コロナショックの時代に社会に出る若者の運命は信じられないほど過酷になる

コロナショックの時代に社会に出る若者の運命は信じられないほど過酷になる

2000年代から社会の裏側でささやかれるようになっていた「低所得層」の存在は、実のところ遠因は「バブル崩壊」という巨大な経済破壊から波及したものである。つまり、社会が過酷になって「仕事が見つからない」ような状況になった時、その時代の荒波に飲まれた人たちが10年後の貧困層になるということだ。そうであるならば、2020年に社会を直撃している中国発コロナウイルスの経済破壊は今後「何をもたらすのか」は自ずと理解できるはずだ。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

たった二ヶ月で世界をまったく違うものになってしまった

時代はどんどん変わっていっている。良く変わることもあれば、悪く変わることもある。2020年に入って武漢から始まったコロナウイルスのパンデミックはたった二ヶ月で世界をまったく違うものにしてしまった。

良くしたのか悪くしたのか。紛れもなく「悪くした」のだ。

グローバルなサプライチェーンはズタズタに寸断され、各国政府の自粛要請で中小企業・小規模事業者はどんどん潰れてしまっている。

大企業もいよいよ2020年の1月ー3月期の第一四半期の決算を出すようになっているのだが、ネット販売やバイオやビデオ会議などの一部の企業をのぞくと決算はボロボロになった。

全世界の大半の企業は売上が急減しているのだ。

金融緩和で株式市場は落ち着いているのだが、実体経済がボロボロなのだから常識的に考えたら「V字回復」はなかなか難しいと考えなければならないはずだ。

ワクチンが市場に投入されるのは早くても9月、通常のスケジュールで考えると来年の春あたりからなので、今の状況が劇的に回復するという楽観的な思考は控えておいた方がいい。

これからは「危険な時代を生きる」という意識を持つ方が重要だ。

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1997年生まれから2002年生まれまでの若者の運命

仕事がどんどん消えていく。仕事がどんどん見つけにくくなる。今の仕事はいつなくなるのか分からない状況になる。リストラも増える。リストラが始まったら止められなくなる。新しい仕事は見つけられなくなる。

ところで。2000年代から日本の社会では、若年層の格差がとめどなく広がっていった。この要因というのは、1990年代のバブル崩壊によって企業が新入社員を極度に絞った結果だった。

これによって、どんなに仕事を探しても仕事が見つからない「就職氷河期」が発生した。そして、少なからずの若者が貧困のどん底に落ちて格差が広がった。

この時代に社会に出た若年層は過酷だったのだ。(ブラックアジア:1971年〜1974年生まれは、自分たちは過酷な時代に生きる世代だと認識せよ

「引きこもり」「負け犬」「ネットカフェ難民」「アンダークラス」……。

2000年代から社会の裏側でささやかれるようになっていた「低所得層」の存在は、実のところ遠因は「バブル崩壊」という巨大な経済破壊から波及したものである。

つまり、社会が過酷になって「仕事が見つからない」ような状況になった時、その時代の荒波に飲まれた人たちが10年後の貧困層になるということだ。

そうであるならば、2020年に社会を直撃している中国発コロナウイルスの経済破壊は今後「何をもたらすのか」は自ずと理解できるはずだ。

コロナショックは2020年代の前半を覆い尽くす可能性がある。これは何を意味するのか。これから社会に出る18歳や23歳の若者は、壮絶なまで悲惨な目に遭う確率が高いということを意味する。

具体的に言えば、1997年生まれと2002年生まれの若者、場合によってはそれ以後の若者の運命は今までとはまったく違う次元に追い込まれる。

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「時代」を無視して生きていくことができない

人は誰でも時代に翻弄される。それは避けることができない。

日本人のすべては1930年代から1940年代の前半は「戦争」という暴力的な時代の中で人々は人生を翻弄されてきたし、1945年からは灰燼と化した国土の中で「生き残る」ことを強いられた。

「住むところを探す」ことも重要だったし「食べること」も重要だった。ほとんどの人は所持金など無に等しく、かろうじて財産を隠していた人も戦後インフレーションや新円切り換えで財産をみんな失ってしまった。

親は子を失い、子は親を失い、家族は家を失い、人々は国家を失った。心身共に傷ついた失意のどん底にある兵隊たちが帰還し、傷痍軍人が路上に座って人々の恵みにすがって生きていかなければならない時代だった。

みなしごがストリートを埋め尽くし、若い女性が「こんな女に誰がした」と夜の闇に立った。

この時代に生きていくのためには、自分や家族を餓死させないためにどんなことをしても、たとえ自分のやっていることが法を犯すことであっても、躊躇しないでやり抜いて生き残らなければならないような過酷な時代だったのだ。

日本もそういう時代があったのだ。いくら世間と隔絶しているような人であっても、時代の流れに飲まれてそこから逃れられなかった。

私たちは誰ひとりとして「時代」を無視して生きていくことができない。当然、生きるのに優しい時代もあれば、生きるのが難しい時代もあり、それぞれの年代は自分の努力や環境や能力を超えたところで時代に翻弄される。

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新年度から仕事を失うかどうかの瀬戸際に立つ

2020年1月から不気味に広がり始めた中国発コロナウイルスはパンデミックとなって世界を覆い尽くし、グローバル経済をめちゃくちゃなものにしてしまった。全世界で感染者が苦しみ、死者が膨れ上がり、経済が停止してしまった。

すでに安定的な仕事があり十分な蓄えがある人は、このような事態になってもそれほど焦燥感も不安も感じないで日常を過ごしているかもしれない。

しかし、就労人口の4割近くを占める非正規雇用者や、中小企業・小規模事業に勤めている人たちや、フリーランサーはみんな4月の新年度から仕事を失うかどうかの瀬戸際に立っている。

さらに、2020年度から社会に出た若者たちもまた困難な巣立ちとなって、社会の荒波に放り込まれている。

仕事が見つからなかった若者や、内定が取り消されてしまった若者や、入社早々会社が傾いてしまった若者が大勢いる。場合によっては、莫大な奨学金を抱えながら仕事が見つからなかった若者も多いはずだ。

平常時であれば、彼らは救済されるべき存在かもしれない。しかし、社会全体がまとめて波乱に放り込まれてしまっている中では、彼らに気にかけるほど余裕がある人はほとんどいない。

誰もが「自分はこれから生き残れるのか?」と思っているのだ。社会に出た若者が出た瞬間に苦境に落ちていても、誰もが「自分ではない他の人に助けてもらってくれ」と考えて結局は放置される。

1997年生まれから2002年生まれまでの若者の運命は、今までとはまったく違う次元に追い込まれ、彼らの存在はこれから大きな社会問題と化す可能性が高まっている。最も過酷な時代に社会に出る彼らは、生き残ることができるだろうか?

『アラフォー・クライシス: 「不遇の世代」に迫る危機(NHK「クローズアップ現代+」取材班)』

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