左翼が本当の意味での「格差の是正」「貧困の解消」を目指していない理由とは?

左翼が本当の意味での「格差の是正」「貧困の解消」を目指していない理由とは?

共産主義というのは「財産の一部または全部を共同所有することで平等な社会をめざす」主義であり、これは資本主義とは真っ向から対立するものである。だから、共産主義者がこの「共産主義体制」を構築するためには、資本主義体制を破壊する必要がある。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019、2020年2連覇で『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

「時」が来たら彼らを扇動《アジテート》して革命に向かわせる

共産主義というのは「財産の一部または全部を共同所有することで平等な社会をめざす」主義であり、これは資本主義とは真っ向から対立するものである。だから、共産主義者がこの「共産主義体制」を構築するためには、まずは最初に資本主義体制を破壊する必要がある。

その破壊のことを革命と彼らは呼ぶ。

革命を成し遂げるためには体制と戦う集団を必要とする。共産主義者は資本主義体制の中で革命を成し遂げるための人材を集めなければならない。「資本主義を破壊したい」と思う人材がいるのだ。

その人材は、決して資本主義で恩恵を受けている人間ではない。資本主義でうまく生きることができず、叩きのめされ、貧困に突き落とされ、社会から見捨てられている人間が必要だ。

つまるところ、「貧困層」こそが共産主義革命の兵士となるのだ。だから、共産主義者は貧困街、ドヤ街、貧困層に出向いて、貧困層を積極的に支援する。

共産主義者が「格差の是正」とか「貧困の解消」を訴えているのは、別に共産主義者がとても優しい政党だからではなく、来るべき共産主義革命のために自分たちの主義に共鳴する人間を集め、兵士にsるうためなのである。

革命の手足として、資本主義で恩恵を受けられなかった貧困層を集め、彼らを赤く染め、そして「時」が来たら彼らを扇動《アジテート》して革命に向かわせて体制を打破する。

それが共産主義者の唯一絶対の「戦略」である。

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社会問題は「体制を混乱させて破壊するためのネタ」なのだ

こうした共産主義の思想を持った人間は「左翼」と呼ばれている。私たちは「左翼」の本音をよく知っておく必要がある。左翼は実のところ本当の意味での「格差の是正」「貧困の解消」を目指していない。

なぜか。

なぜなら、資本主義社会の中で格差が是正され、貧困が解消したら、自分たちの立場がなくなってしまうからだ。共産主義革命の担い手が消えてしまうからだ。左翼は資本主義が混乱すれば混乱するほど利益を得る集団なのである。

とすれば、左翼のもうひとつの戦略は「資本主義が失敗するために、あらゆる方向で足を引っ張る」というものになるのは当然である。どうやって足を引っ張るのか。それは、とにかく社会の秩序や平和をことごとく批判し、ケチをつけ、破壊することによって成し遂げられる。

何でもいいから、すべてを批判する。あらゆる問題を針小棒大に騒ぐ。社会問題を是正する必要があるのは当然のことだ。通常は、是正のために批判がある。しかし、左翼は違うのだ。左翼は混乱させるために、社会問題を批判する。

「格差を是正しろ」「貧困を解消しろ」と誰かが叫んでいたら、私たちは「ああ、問題を解決するために叫んでいるんだな」と思う。私も格差問題や貧困問題には深く憂慮しているので、何とかして解決して欲しいと思う。

左翼は根源に「体制を破壊する」という目的があるので、社会問題は「体制を混乱させて破壊するためのネタ」でしかない。解決するどころか、どんどん問題をこじらせて騒ぎが大きくなれば良いと考えている。

社会問題を批判する→問題を紛糾させる→体制を混乱させる→体制破壊する

そうやって共産主義革命を起こそうとしている。問題を解決するつもりはないのだから、問題を解決したいと思って動いている人間はみんな最後には裏切られて去っていく。騒いで騒乱を起こしたい人と問題を解決したい人は、向いているベクトルが正反対なのである。

