イギリスのテロは、移民を都合良く利用しようと考えたツケ

イギリスのテロは、移民を都合良く利用しようと考えたツケ

2017年3月22日。ロンドンの国会議事堂付近で、車を運転していた男がウェストミンスター橋の歩道に突っ込み、40人近くの人を次々と吹き飛ばし、さらにナイフで警官を切りつけて射殺されるという事件が起きた。

今のところ、ロンドン警察は犯人の国籍や人種を明らかにしていない。

しかし、テロ対策の責任者は「犯人はISIS(イスラム国)に影響されたテロリストの可能性が高い」と述べ、イギリスのメイ首相もこれがテロであることを認め、国民に向けてこのように言った。

「テロリストは、あらゆる国籍、宗教、文化を持つ人たちが、自由と民主主義、言論の自由という価値を称賛すべく集まっているわれわれの首都中心部で攻撃することを選んだ」

ここ最近のISISのテロは、もう爆弾をも使わない。

2016年7月14日にフランス・ニースで起きたテロでは25トンの大型貨物トラックで人を轢きつぶすというテロが起きて100人以上もの人たちが死傷している。(フランスの暴走殺戮テロ。この国はもうテロを防止できない

テロリストたちは、爆弾を使わなくても車を「走る凶器」にして歩道を暴走すれば、数十人を一瞬に死傷させることができることに気が付いたのである。

今回使われた車は韓国の「ヒュンダイi40」だった

こうした車を使った暴走テロは、2016年12月のベルリンでも起きていて、この時はトラックがクリスマスの買い物客の中に突っ込んで12人が死亡するという惨事になっていた。

今回使われた車は韓国の「ヒュンダイi40」であったと言われているが、こんな安っぽい車でも暴走すればたちまち40数人を死傷できる威力がある。

イスラム過激派による卑劣極まりないテロは、移民・難民が大量に流れ込んで追い返すことができなくなったEU(欧州連合)の悪夢となっている。

フランスでもドイツでもベルギーでも、次々とイスラム過激派によるテロが引き起こされているが、問題は「これが最後」にならないことだ。

ISISによるテロはいつでもどこでも起きる。場合によっては、これまで以上の頻度で起きる。

なぜなら、中東で敗退していくISISの戦士が前線を離れて散り散りになりつつあり、その一部がEU国内に潜り込んでいくからである。これは、テロの現場が中東からEUに移ることを意味している。

ISISの処刑人のひとりだった「ジハーティー・ジョン」はイギリス出身であった。イギリスからも数百人の単位で若いイスラム系移民たちがISISに共鳴して中東に渡ったと言われている。今度は彼らがイギリスに戻ってくる。

このような状況を見ても分かる通り、EUから離脱したとしてもイスラム系の過激テロはイギリスも決して他人事ではない。

イギリスのロンドンは市長のサディク・カーン自身がパキスタンからきたイスラム系の人間であり、ロンドンは大量の移民にまみれた都市である。

今回のテロが、間違いなくISISの影響を受けた人間のテロであったと発表されたら、イスラム系の移民・難民を見る目はより厳しくなっていくことになるはずだ。

多文化共生をいきなり強制しても、うまくいかない

それが反EU勢力の台頭につながっている。

グローバル・メディアはこうした反EU勢力を「極右」「極度な民族主義者」と大批判を展開して、彼らが政権の座につかないように必死にネガティブ・キャンペーンを行っている。

しかし、移民・難民を大量に国内に流入させるというのは失敗した政策であると考える国民がEU内で増えており、必ずしもグローバル・メディアの思惑通りに動いていない。

2016年にはイギリスがEU離脱をして反移民派のドナルド・トランプが大統領に選ばれるなど、グローバル・メディアにとってはどんどん波乱の展開になっているのである。

異なる価値感、異なる文化、異なる言語、異なる宗教、異なる食文化、異なる人種が、国内に入り込んだことによって、EU各国の人々は国境が何のためにあったのかをやっと再確認するようになっている。

いろんな意味で異なる民族とは、一定の距離を置いてゆっくりと歩み寄り、互いに長い時間をかけて理解すべきものだった。

いきなり百万人単位で連れてきて「多文化共生だ」と言っても、うまくいくはずがなかったのだ。すれ違い、軋轢、対立、衝突が生まれるだけであり、それは決して共生にならない。共生どころか衝突になる。

そもそも、何百年、何千年にも渡ってヨーロッパはロマ(ジプシー)やユダヤ人とうまくいかなかったわけであり、「多文化共生は絵空事」であるのはよく分かっていたはずだった。

それなのにEUがイスラム移民・難民を大量流入させたのは、なぜなのか。

グローバル・メディアが極端な理想主義に走っていたとか、多国籍企業が安く働く労働力を手に入れたかったとか、自国民もまた「キツイ、汚い、危険」な仕事をしたくなくて移民に押し付けるつもりだったとか、いろんな「自己都合」がそこにあったからだ。

「都合良く利用すればいい」という発想は自滅の元

EU内の多国籍企業は人件費を安く上げるために移民・難民をこき使うことを思いついた。だから、移民・難民は最初から大賛成であり、今もまだそれを望んでいる。

また国民も、土木作業や掃除や皿洗いのような「キツイ、汚い、危険」な仕事は移民にやらせればいいという発想があって、移民・難民を黙認していた。

つまり、当初は「移民・難民を入れて、都合良く利用すればいい」という発想があり、彼らを自分たちの都合に合わせて利用していたとも言える。

しかし「安くこき使いたい」「汚れ仕事をさせたい」という本音を言うと批判される。そこで彼らは、それを「差別のない社会の実現のため」だとか「多文化共生」と言葉を飾って本音を覆い隠したのである。

ところが気が付くと、移民・難民たちは国内に根を張って数を増やし、発言力を増し、影響力を拡大させていた。そして、自分たちの文化や価値感を脅かすようになっている。

この時点で追い出そうと思っても、すでに遅い。移民・難民たちは膨大な数になっており、彼らの子供たちも育っている。数を背景にした政治力も無視できない。

この時点で「多文化共生」が失敗だったと気付いても、絶対に追い返すことはできない。その結果、国内に異文化との対立を内包しながらも、もはやどうすることもできなくなっているのが今のEUの姿なのである。

「多文化共生」みたいな上辺の言葉で「移民・難民を都合良く利用しよう」と考えたツケが、国内対立やテロとして噴出している。

しかし、EUやイギリスはツケを払い切っていない。

これからも卑劣なテロに何度も見舞われ、多くの犠牲を出し、国がボロボロになるまで痛めつけられることになる。「多文化共生」みたいな馬鹿げた理想で国が滅んだとしても不思議ではない。



「多文化共生」みたいな上辺の言葉で「移民・難民を都合良く利用しよう」と考えたツケが、国内対立やテロとして噴出しているのが今のEUであると考えても過言ではない。

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