GAFAの経営は完璧であるにも関わらず「7つの要因」によって凋落していく

GAFAの経営は完璧であるにも関わらず「7つの要因」によって凋落していく

GAFAがイノベーションを飲み込むと、次第にGAFAに都合の良いイノベーションのみが生かされて、都合の悪いイノベーションは潰される。そうしたデメリットがどんどん大きくなっていく。さらに、こうした「すべてを飲み込む巨大化」は、人々の不安を掻き立てる。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019、2020年2連覇で『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

GAFAが最強の企業ではなくなる日が必ずやってくる

トランプ大統領を言論封殺した「GAFA」について、2021年1月20日から新大統領となるジョー・バイデンの政権がどのようなスタンスを取るかが注目される。

「GAFA」とは言うまでもなく、Google・Apple・Facebook・Amazonのハイテクの4強巨大企業を指す。インターネットやスマートフォンを公私共に使用している現代人は、それに適応している人であればあるほど「GAFA」にどっぷりと依存している。

私もまたそうだ。私はFacebookこそ使わないのだが、Google・Apple・Amazonには深く依存しており、これらの企業の製品が明日から使えなくなったら途方に暮れる。私のコンピュータは母艦もノートブックもスマートフォンもすべてApple製品だし、メールはGmailで、電子書籍はAmazon一択だ。

「使うのをやめろ」と言われても、今さらやめられない。ビジネスに支障をきたす前に、生活に支障をきたす。それほど依存している。誰もがそうだ。「独占企業」なので、そこから外れたら生きていけないのである。

「GAFA」は現在の資本主義で最強の経営が為されており、これらの企業はいろいろな問題を引き起こしながら、10年先も20年先も生き残り続ける。そういう意味で、これらの企業が長期投資に向いているというのは事実だ。

しかし、「GAFA」も常に最強でいられるわけではなく、いずれは力が削がれていく日がどこかで必ずやってくる。成長したら成熟し、成熟したら頭打ちになり、退屈な老舗企業として続いていく。

かつては世界最強のハイテク企業であったIBMは今もなお優良企業として生き残り続けているのだが、「最強の企業」ではなくなった。のを見ても分かる通り、GAFAもまたいずれは最強でなくなる。

今、この時点で「GAFAが最強の企業ではなくなる」と言っても、いったいなぜ最強でなくなるのか考えてしまう人も多いはずだ。GAFAは比類なき存在であり、「神」と考える人もいるほどで、そんな企業にスキはないようにも思える。

しかし、GAFAも「一企業」である限り、いずれは最強ではなくなってしまうのは仕方がないこともである。

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GAFAはすでに世界を征服したも同然である

今のところ、GAFAの経営は盤石だ。Appleも、Googleも、Amazonも、凄まじい売上と利益を誇っており、それが評価されて時価総額も世界最強のところにいる。この傾向はこれからも続いていく。

しかし、巨大さは無限ではない。人間の身長もある時点で成長が止まるように、企業の主力製品もある時点で売上が止まる。なぜなら、消費者が有限である以上、それがリミットになるからだ。

企業が常に「多国籍=グローバル」であることを志向するのは、言うまでもなく消費者数の限界を突破するためでもある。

自国で限界を突破したら違う国へ進出する。そこで限界を迎えたら再び違う国に進出する。そうやって地球を一周して製品やサービスを売ろうとする。だから、企業はグローバル化が宿命づけられている存在なのである。

GAFAが巨大なのは、言うまでもなく世界中にその製品やサービスを展開することに成功したからだ。

もちろん、政治的問題や経済的問題で取りこぼした国もあるのは間違いないのだが、そうした難しい国を取り込む努力をしながらも、全体的に見ればGAFAはすでに世界を征服したも同然である。

すでに「今の分野」での成長は頭打ちになっているか、もしくは頭打ちに近い状態になりつつある。こうした現状を打破するために、AppleやGoogleは自動車産業に参入しようとしており、Amazonは宇宙に進出しようとしているのだ。

しかし、違う業界に進出してシェアを取ろうとすると、今度は「巨大過ぎる」として批判され、独占禁止法という解体のワナが待ち受ける。

皮肉なことに、米民主党は「GAFAを分割せよ」「事業や製品ごとに分離すべきではないか」と主張する議員を多く抱えている党であり、ジョー・バイデンが政権を取ったことによって、分割論は勢いづく可能性も高くなっている。十分に巨大化したGAFAは、より巨大化できない環境になりつつある。

