バイデン政権でアメリカが混乱しても、長期的にはアメリカ買いが正しい理由

バイデン政権でアメリカが混乱しても、長期的にはアメリカ買いが正しい理由

アメリカは没落するだとか、もうアメリカの時代は終わったとか、アメリカは重要ではないと本気で思っているのであれば、試しにアメリカ企業と関わらないで生活してみてほしい。きちんと現代社会を生きている人であればあるほど、それが「不可能である」ことに気付くはずだ。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019、2020年2連覇で『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

イノベーションを起こし続ける力を持っている国

株式市場はこの世で重要な企業が何なのかを示す一覧表である。現在が資本主義の世界であるならば、この一覧表に乗っている企業群が世の中を動かしていると考えるべきだ。

全世界で最も巨大で比類がない株式市場はニューヨーク証券取引所だ。凄まじい富と影響力はそのほとんどがここに上場されている企業が保持しており、これからもずっと続いていく。

「アメリカ企業」を中心にして見ると、アメリカは衰退しているどころか、堅実に成長し、しかも未だにイノベーションを起こし続ける力を持っている。情報社会の中枢はすべてアメリカ企業によって押さえられており、その状況はこれからも変わることはない。

2021年1月20日、アメリカではいよいよバイデン政権がスタートしたのだが、このバイデン政権も、左翼リベラルに偏向しているFacebookや、Appleや、Amazonや、Googleや、Twitterなどが、こぞってバイデンを直接支援して当選させた政権だ。

「バイデン政権はビッグテック(巨大ハイテク企業)が誕生させた」とインターネットで多くの人が指摘しているのだが、これを否定する人はいない。大統領選挙は「茶番」だった。大統領は国民が選んだのではなく、巨大ハイテク企業が選んだのだ。

そして、バイデン政権にはこれらの巨大ハイテク企業から多くのスタッフがバイデン政権に潜り込んでいる。

とすれば、バイデン政権は巨大ハイテク企業の思惑通りに動き、これからもますます趨勢を保つようになるのは誰でも予測できる。バイデン政権は民主党であり、民主党は基本的にグローバル化を強烈に推し進める政党である。

バイデン政権は「アメリカ第一」ではなく「多国籍企業の利益第一」になる。

グローバル化の推進は、まさに巨大ハイテク企業の戦略でもあるわけで、そうであればアメリカのほぼすべての多国籍企業はバイデン政権によって「損しない環境」が政治的にできあがったことになる。

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金融危機でも依然として優良企業が収益を上げる

ただし、勘違いしてはいけないのは「アメリカの多国籍企業にとっては良い環境だが、アメリカ人にとって良い環境ではない」ということだ。アメリカの多国籍企業は「自らの利益」しか考えないので、途上国の労働者の方が安くこき使えると思ったら、アメリカ人の労働者なんか使わない。

また、アメリカ国内でも不法移民のような人間の方が安く雇えると思ったら、迷わずそちらを選ぶ。多国籍企業にとっては「不法移民が大量にいて合法的に雇えるようになったら、人件費が下がるので得する」という論理でそれを歓迎する。

だから、アメリカの一般の国民はどんどん困窮していき、多国籍企業とそのステークスホルダーだけが儲かってアメリカ人そのものは貧困化していくのだ。

バイデン政権は、今後の4年間でそれを加速させていく。アメリカ人は苦しくなっていくが、それに反比例してアメリカの多国籍企業は成長する。

ただ、株式市場は突発的に起こる事象で乱高下するのが常なので、バイデン政権で株価がうなぎ上りに上昇していくという保証があるわけではない。いつ調整が入ってもおかしくない。

私が言いたいのは、「長期的にみれば」株式市場は健在だということだ。「アメリカが終わる」という意見は無意味である。

たとえば、このコロナ禍でもアメリカの多国籍企業は莫大な利益を計上している。ビッグテックは特に絶好調である。Microsoftもコロナ禍でノートパソコン、ゲーム、クラウドの需要が上がって、史上空前の利益を手にしている。

PC(パソコン)の時代は終わったはずだったのだが、ステイホームの中ではリモートワークのために家庭にもPCが必要だ。だからPCの時代が延命された。Microsoftはまさに「コロナで焼け太り」になっている。

人々はコロナ禍でステイホームを余儀なくされているが、ステイホームの中ではますますインターネットが重要なインフラとなっているので、それを抑えているビッグテック各社は空前の利益を手にしている。また、リモートワークのために、クラウド上のソフトウェアの需要も一気に喚起されて、イノベーションも加速されている。

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金融ショックの中、最後に果実をもぎ取ったのは誰だったのか?

