米中新冷戦は、中国共産党政権の世界支配を阻止できるかどうかの戦いだ

米中新冷戦は、中国共産党政権の世界支配を阻止できるかどうかの戦いだ

中国が成長していたのは、日米欧の知的財産をありとあらゆる方法で盗み取っていたからである。

工作員を潜り込ませる。中国人社員に圧力をかけたり報奨金を出したりして情報を盗ませる。欧米の企業幹部を買収する。サイバー攻撃する。大学生に最先端情報を盗ませる。全世界の技術を持った中小企業を買収する。中国本土に企業を誘致して合弁会社経由でノウハウを盗む。

このような手口で、中国はありとあらゆる知的財産を盗み取っていた。

「中国は進んでいる」というのは、別に中国がイノベーションを生み出す国になってそうなったのではなく、単に中国共産党政権があらゆる手段で「泥棒」を国家レベルでやった結果だったのである。

アメリカはそうした中国政府のダーティーな姿を知っていながら放置していた。なぜなら、中国という14億人市場は巨大であり、この市場で巨大な利益を上げることができれば、アメリカの多国籍企業はさらに潤うからだ。

しかし、中国政府は欧米の企業を中国市場から排除し、逆に欧米の市場を中国企業に侵食させるようになった。そして、中国は軍事的にも膨張し、アメリカの覇権すらも奪い取ろうとするようになった。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

中国共産党政権の一連の動き

こうした中国共産党政権の一連の動きにアメリカは激怒している。

オバマ前大統領は中国に買収されたような弱腰政権だったので、中国がやりたい放題しているのを黙視してきたが、トランプ大統領になってからアメリカは完全に中国敵視の政策に転換している。

トランプ政権の最初の1年は対中戦略に弱腰の閣僚を抱えていたのでうまく機能しなかったが、トランプ大統領はそうした閣僚を次々とクビにして強硬派に入れ替え、2年目からやっと中国に直接対決できる体制を整えた。

そして、アンフェアな中国に対して次々と報復関税を行い、中国のハイテク侵略の手先となっているZTEやファーウェイに対して排除への動きを加速しているのである。

アメリカがファーウェイ排除の動きを急いでいるのは、トランプ大統領が功績を急いでいるという見方もある。しかし、それ以外に注目すべきことがある。

「5G」を巡る動きだ。

今後の数年間で「5G」の時代になって世界は大きく変わる。一種のパラダイムシフトが起きると言っても過言ではない。(フルインベスト:100倍の通信速度と1000倍のトラフィックを扱う5Gが社会を激変させる

その「5G」の基幹システムに中国のルーターが入ると、全世界の国民の情報に中国共産党政権がアクセスできるようになる。

私たちは中国人ではない。中国に住んでいるわけでもないし、中国共産党政権を支持しているわけでもない。にも関わらず、私たちの言動を中国共産党政権が監視できるようになるのである。

さらに、世界各国の機密情報のすべてが中国政府に筒抜けになる。これがいかに危険なことなのか、誰でも分かるはずだ。

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何のためらいもなく抹殺に動く

なぜ、アメリカがファーウェイの排除に動いているのか、その根本的な部分を理解していない人間が多すぎる。また、中国共産党政権がいかに危険な存在であるのかを知ろうともしない人も多すぎる。

中国共産党政権は、完全なる一党独裁政権である。自分たちの都合の悪い存在は何のためらいもなく抹殺に動く。

「抹殺」というのは比喩ではない。1989年6月4日の天安門事件で中国共産党政権は民主化を求める市民を大虐殺したのを見ても、それは分かる。

中国共産党政権というのは、平和的に民主化を求める市民を銃撃し、毒ガスをまき、戦車で轢き潰すような政権なのだ。

それはもう「昔の話」のように思っている人もいるが、中国共産党政権の体質がまったく変わっていないというのは、昨今のチベットやウイグルでの人権弾圧を見ても分かる通りだ。

ウイグルでは100万人ものウイグル人が強制収容所に入れられ、中国共産党政権を称える歌を歌わされ、従わない人間は臓器を抜かれて殺される。そんな人権弾圧が「今この瞬間」にも繰り広げられている。

中国共産党政権の「自分たちに逆らう者は抹殺する」という基本姿勢はまったく変わっていない。

そして、中国共産党政権は約14億人の国民をすべて監視し、どこの誰が自分たちに刃向かう性質を持っているか、その言動を徹底監視している。そのために監視カメラとAI(人工知能)を組み合わせて使っている。

中国は、これを全世界に広げていこうとしている。それをアメリカは阻止しようとしているのだ。

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中国のやっている工作は「定石通り」

「5G」を巡るアメリカと中国の激しい対立は、「新冷戦」の様相を呈している。もはや貿易戦争だけでなく、ハイテクの覇権を巡る戦いでもあり、人権での戦いでもあり、独裁政権と民主化政権の戦いでもある。

言ってみれば、中国共産党政権という「独裁政権」の世界支配を阻止できるかできないかの戦いでもある。

奇妙なことに日本では、中国共産党政権という「独裁政権」の世界支配に入りたがっている経済人や政治家がうじゃうじゃいて政治や経済を混乱させている。そうなっているのも、日本は中国の「工作」を放置しているからに他ならない。

中国の工作員が政界にも財界にも報道界にも教育界にも官公庁にも入り込み、情報を盗むだけでなく中国に利する操作を公然と行っている。

NHKはしばしば中国寄りの歴史プロパガンダを報じることで有名だが、スイス政府の『民間防衛』でも書かれている通り、工作員の侵略は「政府当局、行政組織、輸送、新聞出版、ラジオ、テレビ企業」が拠点となる。

中国のやっている工作は、言ってみれば「定石通り」である。逆に言えば、日本は定石通り動いている工作員を阻止することもできないほど「何も考えていない国」であるということでもある。

しかし、アメリカはそうではない。

アメリカは世界最強の諜報組織であるCIAを擁する国だが、その国が中国の工作員を放置するわけがないのである。中国がアメリカに何を仕掛けているのかCIAはその全容をつかんでいる。

だからアメリカは激怒し、中国に対して戦う決意を固めている。これから何が起きたとしても、それは中国の自業自得だ。(written by 鈴木傾城)

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アメリカは世界最強の諜報組織であるCIAを擁する国だが、その国が中国の工作員を放置するわけがないのである。中国がアメリカに何を仕掛けているのかCIAはその全容をつかんでいる。だからアメリカは激怒し、中国に対して戦う決意を固めている。これから何が起きたとしても、それは中国の自業自得だ。

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