日本人は本気で今の日本政府に怒りを表明しないと、もう未来がないのではないか?

日本人は本気で今の日本政府に怒りを表明しないと、もう未来がないのではないか?

日本政府も企業もすでに国民や従業員を助ける余裕や気持ちなどまったくないのだから、日本人は刻一刻と貧困化していく。まさに「一億総貧困化時代」に突入しているのである。そろそろ日本人は、本気で今の日本政府に怒りを表明しないと、もう未来がないのではないか。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019、2020年2連覇で『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

個人個人によってまったく賃金が違ってしまう時代

もう終身雇用は崩壊してしまった。年功序列も消えつつある。そして、これからはジョブ型雇用も広がっていくので、個人個人によってまったく賃金が違ってしまう時代もやってくる。

富士通の9割「ジョブ型雇用」転換がもたらす大格差社会。特技を持たない平凡な社員が低賃金に落ちていく=鈴木傾城

もはや昭和と令和ではまったく時代が違っている。生きている世界は完全にひっくり返ってしまったのだ。

現在は技術革新(イノベーション)の激化によって、これまで成り立っていたビジネスモデルがすぐに陳腐化してしまうことも珍しくない。そうすると企業は、古いビジネスモデルを捨てて新しいビジネスモデルに「急いで」変わらなければならない。

急いで変わらないとサバイバルできないのだからシビアだ。

どうすれば急いで生まれ変われるのか。企業は、古いビジネスモデルを支えてくれた従業員を「切り捨て」て、新しいビジネスモデルを推し進めてくれる人に「入れ替える」ことでそれに対応する。

利益を生み出さなくなった事業やプロジェクトは人材ごと切り捨てる。そして、最初からスキルを持った人材を入れる。それが今のビジネスのやり方なのだ。そして、スキルのある人間は必ずしも日本人であるとも限らない。

そうやって企業は生まれ変わるのだが、そうであるとしたら、そこから落ちこぼれた人間はもはや最初から雇われることもなくなるし、もし雇われたとしても低賃金・悪条件の仕事しかないということになる。

高度なスキルを持った人材や、エリートは生き残れるのかもしれないが、そうでない人たちにとって、この激甚化した雇用環境の中で生き残るのは非常に苦しい戦いになるというのは誰もが理解できるはずだ。

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日本政府は「日本経済を成長させる」仕事をしていない?

さらに今後は、国家も役に立たない時代へとなっていくのは確実だ。いくら真面目に税金を納めていても、それで自分の老後を国が手取り足取り面倒を見てくれると思ってはならない。それは危険で楽観的すぎる。

確かに、日本は他の国に比べて温情のある社会を築いていた。しかし、平成に入ってから日本政府は緊縮財政で日本社会をひたすら経済を縮小させて日本経済と日本国民に大きなダメージを与え続けた。

そして、いまや政府は税金を引き上げ、新しい税金を課し、それまであった控除を廃止し、社会保険料も引き上げ、年金は削減し、医療費自己負担を増大させ、年金受給年齢も引き上げるような施策を取っている。

経済縮小(デフレ)は、当然のことながら貧困層を壮大させたのだが、コロナ禍の非正規雇用者切り捨てなどによって、すでに年収186万円以下の貧困層は約1200万人も存在する。

消費税の引き上げは増え続ける貧困層の生活に大きなダメージを与えて景気を悪化させるのは確実なのだが、それでも政府は消費税を引き下げるとかゼロにするということはしない。

岸田首相は何でも「検討する」首相なのだが、消費税に関してはきっぱりと「触ることはない」と言い切っている。

経済縮小(デフレ)が続く中で日本政府はひたすら税金や社会保険料を引き上げてきたので、これらの負担の割合を示す「国民負担率」は令和3年度は48%となっているのである。

収入の半分近くは税金や社会保険料で持っていかれているということだ。

日本政府は「日本経済を成長させる」という重要な仕事をしていない。していると言うのであれば、完全に失敗している。ただ私たちからひたすら税金を取って取って取りまくることしかしていない。

まさに日本政府は搾取マシーンとなった。国民ATM化である。

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能力開発や再就職支援で本当に所得が倍増するのか?

最初に説明したように、終身雇用も消え、年功序列も消え、非正規雇用が増え、ジョブ型雇用に転換し、企業の雇用環境が完全に変わっている。

ごく普通の人は、ビジネスモデルが変わったら切り捨てられ、不景気が来たら切り捨てられ、安い人材が他に見つかったら切り捨てられ、技術革新が生まれたら切り捨てられるので、もはや自力では這い上がれない社会となっている。

岸田首相はそんな中で「所得倍増プラン」と言っている。普通、首相が「所得倍増プランを実施する」と言えば、国民全体が所得倍増するイメージがあるのだが、蓋を開けてみたらまったく違う対策が発表された。

岸田首相が言う「所得倍増プラン」とは何か。

それは、具体的に言うと『非正規雇用を含む約100万人を対象に能力開発や再就職支援を行う』というものだった。アンダークラスは約1200万人もいるのに約100万人を対象というのであれば、10分の1も救わないということになる。

いや、能力開発や再就職支援の対象になった人間も、本当にこれで所得が「倍増するのか?」という疑問もある。

能力開発をして残念ながら能力が向上しない人は見捨てるということなのか。再就職支援をしても運悪く適材適所の仕事が見つからなかった人間はどうするのか。その前に、そもそも所得倍増プランというのは「特定の対象の人間だけ」を対象にしたものだったのか?

どう考えても、「能力開発や再就職支援を行う」ことで国民が「所得倍増」するとは思えない。岸田首相は、ただ「所得倍増プラン」と言ってみたかっただけのような気がしなくもない。綿密に練られたプランなどなかった。

「ただ言ってみただけ」なのである。

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今の国会議員は全員「役立たず」であるということ

こうした状況を見ると、「企業や日本政府が何とかしてくれる」という発想で生きるのは大きなリスクになっているのが分かるはずだ。もう、そんな時代ではなくなってしまっている。

「何とかしてくれる」どころか、すがりついても捨てられる危険性の方が高まっている。日本社会がそのような構造になったのだ。

今、ロシアの戦争や中国の経済悪化やアメリカのインフレに伴う利上げなどで、グローバル経済の悪化が鮮明になりつつある。しかし、日本社会で起きている問題は、世界的な景気の良し悪しとはまったく関係のなく、日本社会固有の問題でもある。

好景気が来たら再び「良い生活が戻る」とは思わない方がいい。

いくら景気が良くなっても、企業が昔のような雇用形態に戻ることは絶対にないし、日本政府が税金の取り立てをやめるわけでもない。また、今の国会議員や官僚が日本を経済成長させるような能力があるようにも見えない。

そのため、日本国民は全員「自力でサバイバルする方法」を模索しなければならない時代に入っているのだ。日本政府も企業もすでに国民や従業員を助ける余裕や気持ちなどまったくないのだから、日本人は刻一刻と貧困化していく。

まさに「一億総貧困化時代」に突入しているのである。

そろそろ日本人は、本気で今の日本政府に怒りを表明しないと、もう未来がないのではないか。

収入の半分を税金で取られても、世の中が良くなるどころか悪くなるばかりだというのであれば、今の日本政府の方策は間違っているということだし、今の国会議員は全員「役立たず」であるということでもある。

考えて見れば、30年近くも経済成長させられないような国会議員や官僚は、有害ですらある。

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