ビル・ゲイツは1994年にはすでに「将来、銀行はなくなる」と発言しており、最近も「銀行機能は必要だが、今ある銀行は必要なくなる」と同様の発言を繰り返して時代の変わりを予告している。
現在、全世界でスマートフォン上での決済が標準になっており、キャッシュレス化がどんどん進んでいる。キャッシュレス化はフィンテック(ITを活用した革新的な金融サービス事業)によって進められている。
つまり、銀行機能はハイテク企業が担うようになり、ビル・ゲイツの言う通り「今ある銀行は必要なくなる」のである。これからはマネーと言えば、電子マネーが中心となる。
現金(紙幣や小銭)は非効率な存在であり、次世代には捨てられていく。
鈴木傾城もすでにキャッシュレスの方向に舵を切っている。決済の順位は、スマートフォン上での決済、アップル・ウォッチでの決済、デビットカード、プリペイドカード、クレジットカード、現金の順でするようになっており、現金使用の比率を最下位に下げている。
理想はすべての決済をスマートフォン上で行うことだが、日本は60代以上の高齢者が「現金でないと嫌だ、スマートフォンは使いたくない」と時代遅れに固執するので、国全体がイノベーションから一歩も二歩も送れるばかりだ。(鈴木傾城)
時代遅れの声だけが巨大化して日本を周回遅れに
本来であれば、次の時代を見据えて子供たち全員にスマートフォンを与え、テクノロジーのリテラシーを徹底教育すべきであり、それを提唱すべきなのだ。
ところが、教育者も親も高齢者もみんな時代遅れときているので「子供にスマートフォンを持たせるな」と逆のことを言い出したりして、ますます日本を時代遅れにする。
こうした時代遅れは淘汰されて然るべきなのだが、日本は少子高齢化の社会である。時代遅れの声だけが巨大化して、どこまでも日本を周回遅れにさせていく。少子高齢化の弊害はこうしたところに生まれていく。
この状況は非常に危険だ。スマートフォンも使えず、電子決済もできない高齢層の声に従っていると、日本は最先端に乗れずに自滅してしまう可能性もある。
社会が最先端のテクノロジーに遅れることで、日本人全体が「情報格差」の最底辺に追いやられてしまう。
言うまでもないが、2020年以後から第4次産業革命が本格的に進んでいく。
その新しい世界では、パソコン、スマートフォン、インターネット等に代表される「デジタル」の情報技術を縦横無尽に使いこなせる人と使いこなせない人との間で、待遇も、収入も、仕事を見つけるチャンスですらも違っていく。
デジタルで武装した人は有利な仕事を得るチャンスを手に入れ、そうでない人は弾かれる。そして格差がそこで生まれていく。
日本の高齢層はその大部分がインターネットを使いこなせないというのはよく知られているが、若年層であってもインターネットを使いこなせない人が大勢いる。
苦手だったり能力がなかったりするのではなく、デジタル機器を触れるのが遅すぎて、子供の頃から使えていた人たちと能力的・知識的に雲泥の差が開くのである。
社会に出た頃には「使いこなし能力」が普通よりも劣ってしまっており、決済という資本主義で最も基礎的な部分でも手間取ることになる。
これでは、ますます格差が開いてしまう。信じられないことだが、日本社会は次世代の波に乗れない子供たちを大量に生み出す空気が充満しているのである。
貧困格差が、やがて情報格差を生み出していく
世の中は高度な情報化に向かって突き進んでいるのに、情報社会から取り残されて格差が広がっていく現象は、まずアメリカから問題になっていった。
情報化社会から取り残されていったのは低所得層だ。彼らはデジタル機器どころか家ですらもまともに持てず、トレーラーハウスのようなところで暮らす人も多い。
日々の食事にも事欠く暮らしの中で、こうした低所得層はパソコンやスマートフォンやインターネットどころではない。
そのため、低所得層の子供たちはスマートフォンやインターネットに馴染みのないまま大人になり、高度情報社会に対する対応能力がなくなってしまう。不利な状況だ。
一方、高学歴かつ高収入の家庭の子供たちは、幼い頃からデジタル機器を使いこなすための環境が整っている。パソコンもあり、スマートフォンもあり、24時間インターネットに接続できる環境がある。
