コロナ禍で出生数は急減して80万人割れ。老人だけが増えながら総人口が減る

コロナ禍で出生数は急減して80万人割れ。老人だけが増えながら総人口が減る

日本そのものが、少子高齢化で存続の危機に陥っている。少子高齢化の放置は、亡国への道だ。しかし、この少子高齢化ほど日本で軽視されている問題はない。致命的な事態が進んでいるというのに、マスコミも政治家もあえて問題を無視することで日本を自壊させようとしているかのようだ。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

消費税を上げ、特別給付を減らし、子育て世代を追い込む

日本は今後も税金が増える一方になっていく。日本の地方は崩壊寸前になっていく。日本の不動産価格は首都圏をのぞいて価値を失っていく。首都圏の不動産価格も価値を失う箇所が増えていく。高級住宅地の価格も下がっていく。

日本は内需は少しずつ減退する。必然的に企業は売上を落としていく。イノベーションを失っていく。競争力を失っていく。国際的影響力も失っていく。労働者の賃金は低下していく……。

日本は、これらすべての問題が同時並行で起きている。

いったい何が問題なのか。突き詰めて考えれば、これらの問題は「あるひとつの問題」から発生している。そしてこの「問題」を放置し続けると、日本は外部的要因が何もなくても自滅する。今の日本の構造的な社会問題の根幹となっているのは何か。

それは「少子高齢化」である。

日本人は10年連続で人口が減少している。2010年は1億2803万人だった人口は2020年には1億2616万人となり、10年間で187万人も減っている。2017年から人口減少の増減数が増えており、2019年は1年間で27万6000人の人口が消えた。

ただ落ち込むだけではない。若者が激減し、高齢者ばかりになりながら人口が減る。2019年の出生数は過去最少の86万5239人だったのだが、2020年はコロナの感染拡大もあって出生数はさらに減り、80万人を割るのは確実である。

コロナという異常事態なので一時的な落ち込みは仕方がない面もあるのだが、コロナ禍が長引けば少子高齢化の深刻さはより加速する。

こうした中で、日本政府は安心して子供を産み育てる環境を整備する必要があるのだが、日本政府や財務省は「高額所得世帯は、子供1人当たり月額5000円の特別給付を廃止する」とか言い出している。

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老人だけが増えながら、総人口がどんどん減る。

特別給付を廃止するのは待機児童を解消するためというのだが、高額所得世帯であっても子育ては何かと金がかかる。それなのに、消費税を上げ、特別給付を減らし、子育て世代を追い込んで日本政府は何をしたいのか分からない。

意図的に少子化を加速させたいのか、日本の人口を減らしたいのか、と思われても仕方がない。

人口がどんどん減っていくというのは、単に日本人が減っていくというだけの問題ではない。ビジネスにも、国家運営にも、防衛にも、国際影響力にも、すべてに関わってくる。

人口が減るというのは、すべての問題が「悪化する」ということを意味している。これは日本を蝕(むしば)む構造的な問題になっていくのである。

人口が減っていくと地方から仕事も人も消えるので、行政が維持できなくなる。国土交通省の資料から読み解くと、2020年までは都市圏の人口に65歳以上の高齢者がゆっくりと確実に増えていく。

しかし、65歳以下は少しずつ人口が減り大都会が高齢者だらけになる。首都圏の人口がピークなのは2020年頃までで、それ以降はどうなるのかというと、

1. 老人だけが増えながら、
2. 総人口がどんどん減る。

という動きになっていくのである。2030年から数百万単位で首都圏から人口が減りながら、しかも老人だけがどんどん増えていく。2030年と言えば「遠い未来」ではない。10年なんてあっという間にくる。

これが日本の未来だというのである。

東京首都圏は「まだ」10年ほどは何とかなるが、名古屋圏、大阪圏、地方圏は、すでに人口減と高齢化が始まっている。

分かりやすく言うと、政府による何らかの施策がなければ、今後は首都圏以外の地域では、今よりも人口が増えることは決してないということだ。では政府は何かしているのか。何もしていない。だから、もう少子高齢化は「日本社会を崩壊させる最大の要因」と化しているのである。