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不安を感じさせる巨大化と影響力

GAFAはすでに十分に巨大化した。しかし、企業は常に投資家によって「成長」を求められており、製品やサービスをより売り続けなければならない宿命が科せられている。そのため、GAFAのすべては多角化を成功させることを求められている。

多角化は事業を拡大させるための方策ではあるが、企業が多角化に邁進するようになると、今度は違う問題を引き起こす。

企業そのものが肥大化して判断が遅くなり、経営の焦点がぼやけるようになり、横のつながりが薄くなり、各自がバラバラに動くようになるのだ。

巨大化すればするほど企業は小回りが利かなくなり鈍重になる。さらに、巨大化するためにスタートアップ企業を大量に飲み込んでいくので、やがて業界からイノベーションそのものが消えてしまう。

GAFAは新しいアイデアを持ったあらゆる新興企業を飲み込んでいる。GAFAが生み出しているイノベーションの多くは、実はGAFAが飲み込んだ新興企業のイノベーションでもある。

GAFAがイノベーションを飲み込むと、次第にGAFAに都合の良いイノベーションのみが生かされて、都合の悪いイノベーションは潰される。そうしたデメリットがどんどん大きくなっていく。

さらに、こうした「すべてを飲み込む巨大化」は、人々の不安を掻き立てる。その不安は単なる杞憂ではなく事実である。

GoogleやFacebookは常にプライバシーに疑念を持たれているのだが、GAFAがすべての重要なスタートアップ企業を飲み込むようになると、GAFAの製品やサービスしか選択肢がなくなる。そして、GAFAに自分のプライバシーをすべて握られることになる。

もし、GAFAが邪悪な存在になったら、すべてのプライバシーを握られているユーザーはひとたまりもない。逆らえなくなる。そうした事態を恐れて、プライベートなメールなどはGAFAではなく、プライバシーを強化したプロトンメールなどに移行している人もいる。

一部の人がそうしなければならないほど、GAFAの巨大化と影響力は不安を感じさせるものになっているのである。

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GAFAを追い詰める7つの要因はすでに忍び寄っている

もっと大きな問題は、GAFAがインターネットのプラットフォームを独占すると、GAFAの基準に合わない発言や言動はすべてキャンセル(排除)されてしまう現象を引き起こすことである。

つまり、GAFAが「言論封殺」「世論操作」できる環境になるのだ。

それが如実に表れたのが2020年の大統領戦挙であり、トランプ大統領の言論封殺だった。トランプ大統領は曲がりなりにもアメリカの大統領である。その大統領の発言を検閲し、封殺し、排除することもGAFAは自由自在にできたのだ。

客観的に見ると、GAFAはトランプ大統領よりも権力を持った存在であることを、人々は悟った。

こうしたGAFAのなりふり構わない動きはますますユーザーを不安にさせ、「GAFAはいつからこんな権力(パワー)を持つようになったのか」と人々は次第に警戒心を持つようになっている。それが今のGAFAに起きていることだ。

GAFAがいつまでも君臨していると、人々はだんだん自分たちがGAFAに支配されているという気持ちを強めていく。そして、GAFA以外の「何か新しいもの」を求めるようになる。

GAFAがいかに優れていてより優れた製品を出したとしても、GAFA自体が新鮮ではないので熱狂してくれなくなる現象も起きる。人々は「GAFAではない何か」が欲しいと思うようになる。

それが次のパラダイムシフトを引き起こす。パラダイムシフトは往々にして支配している企業の反対方向に走るのだ。

その結果、GAFAの経営は完璧に経営されているにも関わらず、なぜか効果が出ないようになる。それが続いていくと、いつしか「最強の企業」の座からすべり落ちる。

  1. 巨大化
  2. プライバシー
  3. 悪評
  4. 偏向
  5. 新しいものを求める人々の気持ち
  6. パラダイムシフト
  7. 経営のミス

インターネットを支配しているGAFAだが、このGAFAを追い詰める7つの要因はすでにゆっくりと忍び寄っているように見える。GAFAは忍び寄る問題をうまく解決することができるのだろうか。

『After GAFA 分散化する世界の未来地図(小林 弘人)』

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