「アメリカは終わった」と一番声高に叫ばれていたのは2008年だった。2000年代のアメリカは、バブルの時代だった。巨大なカネが不動産や、サブプライムローンのようなリスクの不明確な債権をも買い上げていった。

それが破綻したのが2008年9月15日だ。「リーマンショック」と呼ばれているこの市場大崩壊劇は、資本主義をも崩壊させかねないほどのスケールと規模で全世界を覆い尽くしていった。

2008年9月15日以降、世界は絶不調に陥ってグローバル経済の雄であるアメリカですらも停滞を余儀なくされた。「アメリカは終わった」と多くのアナリストが言った。「アメリカの終焉」みたいな本も大量に出た。

ところが、ここで皮肉なことが起きた。

「もうアメリカが終わった」と言われたこの時期にアメリカに資金を投じていた投資家が、その数年後に巨額の儲けを手中にしたのである。

ウォーレン・バフェットやジョージ・ソロス、あるいは莫大な資金を持っていたビル・ゲイツ等の多くの投資家は、なぜこの不透明で危険な時期に莫大な投資をアメリカの株式市場に投じていたのか。

それは、リーマンショックでも人々が生活をやめるわけではなく、依然として優良企業が収益を上げ続けることを知っていたからである。

これは私たちの生活を振り返っても分かる。私たちは2008年のリーマンショック以後も、マクドナルドでハンバーグを食べ、ハインツのケチャップでポテトフライを食べ、コカコーラを飲み、たまにスターバックスでコーヒーを味わい、マイクロソフトのOSで仕事をしていたはずだ。

100年に1度の金融危機が来たからと言って、今までの生活をやめた人はひとりもいない。だから、この時期にアメリカの株式市場に資金を投入していた人間が、最後に果実をもぎ取ったのだ。

アメリカの没落に賭けるのは間違いだったことは、「100年に1度の金融動乱」と呼ばれたリーマンショックを振り返っても分かる。

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高齢者が「アメリカは没落する」と妙なことを信じる理由

アメリカは没落するだとか、もうアメリカの時代は終わったとか、アメリカは重要ではないと本気で思っているのであれば、試しにアメリカ企業と関わらないで生活してみてほしい。きちんと現代社会を生きている人であればあるほど、それが「不可能である」ことに気付くはずだ。

現代はインターネットが重要なインフラになっているので、インターネットを使わざるを得ない。インターネットにアクセスする機械も、インターネットの技術も、インターネットのOSもソフトウェアも、すべてアメリカが押さえているからである。

逆に高齢者はインターネットから置き去りにされているので、現代のアメリカの重要性とその意味に気付かない人が多い。だから、高齢になればなるほど「アメリカは没落する」とか妙なことを信じていたりする。

現在は超高度情報化社会だが、高齢層は情報の分野でアメリカが重要な覇権を握っていることが実感として気付かないし、分からないし、説明されてもピンと来ない。時代遅れになりすぎて、時代が見えなくなっている。

超高度情報化社会の時代は、実はこれからが本番だ。5Gになると、ますますイノベーションが加速する。半導体の技術が向上し、ビッグデータやディープラーニングによって人工知能が進化し、今後は現実拡張やロボット化が急激に進む。

このほとんどすべてはアメリカの最先端企業によって提供される。次の時代も情報空間の覇権を握ったアメリカがさらに強くなる。

アメリカの時代はこれから何十年も続いていくのは確実であり、そうであるならばアメリカの没落に賭けるのは人生で最悪の間違いである。もちろん、アメリカもいずれは没落する日が来るかもしれないが、はっきり言ってそれはずっと先の話である。

「アメリカが衰退している」というのは政治的な混乱がそう見せているだけで、アメリカ企業に目を転じると、まったくその逆の姿が見えてくる。

アメリカの企業は未だに世界をリードするイノベーションを起こす力を保持し、強大な影響力を持ち、アメリカの株式を持っている人間が、時代の波に乗るという現象になっている。バイデン政権でアメリカが混乱しても、長期的にはアメリカ買いが正しいのはこういう理由からだ。

別に私はアメリカを愛しているわけでもなければ、アメリカの社会を理想としているわけでもない。しかし、弱肉強食の資本主義の世界で生き残るために、私もアメリカに関わっている。

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