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日本の6割の箇所で人口が半分にまで減っていく

深刻なのは地方だ。今後10年で確実に、数百万のレベルで65歳以下の人口が減る。人口が減りながら増えるのは、高齢者ばかりである。

いつかそうなるのではない。今まさに目の前で「地方の崩壊」が始まっている。これは、実際に東京圏内以外に住んでいる人間なら、共通して体感している現実である。

今後は30年40年かけて、地方は財政・行政ともに維持できなくなって破綻していく。つまり、地方から日本が壊れていく。これは予想ではない。すでに起きている現実であり、地方に暮らす人なら誰もが知っていることである。

今も、地方の至るところで限界集落が生まれ、廃村が出現し、共同体の崩壊が広がっているのだ。まだギリギリ踏みとどまっている地方もある。しかし今後は、どうしようもならなくなって行政から放棄される地区も莫大に出現することになる。

総務省の国勢調査報告を元にして国土交通省が算出したデータによると、2050年までに「人口が半分以下になる地点が現在の居住地域の6割以上」になるとしている。

人口が増えるのは、わずかに日本の国土の2%のみ。それは都心部だけである。あとはどんどん日本人が消えていく。地方になればなるほど人口が激減していき、2050年になると日本の6割の箇所で人口が半分にまで減っていく。

福島県、宮城県、岩手県は、人口が現在の半分以下になることは避けられない。さらに中国地方(鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県)も、このまま何も為されないと人口は確実に半減する。

実際、自分の足で西日本を巡っていると、この国土交通省の出しているデータを裏付ける光景が次から次へと現れることに気付くはずだ。

捨てられて朽ちていこうとする家、昼間なのに誰も歩いていない村、まったく見えない子供の姿、廃校の跡……。そして、本来は子供が遊ぶべき公園には高齢者が集まって玉遊びをしているのが見える。高齢者しかいないのである。

「もう手遅れなのかもしれない……」

そう思うと、ぞっとする。都会だけが日本ではない。地方も日本だ。その地方が人口減で死んでいこうとしている。

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日本に定着している「外国人」とは誰なのか?

地方が無人になり、廃棄されていくというのは、人間で言えば手足の指先から壊死していくようなものである。

首都圏は人間で言えば頭脳になるのかもしれない。頭脳だけ残れば良いというものではない。身体がどんどん壊死して動かなくなるのであれば、やがて身動きが取れなくなって頭脳も死ぬ。

さらに問題なのは、今の日本はその頭脳も老いていくばかりで萎縮していることだ。2019年の段階で、日本の高齢化率は28.4%である。日本の高齢者人口の割合は世界でも最も高い。

日本で不動産ビジネスはもう終わりだとか、日本の内需拡大はもうできないとか、そのような表面的なことを言っている場合ではない。日本そのものが、少子高齢化で存続の危機に陥っているのである。

少子高齢化の放置は、亡国への道につながっている。

しかし、この少子高齢化ほど日本で軽視されている問題はない。致命的な事態が進んでいるというのに、マスコミも政治家もあえて問題を無視することで日本を自壊させようとしているかのようだ。

この問題が放置されれば、最後に日本はどうなるのだろうか。日本がどうなるのかは、総務省統計局が2017年4月14日に公表した統計に小さく、こっそりと書いている。

『日本人・外国人の別にみると、日本人は2000人の減少で、6年連続の社会減少となっています。外国人は4年連続の社会増加となり、増加幅は拡大しています』

ところで、日本に定着している「外国人」とはいったい誰なのか。法務省が2017年3月17日に出している「平成28年末現在における在留外国人数について(確定値)」を見ると、その答えが書かれている。

在留カード及び特別永住者証明書を取得している外国人は「中国人29.2%、韓国人19.0%」であり、この2国だけでほぼ半数を占めている。

日本人が減って反日国家の外国人が増えている。日本の裏側でこのような事態が進行している。日本の国家存続の危機が起きているのに、日本人はあまりにも少子高齢化に危機感がなさすぎる。

日本を愛する人たちが真に取り組まなければならない最大の問題が「少子高齢化」であるというのは、もう疑いもない事実である。なぜ、誰もこの問題を深刻にとらえないのか、私は不思議で仕方がない。

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