中国は世界をリードする国ではなく、中国自身が世界の問題児なのだ

中国は世界をリードする国ではなく、中国自身が世界の問題児なのだ

つい数年前まで、中国はこれからもどんどん成長を続け、世界経済を牽引すると信じられていた。しかし、アメリカと貿易戦争で対立するようになり、「新冷戦」に入った今、中国の減速は隠せなくなっている。

2018年10月、中国国家統計局は第三四半期のGDP伸び率は前年同期比6.5%であると報告している。内需がどんどん減退しているのが響いている。

それでも6.5%なのだから大したものだと考える人もいるのだが、中国の数字はいつも水増し統計だ。各種統計のあちこちに矛盾があって何も信用できない。実際はもっと低いのは誰でも知っている。

アメリカの政府は、自国の多国籍企業や投資ファンドに中国との関わりを避けるように働きかけている。「新冷戦」の構図が明確になっていけばいくほど、まるで沈みゆく船から脱出するように中国から消えていく。

中国は国内の過剰在庫を消費するために「一帯一路」を提唱して、周辺国にどんどん中国の過剰在庫を押し付けていたのだが、これも中国による体のいい在庫処理と経済植民地目的であることが知られるようになると、すべての国から警戒されるようになっていった。

中国は世界をリードするどころか、中国が世界の問題児である。正体が割れた以上、中国の経済状況はさらに悪化していくことになる。中国共産党政府が対応をひとつでも間違えると中国経済はクラッシュする。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

中国も、いよいよ瀬戸際まで来ている

習近平は「中国の夢」というスローガンを今も人民に売り込んでいる。しかし、中国経済は高度成長時代をとうに過ぎ去った。そのスローガンは色褪せており、誰もが先行きに不安を持つようになっている。

中国の人民たちは中国共産党には冷ややかで、「中国の夢」を謳った習近平のポスターには墨がぶっかけられる始末だ。

中国共産党に冷ややかと言えば、中国と関わるすべての周辺国もそうだ。中国は領土拡張政策を取って、周辺国とも次々と問題を起こし続け、ウイグルでの言語道断の人権侵害も国連に批判されるようにもなっている。

中国は孤立しているのである。

中国共産党独裁政権は、経済成長が鈍化していくにつれて高まっていく国民の不満を抑えることが不可能になる。近い将来、コントロールできないほどの激しいデモや暴動に手を焼くようになる。

経済成長している間は数々の社会問題を置き去りにして突き進むことが可能だが、いったん成長が止まると、今まで置き去りにした問題が次々と表面化して致命傷になるのだ。いよいよ中国もそのような時期に入っている。

今まで中国共産党に対する不信は、これまでも繰り返し繰り返し語られてきた。その不信は、年を追うごとに切迫したものになってきている。もう数年も前からその流れは見えていた。

しかし、これまでは世界は中国共産党の横暴に目をつぶっていたのだ。中国が発展したら、いずれ民主主義の国になるのではないかと世界は期待していた。ところが、世界は裏切られた。

現実に起きたのは逆だった。

中国は民主主義の国になるどころか、どんどん一党独裁を強めていき、あらゆる不正行為で先進国の私的財産権を侵害し、技術を盗み、世界に君臨しようとするようになっていったのである。

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中国は明らかにアメリカと敵対関係に入った

「中国の変調は一時的なもので、まだまだ成長が続いていく」という楽観論もいまだにあるにはある。しかし、世界は明確に中国を敵視するようになった今、中国だけがこれまでのように成長するはずがない。

アメリカは、もうとっくの前に中国を見限っている。

そのきっかけになったのはAIIB(アジアインフラ投資銀行)の設立からだった。AIIBで中国はアメリカのドル基軸通貨体制に挑戦しようとしたのだ。これによって中国は完全にアメリカを敵に回した。

アメリカはドル基軸通貨体制に対抗する勢力は全力で潰しにいく。なぜなら、このドル基軸通貨体制こそがアメリカの覇権の心臓部だからである。ドル基軸通貨体制が終われば、アメリカは滅びる。

アメリカは、ここを譲るわけにはいかないのだ。

中国はAIIBによってそのドル基軸通貨体制に対抗しようとしているのだから、アメリカは黙っていない。アメリカと中国の蜜月時代はこの時点で終わった。

オバマ前大統領が中国と「G2」を持ちかけていた時代からすると、トランプ現大統領の中国に対する態度は180度違っているが、もうそのような時代になったのである。アメリカは急速に中国に対する国家戦略を変更し、これからは中国を明確な敵として見ている。

もっとも、これはアメリカと中国が明日から戦争するという意味ではない。また、中国がこれによって明日から崩壊するという意味でもない。

中国のみならず、どこの国でも自国が崩壊したら困る当事者がたくさんいるから、経済崩壊が近くても、もがいてもがいて悪あがきを続けながら問題を先送りしていく。

「崩壊しそうで崩壊しない」という綱渡りのような状態が何年も続く。崩壊寸前だが、かろうじてギリギリのところで踏みとどまるような状況が何年も続く。しかし、物事には限界がある。

中国は知財を侵害しながら成長している国だが、そこを締められるともう成長は完全に不可能になる。そうなると、現在の爆買いをしている中国人の中流階級も落ちぶれる。その怒りは間違いなく習近平政権を揺るがすことになる。

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日米が共に中国を敵として認識するようになった

中国の人民の怒りが習近平政権に向かったらどうなるのか。もちろん、その怒りは日本にそらされる。人民の不満が鬱積すればするほど、反日は燃え上がる。

現在、アメリカに締め上げられている中国は、戦略を変更して日本に媚びを売るようになっている。中国が日本に媚びを売り始めると、日中関係は良くなると単純に思う人も出てくるかもしれない。

そうではない。

中国は1990年代から政治的な「反日」が教育の中にも取り入れられるようになって、国民の日本憎悪を育んできた。

いくら戦略的に日中関係を良くしていても、それが効果を発揮せず、中国共産党に人民の批判の矛先が向いたら、いつでも日本に怒りをそらすための戦略に転換する。日本は常にスケープゴートなのである。

2012年に中国国内で反日暴動が起きたが、同じようなことはいつでも起こり得る。

日本のマスコミは中国・韓国・北朝鮮の工作員に乗っ取られているので新聞を読んでも中国の危険性は書いていない。テレビも言わない。マスコミは、何かあるごとに日本は中国に配慮せよとわめく。

しかし、もう日本人の多くはマスコミを鵜呑みにしていない。「中国は敵国化した」と正しく理解するようになっているのだ。

アメリカが中国と公然と敵対するようになっている現在、日本政府はアメリカと共同姿勢を打ち出して強い結びつきを持った同盟関係を構築しているが、日本国内はスパイ防止法もないので、相変わらず反日の工作員のなすがまま世論操作されている。

しかし、もう社会情勢を正確に読み取れる日本人も増えており、いくらマスコミが中国を持ち上げても日本人は騙されなくなった。

急速に時代が変わりつつある。日本人も目を覚まさなければならない。中国は危険な国であり信用できない国なのだ。中国は世界をリードする国ではなく、中国自身が世界の問題児なのだ。

投資することも、関わることもしないのが、最終的には正しい選択になる。(written by 鈴木傾城)

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つい数年前まで、中国はこれからもどんどん成長を続け、世界経済を牽引すると信じられていた。しかし、アメリカと貿易戦争で対立するようになり、「新冷戦」に入った今、中国の減速は隠せなくなっている。

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