フェイスブックは大統領選挙でフェイクニュースを垂れ流していたとして激しく糾弾された。
さらにはユーザー情報が特定企業に渡っていたことでもユーザーを怒らせ、創始者マーク・ザッカーバーグは米上院公聴会で締め上げられるという事態になっていった。
フェイスブックは約22億人のユーザーを抱えている。この莫大な人口にフェイクニュースを垂れ流したら、その影響力は日本のマスコミどころではないインパクトがある。
だから、米上院公聴会は大きな憂慮を持ってフェイスブックに対峙していたのである。
こうした中で、フェイスブックはユーザーを増やし続けるという方針を見直さざるを得なくなった。
その結果、2018年5月15日に「1月から3月に渡って累計5億8300万件の偽アカウントを閉鎖」「ヘイトスピーチを含む投稿については250万件を削除」「暴力的な画像は350万件削除」「ヌード・性行為の投稿は2100万件削除」と次々と対応するようになっている。
しかし、フェイスブックがいくら削除したとしても効果は一時的でしかない。なぜなら、人間の本質は変わらず、憎悪も暴力もセックスも次々と湧き出るからだ。
摘発はできる。しかし、人間の本質は変わらないので一時しのぎなのだ。(鈴木傾城)
ハッキングも誹謗中傷も組織に「需要がある」行為
インターネットの世界では、3つの問題がこれからも止めることができずにどんどん悪化していく。
3つの問題とは何か。それは、企業の機密情報の大量漏洩と、個人情報の流出と、高度化・過激化した誹謗中傷の拡大だ。
企業の情報漏洩と、個人データの流出は、ますますハッキング技術が高度化することによって成し遂げられていく。
そういった危険はセキュリティ対策のソフトである程度対応できると思われた時代があったが、もうそれを上回るハッキング技術やソフトが蔓延していて止められない。
そもそも、現在のハッキングは「国家ぐるみ」である。個人が物好きでやっているレベルではない。国家が莫大な費用と人員をかけて乗り出してきたら、それを個人が防止するのは容易なことではない。
国家はハッキングするだけではなく、世論操作すらもすることがある。
たとえば、韓国は最近になって「国民に選ばれた」はずの文在寅(ムン・ジェイン)大統領に大きな疑惑が湧き出ていることが明るみに出てきている。
「ドルイドキング事件」とそれは呼ばれている。ドルイドキングというのは、有名ブロガーのハンドルネームだ。
文大統領の側近がこの人物と接触して金を払い、このドルイドキングはマクロを使って都合の良いものには片っ端から「いいね」や「コメント」を乱発し、政敵側は徹底的に誹謗中傷するという活動をしていた。
自分たちを賛美し、敵対者を激しく中傷する。こうした誹謗中傷が、組織ぐるみになっている。そこには、政府や政党がかかわっていたのである。
この悪質極まりない世論操作で文在寅(ムン・ジェイン)という男が大統領になっていたのだから救いようがない。
こうしたアンダーグラウンドの活動を組織が金を出して「やらせている」のだから、ハッキングも誹謗中傷も消えることはないというのが分かるはずだ。
それは、ハッキングも誹謗中傷も「需要がある」のである。
誰もが匿名で誹謗中傷を一身に浴びる時代に
誹謗中傷に関しては、組織ぐるみ以外にも個人の怨嗟であるケースも多い。こちらも状況は悪化している。
他人を誹謗中傷する行為は、どこの国でも、どこの民族でも起きている。そして、その被害の対象になる人物も有名無名を問わない。
この問題に苦しんでいるのはフェイスブックだけではない。すべての空間は常に誹謗中傷が湧き上がる素地がある。
日本でもいくらでも起きている。
たとえば、2015年には新潟日報の報道部長をしていた「坂本秀樹」という男が女性に激しい誹謗中傷をしていたことでインターネットやマスコミの話題になったこともあった。
この男は一歳児を持つ女性に対して「お前の赤ん坊を、豚のエサにしてやる!」と罵っていたことで知られている。(ダークネス:お前の赤ん坊を豚の餌にしてやるという男が新潟日報にいる)
最近のマスコミは「マスゴミ」と呼ばれるようになっているのだが、「新潟日報もマスゴミだった」と人々は呆れ果てた。何しろ、一般個人を「お前の赤ん坊を豚の餌にしてやる」と喚くような狂った人間が報道部長をしているのだから、その質の低下は救いようがない。
善人も悪人も、強者も弱者も、男も女も、大人も子供も、全員が等しく誹謗中傷にさらされる。
女性は容姿を中傷され、政治家は信条を攻撃され、創作者は創作物を中傷され、歌手は歌唱力を中傷され、芸能人は芸を中傷され、アスリートは能力を中傷される。
どんなものであっても、スタイル、言動、作品、パフォーマンスは、常に称賛と同じくらいの批判を受ける。どんなにプロとしての成果を出しても同じだ。
こういった誹謗中傷はいつの時代にもあった。
しかし、インターネット時代になると、誰もが匿名で発言できる能力を持った代わりに、誰もが匿名で誹謗中傷を一身に浴びる時代になったのである。
匿名で中傷されると、匿名で中傷し返す人もいる。
だから、インターネットはたちまち中傷と人格攻撃の吹き荒れる荒んだ場所となった。中傷が中傷を生み出し、エスカレートしていく。
より過激に、より陰湿に、より高度化していく
人々に関心があるのは、自分が誹謗中傷に巻き込まれたら、いかに回避すればいいのかということだろう。相手がIPアドレスの防御をしていなかった場合、その相手を特定したり訴えたりすることは可能だ。
そういった誹謗中傷対策に特化した対策を提供するサービスもあれば、専門の弁護士もいる。警察も相談窓口を持っている。
実際に相手を特定し、損害賠償を請求できた例も多い。こういった事例はある程度の歯止めになる。
しかし、問題は必ずしも相手が特定されるとは限らない。
最近の誹謗中傷は、政治や個人の信条を攻撃したり、日本人に対するヘイトが絡んだものが多い。こうしたものは専門の知識を持った中国・韓国・北朝鮮の工作員がグループで行っており、巧妙で用意周到なものになっている。
プロがそれを行うのだ。したがって、こうした誹謗中傷は基本的には完全に封じ込めむのは不可能になっている。つまり、最終的に中傷する側のほうが強い。
特定政党も、インターネットに書き込む党員を公然と募ってそれをさせることもある。共産党は志位和夫が党員32万人に「党の方針を情報発信しろ」と号令をかけたというのが2013年6月26日の西日本新聞で取り上げられていた。
共産党を批判したらゴミのような誹謗中傷と脅迫が山のようにやってくる。これを見ても分かる通り、工作員が行う誹謗中傷は収束していくのではなく逆に「拡大していく」というのが分かるはずだ。
個人への誹謗や中傷は、より過激に、より陰湿に、より高度化していくのである。そして、誰でも陰湿な誹謗中傷の対象になり得る。
過激化した誹謗中傷が、企業の機密情報の大量漏洩と、個人情報の流出に重ね合わされると、インターネットで誰かの人生を破壊することさえ可能になっている。
果たして私たちは無傷でいられるだろうか。いや、それは無理だ。必ず巻き込まれてしまうはずだ。フェイスブックもそんな中で状況の改善に努力しているが、一時しのぎであるということは間違いない。(written by 鈴木傾城)