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「弱者に寄り添った優しい党だ」と無意識に思い込んでしまう

多くの人は、普通に暮らせれば政治的なことは関心がない。だから、共産主義者の戦略などまるっきり関心がない。それもそうだ。普通の人は革命だの騒乱だの扇動なの、そういった物騒で薄気味悪い世界には関わりたくない。

関わりたくなから関心を持たない。関心を持たないから、選挙の時に共産党が「格差を是正しろ」「貧困を解消しろ」とか叫んでいたら、「共産党というのは貧しい人たちを第一に考えている優しい党なのだ」と勘違いしても不思議ではない。

共産党が優しいなど、まるっきり嘘だ。騙されている。日本共産党も『51年綱領』で平和革命論を否定し暴力革命唯一論を採った党である。

「51年綱領」に則って、いかに武装闘争を展開するのかを指し示した秘密文書が『球根栽培法』『新しいビタミン療法』『遊撃戦の基礎戦術』『栄養分析表』である。

それについては、こちらに書いた。(マネーボイス:「暴力革命はデマ」という日本共産党のデマに騙される人々。八代弁護士の謝罪で隠せぬ策動、1951年の“球根”は今も生きている=鈴木傾城

しかし、この暴力革命唯一論で共産党は議席を失って、慌ててそれを引っ込めた。そして、『権力が暴力で革命運動を抑圧しない限り、革命運動も暴力を行使しない』という「敵の出方論」を出した。

機が熟したらやるという話である。

しかしながら、普通の人はそこまで知らないし分からない。だから、共産党が「格差を是正しろ」「貧困を解消しろ」と叫んだら、「弱者に寄り添った優しい党だ」と無意識に思い込んでしまう。

そして、知らずして左翼の共産主義革命に加担させられるのである。

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若い世代はそれを知らないので気がついたら騙されている

左翼は理論と戦略で動いている。本当の目的を大衆に見破られないように隠して、大衆をうまく利用しながら勢力を拡大している。

  1. 共産主義体制とは財産を共同所有する体制である。
  2. それを実現するために資本主義を破壊する必要がある。
  3. だから、貧困層を取り込んで革命細胞の予備軍にする、
  4. 時期が来たら、貧困層を扇動して革命を起こす。

そういう戦略なのである。これを知らないと日本共産党は「格差を是正してくれる政党なんだ」「貧困を解消してくれる政党なんだ」「弱者の味方なんだ」と思ってしまい、まんまと共産主義者のワナに落ちる。

残酷に聞こえるかもしれないが、社会の体制がどのようなものになっても、人間社会から経済格差は消えることはない。

本当に格差を是正するというのなら、全員が無財産になって、お上(ビッグブラザー)が財産を公平に配ることで成し遂げられる。しかし、そのビッグブラザーも人間なわけで、その人間が権力を持ったら腐敗して自分の都合の良いように配分が始まり、結局は格差となる。

ソ連では「テクノクラート」が、国民から吸い上げた富で贅沢三昧するという腐敗を見せた。中国でも中国共産党員が汚職まみれになっている。

共産主義になると、財産がすべてビッグブラザーに取り上げられるのだから、資本主義よりも何百倍もタチが悪い。そのビッグブラザーが結局は独裁者となって君臨し、超格差を生み出すのはルーマニアやら北朝鮮を見れば分かる。

日本ではマスコミもジャーナリストも左翼に汚染されたので、共産主義がいかに悪辣なものであるのかを人々に気づかせない。古い世代は左翼の暴力性を知っているのだが若い世代はそれを知らないので気がついたら騙されている。

日本人は、左翼が本当の意味での「格差の是正」「貧困の解消」を目指していないことを、よく知っておくべきだ。

左翼の「革命(Revolution)」を皮肉ったビートルズの名曲「Revolution」。「君は社会の構造を変えてやるとか言ってる。へぇ、そうかい。自分の頭から変えてみな……」ビートルズの数ある名曲の1つだが、左翼からは完全に無視されている。

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