アメリカの超巨大ハイテク企業が支配する世界で日本は情報植民地と化した

アメリカの超巨大ハイテク企業が支配する世界で日本は情報植民地と化した

俯瞰して見たら誰でも分かることだが、「アメリカの超巨大ハイテク企業」はすべてを取り込んでしまったのだ。これは信じがたいまでの独占支配であるとも言える。インターネットはアメリカが盟主であり、他の国は植民地であるという見方もできる。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019、2020年2連覇で『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

「アメリカの超巨大ハイテク企業」がこの分野を飲み込む

ほんの5年か6年前まで「YouTuberは素人がやるもの、テレビはプロがやるもの」と言われていた。実際、そういう認識が世の中にあったと思うのだが、今は多くのタレントや芸人が当たり前にYouTubeに進出している。

もちろん今もテレビの影響力は絶大なのだが、そのテレビの優位性はじわじわと侵食されてYouTubeに取って変わっている。そして、ほんの5年か6年前まではこのようにも言われていた。

「インターネットのストリーミング(動画再生)がテレビに取って変わることはないのはテレビにはドラマを作る制作能力があるから。インターネットのストリーミングはドラマを作る制作能力なんかないじゃないか」

しかし、今や欧米でもNetflix(ネットフリックス)が独自政策のドラマをも製作するようになっているし、そこにAppleやAmazonも続いている。「インターネットでしか見られないドラマ」も出てきているのである。

こうやって見ると、次の5年、次の10年はもうドラマもインターネットの方が主流になって、テレビはネットが使えない高齢者の化石メディアになっているはずだ。それほど時代が急激にインターネットにシフトしている。

YouTubeは言うまでもなくGoogle傘下である。アメリカ企業だ。Netflixもアメリカ企業だ。AppleもAmazonもアメリカ企業だ。

今後、「5G」の時代が浸透していくとインターネットの映像はますます鮮明になり早くなるわけだから、「アメリカの超巨大ハイテク企業」がこの分野をすべて飲み込んでいくのは揺るぎない未来である。

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マンガもいよいよ紙媒体からの脱却が起きているのが今の時代

日本人の若年層は活字をほとんど読まなくなってしまったので出版社の売上の多くは雑誌とマンガが担っていた。

しかし、インターネットが巨大なインフラになる過程で雑誌も急激に売れなくなってしまい、マンガだけが何とか生き残って出版社を支えている。文字や写真はスマートフォンでもまったく問題なく読めるが、さすがに今のマンガはスマートフォンでは読みにくい。

「スマートフォンで読みにくい」というのが、紙媒体のマンガが生き残った理由であったのかもしれない。しかし、最近はそのマンガも「ウェブトゥーン」の登場でいよいよ紙媒体からの脱却が起きている。

「ウェブトゥーン」というのはスマートフォンに特化した縦スクロールで読めるマンガを指す。

今までのマンガというのは紙のサイズに合わせてコマ割りをして読ませるものだが、「ウェブトゥーン」は縦スクロールでどんどん読んでいけるし、カラーが主体になっているので、まさにスマートフォンという媒体のために特化したマンガなのである。

今の若年層は子供の頃から紙よりもスマートフォンの方に馴染んでいるわけで、紙媒体に合わせたマンガには不満や不便を感じている。それを一気に解消したのが「ウェブトゥーン」なのだ。

恐らく今後はマンガも怒濤のごとく「ウェブトゥーン」になだれ込んでいくのは既成事実だろう。10年後、もう「ウェブトゥーン」ではない今のマンガの方が廃れているはずだ。

そして、私はさらに「先の先」の展開も見える。この「ウェブトゥーン」の世界が成熟化する頃になったら「ウェブトゥーン」を扱うインフラはいつの間にかアメリカの企業がすべてを掌握しているのではないだろうか。

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アメリカの超巨大ハイテク企業の軍門に下るしかなくなる

インターネットは情報で成り立っている世界だ。この世界に入り込んだら、そこではイノベーションですべてを貪欲に飲み込む巨大アメリカ企業が待っている。

そうなると、イノベーションや資金面で太刀打ちできない日本企業は、いつしかアメリカの超巨大ハイテク企業の軍門に下るしかなくなる。

日本の出版業界の行く末はAmazonが掌握し、音楽業界の行く末はAppleが掌握し、テレビ業界の行く末はNetflixが掌握したように、マンガも最後にはアメリカの超巨大ハイテク企業がすべてをかっさらっていく。

情報の世界は「アメリカの超巨大ハイテク企業」が制している。全世界のコンテンツの上に君臨しているのが「アメリカの超巨大ハイテク企業」なのだ。

それだけでなく、そのコンテンツを制作するためのツール、たとえばデザイン分野のPhotoshopやIllustrator、映像分野のPremiere Proなど重要なツールはAdobe Systemsという巨大アメリカ企業が独占している。

私はAdobeについてはしばしば取り上げているが、この企業の製品を使わないで印刷・デザイン・映像に関わる人を見たことがない。

Adobe製品を使えないというのであれば、その人はプロではないと断言できるほどプロには必要不可欠なものを提供しているのがAdobeなのである。

そして、コンテンツを宣伝するための広告もGoogleやFacebookと言ったアメリカのハイテク企業が担い、拡散させるためのツールであるInstagramやTwitterもまたアメリカ企業である。

こうやって俯瞰して見たら誰でも分かることだが、「アメリカの超巨大ハイテク企業」はすべてを取り込んでしまったのだ。これは信じがたいまでの独占支配であるとも言える。インターネットはアメリカが盟主であり、他の国は植民地であるという見方もできる。

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日本は情報の世界でもアメリカの植民地となっている

「アメリカの超巨大ハイテク企業」は、今後も私たちが予想もしない分野でも他業種を飲み込んでいく。たとえば「Apple Watch」は、あっと言う間に時計業界を飲み込んでしまった。

すでに若年層は「普通の時計」を買わない。Appleのスマートウォッチを望んでいる。普通の時計は時代遅れと化したのだ。今どきロレックスなんか自慢しても、そんなのは頭の古い人間の時代遅れのモノだと冷笑されるだけだ。

アメリカの超巨大ハイテク企業が時計業界を侵略するとは思わなかった。しかし、これは現実に起こったことだ。今後もありとあらゆる業界を取り込んでいき、情報とイノベーションを武器にして既存の業界を破壊していく。

しかも、この流れはまだこれから拡大していくのである。

たとえば医学分野にもそれが起こる。人工知能も医療業界に取り入れられるようになっていて、病気の発見や創薬の分野で深く関わるようになってきている。創薬だけではなく、病気の発見も、予防も、すべては人工知能をはじめとしたイノベーションが最先端を担うようになる。

自動車の分野にもそれが起こる。「アメリカの超巨大ハイテク企業」は、それぞれ電気自動車や自動運転する車にも莫大な研究費を投じているのだが、これらは既存の車の概念を完全に変えてしまうはずだ。

この分野ではTeslaが先頭を突っ走っているのだが、AppleもAmazonもこの業界に乗り込んでいき、コンピュータとインターネットを車や交通と密接に結びつけて別世界を作り出す。

世界はインターネットで再構築されている。そしてこの世界を支配するのは、まぎれもなく「アメリカの超巨大ハイテク企業」である。すでに100%の確率でそれは決定している事実である。

こんな中で旧態依然の教育と発想と能力で生きている日本企業がどうやって生き残っていけるのか、私には分からない。日本は完全に時代遅れと化しているので、情報の世界でもアメリカの植民地となっている。

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