子供たちは最先端のテクノロジーに触れ、その空気を存分に吸ってデジタルに馴染んでいく。そして彼らは高度情報化社会の担い手になっていく。
高収入の仕事に就くことができ、社会の最先端で活躍し、様々な仕事の選択肢の中で有利なポジションに移動することが可能になる。
また、テクノロジーが次に何を変えていくのか、その時代の流れを的確に読むことができるようになり、より優位なポジションに移ることもできるようになる。
経済的な格差が情報格差を生み出し、社会に出た瞬間からそれが超えられない差となって現れていく。
テクノロジーはさらに大きく時代を変革させる。そのため、デジタルをめぐる格差は、これから格差固定化の大きな要因になっていく。
ここで時代の読みを間違うと、それがストレートに「経済格差」に結びつくのだ。
だから、少子高齢化の影響で「現金でないと嫌だ、スマートフォンは使いたくない」と時代遅れに固執する高齢層の声が巨大過ぎる日本社会は危険なのだ。
思い切り最先端のテクノロジーを取り入れるべきだ
テクノロジー企業がすべてを飲み込み、テクノロジーが従来のビジネスを置き換えていくのは周知の出来事だ。
音楽はインターネットで聞くのが当たり前になった。動画はインターネットで見るのが当たり前になった。新聞はインターネットで読むのが当たり前になり、買い物もインターネットでするのが当たり前になった。
書籍もインターネットで読むのが当たり前になり、コミュニケーションもインターネットでするのが当たり前になり、決済もインターネットでするのが当たり前になった。
アップルはスマートフォンやパソコンを作る会社だと思っている人がいるが、一方でアップルは世界有数の音楽提供会社でもある。
アマゾンは買い物を提供する会社だと思っている人もいるが、一方でアマゾンは世界有数の動画コンテンツの提供会社でもある。動画コンテンツと言えば、検索の会社であるグーグルもユーチューブで膨大な動画コンテンツを所有する。
すべてはインターネットが飲み込み、テクノロジー企業が世界を支配していく。
当然のことながら、決済もテクノロジーの巨大企業がやがてすべてを手中に収めるようになり、従来の銀行を破壊していくことになる。
若年層がビットコインに代表する仮想通貨に熱狂しているのは、それが手垢のついた「現金」を葬り去って新しい時代を切り拓くシンボルに見えているからだ。
なぜ若年層が「現金」を葬り去りたいのかというと、それが彼らには非効率極まりない存在であることが分かっており、ここを変えることができれば、さらに世の中のイノベーションを進めることが可能になるのが分かっているからだ。
イノベーションが突き進んだ社会では、まずはスマートフォンがすべての中心となる。だから、私たちはスマートフォンに対して裏の裏まで知り尽くすほど勉強すべきであり、研究すべきであり、馴染むのが正解なのだ。
日本人は少子高齢化の中で、最先端のテクノロジーを取り入れることに柔軟ではなくなりつつある。時代遅れの人間が時代遅れのことを言い出しても絶対に相手にすべきではない。一緒に時代遅れになったら日本が終わる。
これからの日本人は、思い切り最先端のテクノロジーを取り入れ、受け入れ、子供たちにその分野で未来を託すべきだ。
さしあたって日本社会が取り組まなければならないのは、非効率の象徴である現金(紙幣や小銭)を排して、スマートフォンで決済ができる効率的な社会を作り上げ、最先端を走る社会を取り戻すことである。(written by 鈴木傾城)
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スマートフォンも使えず、電子決済もできず、「そんなものはやりたくない」と言う高齢層の声に従っていると、日本は最先端に乗れずに自滅してしまう可能性がある。社会が最先端のテクノロジーに遅れることで、日本人全体が「情報格差」の最底辺に追いやられてしまう。https://t.co/6g02HdBSnk— 鈴木傾城 (@keiseisuzuki) 2018年3月19日
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