 日本のどん底(鈴木 傾城)』

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